歴史認識 言及希薄 70年談話前に各国注視-東京新聞(2015年4月22日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015042202000258.html
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安倍晋三首相が行うアジア・アフリカ会議首脳会議での演説では、夏に発表する戦後七十年談話につながる歴史認識に関し、二十年前の村山富市首相談話の「おわび」などのキーワードの大半が用いられていない。歴史認識への言及が非常に少ない。
演説には「侵略」の言葉はあるが、六十年前のバンドン会議で確認された十原則から引用しただけで、旧日本軍の行為としては使っていない。首相が言及する「深い反省」も六十年前の会議に臨んだ日本の姿勢を間接的に引用したものだ。首相自身の気持ちを表した表現ではない。
首相はもともと戦後七十年談話をめぐって、先の大戦を「植民地支配と侵略」とし、「痛切な反省と心からのおわび」を表明した村山談話のキーワードを受け継ぐことに否定的だ。アジア・アフリカ会議に臨む直前の二十日には「同じ言葉を入れるなら、談話を出す必要はない」とも言い切っている。
バンドン会議は戦後七十年の節目の年に入り、中国をはじめアジアなどの各国首脳と初めて一堂に会する場となった。首相が表明する歴史認識は、戦後七十年談話にもつながるだけに各国も注視している。
安倍首相の演説はアジアやアフリカとの未来志向の関係に力点を置き、過去の歴史認識に関しては説得力のある説明が感じられない。日本が先の大戦とどう向き合うのか。持論を並べるだけでなく、七十年談話に向け、この点がやはり重要だ。 (ジャカルタ・関口克己)