組織の面子にこだわり「検察史上最悪の判断」を行った大野恒太郎検事総長(郷原信郎さん)-BLOGOS(2015年03月19日)

http://blogos.com/outline/108203/

昨日(3月18日)午前10時、名古屋地裁から、「美濃加茂市長に対する無罪判決に対して検察官が控訴を行った」という連絡が入った。
.....

日本国憲法は、第39条で「既に無罪とされた行為については,刑事上の責任を問われない。又,同ーの犯罪について,重ねて刑事上の責任を問われない」と規定している。この規定は、「国家がある犯罪について刑罰権の有無を確かめるために,被告人を一度訴追したならば,もはや同一人を同一事実について再度刑事的に追及することは許されない」という英米法の「二重の危険の原理」を規定したものとする説が有力であり、かねてから、「無罪判決に対する検察官控訴は憲法 39条に違反する」という主張がなされてきた。

判例は、「一審の手続も控訴審の手続もまた,上告審のそれも同じ事件においては,継続せる一つの危険の各部分たるにすぎない」という理由で、検察官上訴を許容してきたが、学説では根強い批判がある。(【検察官上訴の研究 二重の危険の原理の観点から 高倉新喜】他)

つまり、一審無罪判決に対して検察官が控訴を行うこと自体に、憲法違反の疑いがあるのだ。もし、例外的に、検察官控訴が容認されるとしても、一審判決が法令の解釈や適用を誤った場合や、十分な証拠に基づく判断が行われなかった場合などに限られるはずである。実際に、検察実務でも、無罪判決に対する控訴は、一審が採用しなかった証拠、或いは新たな証拠の提出が可能な場合に限る、という取扱いが行われてきたはずだ。

.....

どうして、このような無茶苦茶、デタラメな控訴の判断が行われたのか。検察組織のトップである大野恒太郎検事総長は、何を考えて、名古屋地検、名古屋高検の控訴意見を認める判断をしたのか。

検察内部のことだけに、真相は知る由もないが、マスコミ関係者や検察関係者からの情報によれば、大野総長を含め検察幹部は、美濃加茂市長事件の一審判決の前に、無罪判決が出る可能性すら認識しておらず、当然有罪だと考えていたようだ。「予想外の無罪判決」に対して、「検察が引き下がるわけにはいかない」として、証拠判断とは別のところで控訴の方針が決まったようだ。

しかし、仮にそうだとすると、検察組織における事件の捜査・公判に関する報告の在り方に重大な問題があると言わざるを得ない。