道徳の新学習指導要領案まとまる-NHKニュース(2015年2月4日)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150204/k10015216111000.html
http://megalodon.jp/2015-0205-0932-38/www3.nhk.or.jp/news/html/20150204/k10015216111000.html

文部科学省は、「特別の教科」となる「道徳」の指導内容を定めた新しい学習指導要領の案をまとめました。
いじめ問題を踏まえて、「自分の好き嫌いにとらわれないで接する」といった「公正、公平」について小学校低学年から教えるほか、「国の文化と生活への愛着」も低学年から学ぶとしています。

文部科学省は「道徳」を「特別の教科」と位置づけ、国の検定を受けた教科書を導入して記述式で評価を行うことを決めていて、平成30年度からの実施を目指し、教育目標や指導内容を定めた新しい学習指導要領の案をまとめました。

新学習指導要領・生きる力-文部科学省
幼稚園教育要領案、小学校学習指導要領案、中学校学習指導要領案関係資料
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/080216.htm

このなかでは、いじめ問題が道徳教育を充実させようという議論のきっかけになったことを踏まえ、「公正、公平」や「相互理解」について前倒しで教える内容となっていて、▽小学校1、2年生で「自分の好き嫌いにとらわれないで接すること」、▽3、4年生で「誰に対しても分け隔てをせず、公正、公平な態度で接すること」といった内容が新たに加わっています。
また、現在の学習指導要領では小学校1、2年生で「郷土の文化や生活に親しみ、愛着を持つ」とされていますが、今回は「伝統と文化の尊重、国や郷土を愛する態度」という項目で「我が国や郷土の文化と生活に親しみ、愛着を持つこと」と、「我が国」ということばが加わり、「国の文化と生活への愛着」も低学年から学ぶとしています。
同時に、「他国の人々や文化に親しむ」という項目も新たに加わっていて、文部科学省は「ほかの国を知り、自分の国を愛することで、国際社会に生きる日本人を育成することが目標だ」と話しています。
新しい案では、さらに、子どもたちが考えを深められるよう、意見を話し合ったり書いたりする言語活動や、問題解決的な学習を取り入れるなど指導方法を工夫するよう求めています。

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「“正しい答え”誘導を懸念」
いじめによる自殺で娘を亡くし、子どもたちに命の大切さを伝える講演を1000回以上行ってきたNPO「ジェントルハートプロジェクト」理事の小森美登里さんは「いじめの問題は子どもの問題ではなく、いじめを生んでしまう土壌を作った大人たちの問題だと思っているが、この案には大人でも実行するのが難しい内容がたくさん書かれている。互いの違いを認め合って価値を見いだすことがいじめをなくす基本なので、“正しい答え”を誘導するようなものになってはいけないと思う。大人が子どもに教えるという上下の関係ではなく、一緒に考えて答えを探すものにしなければならないし、そのためには教員の対応力を磨くことが何より重要だ」と指摘しています。

「教える側が問われる」
小学校で道徳を専門に教え、教員養成や教材作りにも携わる筑波大学附属小学校の加藤宣行教諭は「教科となることで、学習指導要領の重みはこれまでと違い、私たちの現場で強制力を持つものになる。示された案は子どもたちに考えさせようという内容になっており評価できるが、実践するには教える側の問いかけや授業の展開の工夫が求められる。深い洞察につながるような授業スタイルに変えていくための教員養成や研修が必要だ」と話しています。

道徳の新学習指導要領案まとまる