国民服と日本人 敵・欧米の洋服着る矛盾-東京新聞(2015年1月4日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/Postwar70th/sengonotisou/CK2015010402000169.html
http://megalodon.jp/2015-0112-1045-53/www.tokyo-np.co.jp/article/feature/Postwar70th/sengonotisou/CK2015010402000169.html

戦争中、街をカーキ色に染めた国民服。生地を軍用に回すという現実的な理由とともに、敵国である欧米の洋服とは一線を画したいという自意識のあらわれでもあった。身にまとうものは今も、人の心や社会のありようと影響を及ぼし合っている。 (渡辺大地)
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しかし、今も「着る自由」は、思わぬ壁に直面することもある。

昨秋、絵本作家いわさきちひろさんの孫で自身も絵本作家の松本春野さん(30)は、ネットで自分に寄せられた「反日」「非国民」という批判に困惑した。東京都新宿区であったヘイトスピーチ(憎悪表現)に反対するデモに参加するにあたって、朝鮮の民族衣装「チマ・チョゴリ」を着て歩くとネットでつぶやいたのが原因だった。「単純にかわいいから着たかっただけなのに」

1面に登場するテーラー店主で、全日本洋服協同組合連合会顧問の白瀬一郎さん(77)はリクルートスーツが不思議だ。「自分を売り込むときに、何であんなに没個性の格好していかなきゃいけないの。自分の顔や体形に合った色や装い方だって自己表現の一つなのに。逆に言えば選ぶ側に素養がないのかな」