子は宝 広く厚く支援 高い誕生祝い、安い教育費…出生数回復-東京新聞(2014年12月28日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014122802000128.html
http://megalodon.jp/2014-1228-1038-49/www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014122802000128.html

「子どもは町の宝、国の宝」。町は二〇〇五年に制定した基本条例で子育て支援を最優先に掲げ、次々と独自の政策を打ってきた。

まず第三子に百万円の誕生祝い金制度を始めた。その後、第四子に百五十万、第五子以降に二百万円へと拡大。それぞれ初年度に五十万円を差し引いて渡し、残りを十年間で支給する。一〇年度からは第一、二子にも十万円を出している。同じ制度を持つ自治体は他にもあるが、第三子以降の額の大きさが際立つ。

夫婦共働きで中三の娘を筆頭に五人の子がいる益子(ましこ)恵実さん(34)は「矢祭なら子どもが五人いても何とかなると思った。これから結婚する人には『矢祭においで』と言っています」。

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全国の出生数が下がり続ける中、町の出生数は減少傾向が止まった。一二年度の合計特殊出生率(女性が一生で産む子どもの数)は一・八一人と全国平均の一・四一人を大きく超える。昨年度の出生数は五十九人と前年から一気に十九人も増え、うれしいニュースとなった。

子どもの成長をまちづくりの基本にすえた中心人物は根本良一前町長(77)。行財政改革がスタートした〇五年当時を振り返り、「町の高齢化率は30%近く。少子化と高齢化の到来をひしひしと感じた」と話した。

人口対策が必要だと感じた根本さんが取った策は、江戸時代に二宮金次郎らが藩の財政立て直しで用いた「入るを量(はか)りて出るを制す」。徹底した歳出の見直しだった。(杉谷剛が担当します)

<矢祭町> 福島県の最南端にあり、JR水郡線で郡山からも水戸からも約1時間半。町の4分の3は森林で、ハウスイチゴやシイタケ、花の栽培が盛ん。工場誘致に成功し、多くの町民が工業団地で働くが、高齢者の死亡や青年人口(20〜30代)の少なさの影響で、人口は減少している。