東京2014<2>「アンネの日記」損壊事件 知る権利 守った図書館-東京新聞(2014年12月28日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/20141228/CK2014122802000099.html
http://megalodon.jp/2014-1228-1039-20/www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/20141228/CK2014122802000099.html

結果的に、逮捕された容疑者に政治的、思想的背景はなかったとみられ、事件は決着した。だが、ほかの誰か(何か)ではなく、アンネを標的に選んだ容疑者の「背後」に、何があったのだろうか。

インターネット上などにあふれるホロコースト否定論。ヘイトスピーチ(憎悪表現)。二〇一五年の戦後七十年を前に、日本に、東京にただよう空気と、今回の事件とは本当に無関係なのだろうか。「『過去に目を閉ざす者は未来にも目を閉ざす』と言われているが、風化しつつある歴史の事実を見つめなおす機会を、この事件は与えてくれた」と大塚館長は話す。

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私たちが日々、何げなく通う図書館の人々が、憲法が保障する表現の自由と知る権利を守る使命を担い、それを強く誇りに思っている。それを感じたのが、この事件で唯一、そして最もうれしいことだった。 (榎本哲也、横井武昭)