ガイドライン先行の意味:私説・論説室から-東京新聞(2014年9月24日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2014092402000197.html
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安倍晋三政権は閣議決定した集団的自衛権の行使容認を確実にするため、年末に「日米防衛協力の指針(ガイドライン)」を改定し、来年の国会で自衛隊法など関連法の改定を目指す。この流れは、前回のガイドライン改定、周辺事態法の制定の時とそっくりだ。

一九九七年のガイドライン改定は、日本の平和と安全に重大な影響を与える米国による日本周辺での戦争を周辺事態と名付け、憲法の枠内で対米支援することにした。九九年の周辺事態法は、これを法律で規定した。

このときの改定は朝鮮半島危機がきっかけだった。九三年、北朝鮮は核開発を進めるため核拡散防止条約(NPT)からの脱退を表明。これに対し、米国は北朝鮮攻撃を検討する一方、日本に掃海艇の派遣、負傷した米兵の救護など千五十九項目の対米支援を求めたが、政府は「集団的自衛権の行使は認められていない」とゼロ回答をした。

米国は北朝鮮攻撃を断念するが、日米関係は極端に悪化。関係修復を狙ったのがガイドラインの改定だ。米国に支援を約束した以上、周辺事態法の制定は必須だった。

集団的自衛権の行使容認は同じ道筋をたどる。政府はガイドラインの再改定を理由に「関連法改定は必須」と主張して正面突破を図るだろう。自衛隊法が改定されれば、海外における武力行使が解禁され、米国による戦争に参戦できることになる。