たゞの船さへ見て悲しけれ 日中戦争憂う 晶子の歌-東京新聞(2014年7月11日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014071102000262.html
http://megalodon.jp/2014-0712-0957-30/www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014071102000262.html

歌人与謝野晶子(一八七八〜一九四二年)の未発表歌が、東京都内で見つかっていたことが十一日、分かった。日中戦争が激化していく状況を憂う気持ちが詠まれている。

秋風や いくさ初(はじ)まり港なる

たゞの船さへ見て悲しけれ。

毛筆で扇子に書かれている。

和歌文学研究者で日本文芸学会常任理事の入江春行さん(86)は「中国をやっつけろと盛り上がる世論の中で、悲しいと詠む歌は発表できなかったのだろう。晶子は一見軍国主義をたたえたような歌も詠んだが、この歌は根底に反戦の思いがあったことを暗示している」と指摘している。