自衛隊海外派遣 際限なき拡大を恐れる-東京新聞(2014年6月5日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014060502000171.html
http://megalodon.jp/2014-0605-0937-01/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014060502000171.html

政府自身が認めてこなかった、戦闘への直接支援に踏みきれば、敵対勢力の攻撃対象となり、自衛隊も戦闘に加わらざるを得なくなる可能性は格段に高くなる。

こうした自衛隊活動は憲法九条が許しているのか。一内閣の都合で活動範囲を拡大するのなら、政府の憲法解釈変更による「集団的自衛権の行使」容認と同様、立憲主義の否定にほかならない。

私たちはイラク戦争を思い起こすべきだろう。航空自衛隊によるバグダッド空港への米兵輸送は名古屋高裁が「他国の武力行使と一体化した行動で、自らも武力行使したとの評価を受けざるを得ない」との違憲判断を示した。

安倍内閣はこの確定判決を無視するのか。そもそも米国が誤った情報に基づいて始めた戦争をなぜ支持したのか、米、英、オランダ各国政府が行っているような検証を日本政府はしようともしない。

反省もせず、司法判断すら顧みない。「積極的平和主義」なるものを掲げれば何でもできるというのは、大いなる勘違いである。