教科書是正要求 現場に根差す採択制を-毎日新聞(2013年10月19日)

http://mainichi.jp/opinion/news/20131019k0000m070125000c.html
http://megalodon.jp/2014-0314-1515-49/mainichi.jp/opinion/news/20131019k0000m070125000c.html

残念な「初例」になった。

中学の公民教科書をめぐり、沖縄県八重山採択地区の竹富町教育委員会が地区協議会で決定したものとは異なる教科書を使っている問題で、下村博文文部科学相沖縄県教委に対し、竹富町教委へ是正要求するよう指示した。

地方自治法に基づく措置だが、教育行政では前例がない。

複数の市町村で構成する義務教育教科書の採択地区の場合、教科書は協議会で決定したものに統一する。教科書無償措置法が定める。

2012年度から使用する公民について、竹富のほか石垣市与那国町で構成する八重山地区協は保守色が強いとされる育鵬(いくほう)社版の教科書を採択したが、竹富は拒み、独自に東京書籍版を使うことにした。

根拠としたのは、教委に採択権を認めた地方教育行政法である。

文科省はこの2法は一体的に矛盾なく運用されるものとしているが、明快ではなく、下村文科相は法改正も考えるという。

こうした法の不備に今回の混乱の一因があったというべきだが、それだけが本質的な問題ではない。

.....

主たる教材である教科書は、学校の個性的で多様な教育に、よりマッチしたものを現場の目で選ぶべきだという考え方が底にある。

法を改めて「再発防止」を図るよりも、それぞれの現場に根差した採択のあり方を熟慮、熟議する契機とすべきではないか。