刑事司法改革 冤罪防止の原点に返れ-東京新聞(2014年3月8日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014030802000128.html
http://megalodon.jp/2014-0310-1126-11/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014030802000128.html

懸念されるのは、通信傍受の拡大やいわゆる司法取引など、捜査当局の新たな“武器”がセットで取りまとめられそうなことだ。

通信傍受は一九九九年に強い反対論を押し切って導入された。今回の法務省案では、窃盗や詐欺などの犯罪にも拡大するという。振り込め詐欺などを念頭に置いているというが、あまりに範囲が広すぎる。窃盗だけでも全検挙者のおよそ半分を占めるのだ。捜査当局が乱用する恐れさえあろう。

しかも、会話傍受の案も出ている。部屋の中に盗聴器を仕掛ける捜査手法である。犯罪とは無関係な日常会話まで盗聴するのは極めて問題が大きい。

司法取引も捜査協力者が必ずしも正確に犯罪事実を語るとは限らない。事件の全体像をゆがめる弊害もあろう。

約3%の可視化などが“果実”となり、逆に捜査当局が強大な権限を握ることになっては、冤罪防止の観点から逸脱する。