通常国会始まる 国の針路を誤らぬよう-東京新聞(2014年1月25日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014012502000133.html

まずは第二次内閣発足後、首相が初めて国会演説で言及した「集団的自衛権の行使」である。

首相は、有識者懇談会の報告を踏まえて「対応を検討する」と表明したが、第一次内閣で始動したこの懇談会はかつて行使容認の報告書を出したことがある。

その後、メンバーの入れ替えもなく、四月にも提出される報告でも、行使容認となる見通しだ。

集団的自衛権の行使について、歴代内閣はこれまで、憲法九条で許容される自衛権の範囲を超えるとの見解を堅持してきた。先の大戦の反省から、専守防衛に徹してきた「国のかたち」でもある。 

それを一内閣、それも私的な懇談会の報告書を基にして変えることなど許されようはずがない。国会での徹底追及を期待したい。

原発について、首相は「原子力規制委員会が定めた世界で最も厳しい水準の安全規制を満たさない限り、再稼働はあり得ない」と述べたが、同規制委の手続きさえ経れば再稼働させることと同義だ。

国民の運命を左右する原発政策は、東京都知事選でも争点化しており、なし崩しの再稼働容認は許されない。国会を含めた国民的な議論に付すべきである。

与党が昨年、成立を強行した特定秘密保護法に、首相は演説で全く触れなかったが、法律の乱用や人権侵害の懸念は解消されず、首相自身も説明不足を認めている。

民主、共産両党は廃止法案を提出する予定だ。法案の要不要も含めて審議し直すべきである。