第6部 福島の希望<2>また国策で捨てられた-東京新聞(2013年9月25日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/kenpouto/list/CK2013092502000111.html
http://megalodon.jp/2013-0925-0942-06/www.tokyo-np.co.jp/article/feature/kenpouto/list/CK2013092502000111.html

終戦直後、台車の上に板を敷いただけのような列車が旧満州の真っ暗な大地を駆け抜けた。当時六歳だった橘柳子(りゅうこ)(72)は「落ちたら死ぬ」とおびえながら日本への逃避行を続けていた。帰国船では、死んだ人がゴザにくるまれ海に捨てられた。一九四五年八月八日に旧ソ連は日ソ中立条約を破棄し、満州に侵攻。在留邦人は大混乱に陥った。

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満州から命からがら帰国した橘は教員となり、八六年には日本教職員組合日教組)で支部初の女性書記長になった。「四十年前にできた憲法に男女平等が書かれているのに。結局、本物の平等を手に入れるには闘わなきゃいけなかった」
 原発事故で多くの人が故郷を奪われた今の福島も「基本的人権さえ満たされていない」と感じる。避難生活で一時、鬱(うつ)状態になっていたが「今こそ、憲法を本物にしなきゃいけない時期だ」と思い直した。

日本国憲法第13条 (個人の尊重)

すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

日本国憲法第14条第1項 (法の下の平等

すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。