仮釈放ない終身刑:英制度廃止へ 欧州人権裁「非人間的」-毎日新聞(2013年08月18日)

http://mainichi.jp/select/news/20130818k0000e030141000c.html
http://megalodon.jp/2013-0827-0959-56/mainichi.jp/select/news/20130818k0000e030141000c.html

欧州人権裁判所は判決(7月9日)で、終身刑規定自体は容認しながらも、一定期間を過ぎた場合の仮釈放の規定がないことについて「刑務所内で死ぬことが決定していることは非人間的だ」として欧州人権条約違反と認定。そのうえで、服役期間が25年を経過した時点で、仮釈放について審査する制度の導入を提案した。

この判決にキャメロン英首相は「非常に、非常に残念。本当に残念な判決だ」と語り、グレイリング司法相は「最初に人権規定を作った人々も、墓の下でびっくりしているはずだ」と嘆いた。

一方、原告側のウィザビー弁護士は「深い罪を犯した者でもその後、刑務所内で矯正されることがある。そうした者に仮釈放の可能性を残しておくことこそ重要だと裁判所が理解した」と話す。

欧州人権裁判所は上訴を認めておらず、条約加盟国は判決を履行する義務がある。このため英国は半年以内に終身刑に仮釈放の規定を作るなどの対応をとる必要がある。

世界では死刑廃止が潮流になっているが、米国では死刑を廃止する代わりに絶対的終身刑を規定する州が多い。日本でも死刑を廃止する代わりに絶対的終身刑を導入すべきだとの声がある。今回の判決は、欧州では死刑はもちろん絶対的終身刑でさえ人権違反という時代に入ったことを意味している。

(コメント) 欧州人権裁判所
個人でも申し立て可能で、先進的判決が出された今回の判決(7月9日)事案は個人の申し立てによる。判決に不服申し立てができず、加盟国は判決に従う義務があるという強力な効力をもつ。これまで、イギリスに対しては、体罰は違法という判決や映画「BOY A」のモデルになった少年の判決が重すぎるという判決も出されている。