「罪証隠滅のおそれ」って何?〜名(元)裁判官・原田國男氏が語る“裁判官マインド”(江川 紹子さん) - Y!ニュース(2013年6月1日)

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”裁判官マインド”を変えるには
原田氏には、こんな伝説的な逸話がある。法廷で起訴事実を認めて席に戻った被告人が異様に喉仏を上下させているのに原田裁判長が気づき、証言台に戻して、もう一度起訴された事実についての認否を尋ねた。すると被告人は、しばしの沈黙の後に実際はやっていない、と述べた。弁護人も知らない話だった。その後丁寧な審理をし、被告人は無罪となった。

また、原田氏は東京高裁の裁判長を務めていた8年間の間に、20件の逆転無罪判決を出している。その裁判に臨む姿勢、事実認定の仕方については、氏の著書『逆転無罪の事実認定』(勁草書房)に詳しい。

名裁判官の誉れ高い原田氏にして、否認をしている被告人の勾留や保釈が問題になった時には、検察官の「罪証隠滅のおそれ」を受け入れがちだったという。そして、冤罪事件の弁護人を経験してみて、初めて見えてきた「壁」の厚さと高さ…。となれば、全国の裁判官たちの状況は推して知るべしだろう。

原田氏の話を聞いていて、裁判官の意識を変えようとしたら、否認している事件の刑事弁護を実際に経験させるしかないのではないか、と思った。