菅直人内閣総理大臣記者会見-政府インターネットテレビ(2010年6月8日17時00分)

http://www.kantei.go.jp/jp/kan/statement/201006/08kaiken.html

(機密費について)
(記者)
 フリーランスの岩上と申します。先ほど上杉さんの質問の中にありましたが、官房機密費の問題について、総理はお答えになっていなかったようですので、重ねて質問を申し上げます。
 野中元官房長官が、機密費を言論人あるいはマスメディアの人間に配って、言わば情報操作、言論操作を行ったという証言をいたしました。その後、私自身も上杉氏も取材を行い、この野中さんの発言だけでなく、はっきりと私は機密費を受け取ったと証言する人物も出ております。
 評論家の佐藤優さんは、かつて江田憲司さんから機密費を受け取ったと私にはっきりおっしゃいました。こうした「政治とカネ」ならぬ「報道とカネ」の問題。政治と報道とカネの問題と申しましょうか。こうした問題は大変ゆゆしき問題であろうと思います。この点について、きちんと調査をなされるか。そして、機密費の使途について、これまで使った分も、それから今後使用される分も含めて、公開されるお気持ちはあるかどうか。お考えをはっきりお述べいただきたいと思います。よろしくお願いします。

菅総理
 この機密費という問題は、なかなか根源的な問題も含んでいるわけです。物の本によれば、いつの時代でしたでしょうか、戦前でしたでしょうか、当時のソ連の動きを明石大佐がいろいろ調査をするときに、巨額のまさにそういう費用を使って、そういう意味での情報のオペレーションをやったということも、いろいろ歴史的には出ております。
 そういう意味で、確かに国民の皆さんの生活感覚の中で考えられることと、場合によっては、機密費という本質的な性格の中には、一般の生活感覚だけでは、計ることの場合によってはできない、もうちょっと異質なものもあり得ると思っております。
 今この問題は、官房長官の方で検討されていると思いますが、いろんな外交機密の問題も、ある意味で、ある期間を経た後にきちんと公開するということのルールも、必ずしも日本でははっきりしていないわけですけれども、この機密費の問題も、何らかのルールは、そういう意味で必要なのかなと思いますが、現在、その検討は、官房長官御自身に委ねているところです。
 報道の在り方については、これはあまり私の方から言うべきことというよりも、それは報道に携わる皆さん自身が考えられ、あるいはある種の自らのルールが必要であれば、自らの自主的なルールを考えられればいいのではないかと思います。私なども時折、ちょっと記事が違うではないか、一体だれから聞いたんだと言っても、それは取材元の秘匿はジャーナリストの言わば原点ですからと言われて、それはそれで1つの考え方でしょうが、政治とカネの問題についても、皆さん自身がどういうルールなり、倫理観を持って当たられるか、まずは皆さん自身が考え、あるいは必要であれば議論されることではないでしょうか。