「誤認指導で中1自殺」鹿児島・奄美 第三者委が報告書 - 東京新聞(2018年12月10日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201812/CK2018121002000045.html
https://megalodon.jp/2018-1210-1823-20/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201812/CK2018121002000045.html

鹿児島県奄美市で二〇一五年十一月、市立中学一年の男子生徒=当時(13)=が自殺し、経緯を調べていた市の第三者委員会は九日、担任の不適切な指導が原因だったとする調査報告書を市に提出した。生徒が同級生に嫌がらせをしたと担任が誤認し、事実確認が不十分なまま指導をしたと指摘。校内の指導が担任に集中していたことを問題の背景に挙げた。
報告書によると、一五年十一月四日、同級生が教室へ登校できなくなった。担任が保健室で聞き取りした際、同級生は生徒を含む五人から嫌がらせを受けたと説明。生徒については「意味の分からない方言を言ってくる」とした。
担任は放課後、五人を校内で指導。生徒はこの日別室にいた同級生に給食を届けるなどし思い当たることはなかったが、「(同級生の)話を最後まで真剣に聞けていなかった」として、担任に促される形で直接謝罪した。
指導中、生徒が涙を流すなど普段と違う様子を見せたため、担任は同日夕に自宅を訪れ「誰にでも失敗はある」などと話した。生徒は泣いており、担任が出た後、自宅で首をつって死亡した。
三者委が同級生らに聞き取りした結果、生徒は嫌がらせや、いじめに該当する行為はしていなかったと判断。「担任一人に対応を任せたため、拙速で不適切な指導につながった」とした。鹿児島大元教授で第三者委の内沢達委員長は記者会見で「学校は生徒の死に真剣に向き合い自ら検証しなければ、問題は繰り返される」と訴えた。当初調査した学校側は、自殺の原因は不明としていた。遺族が詳細な調査を求め、昨年三月、市は教育専門家ら六人の第三者委を設置した。

渡嘉敷「永久承諾」 自治権の重大な侵害だ - 琉球新報(2018年12月10日)

https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-846449.html
https://megalodon.jp/2018-1210-1824-42/https://ryukyushimpo.jp:443/editorial/entry-846449.html

危機感を抱かせる前代未聞の出来事だ。
渡嘉敷村の前島で、航空自衛隊那覇基地が、村と「永久承諾」という取り決めがあるとして、2000年以降、捜索救出などの訓練を村に通知せず年に100回以上も実施していることが判明した。ただ自衛隊は「永久承諾」について記した文書の所在は「不明」とし、村側は「聞いたことがない」としている。
訓練の通知をしないのも、文書の所在が「不明」なのも、公的機関同士の手続き上、極めてずさんと言うほかない。文書が存在しないのなら、根拠のない演習が約18年間も続いていたことになる。非常に大きな問題だ。
識者が指摘しているように、訓練をしている地域が私有地なら不法侵入となり、村有地だとしても村議会の議決が必要な事案である。その上、村と自衛隊の認識は食い違っている。村は陸上での訓練は実施されていないとの認識だが、自衛隊側は「集落を除く前島全体で可能」とし、陸地でも実施している。訓練の根拠となる文書が見つからない以上、所有者の権利侵害が疑われても仕方がない。
事の重大さはそれだけにとどまらない。軍事訓練である。一歩間違えれば、住民の生命や財産に関わる。根拠が曖昧な上に通知もない訓練が繰り返されていること自体、村にとっては絶対に許されない。住民の生命や財産を守るのは自治体の重要な責務だからだ。
そもそも通知を必要としない陸上も含めた「永久承諾」などという取り決めは自治体側にとってはあり得ない。その時々の住民の意思や安全面、環境、行政判断など状況は変わり得るからだ。そんな取り決めは、住民の権利や自治権の放棄であり、事実上の占領状態と言っても過言ではない。
自衛隊側に、このような訓練がまかり通るという感覚があるのも由々しき問題だ。感覚にとどまらず実際に長年実施しているのだから、シビリアンコントロール文民統制)が機能していないとの批判も免れない。
自衛隊が住民の生命や財産をないがしろにする形で訓練する姿は、沖縄戦当時、渡嘉敷村などで住民を「集団自決」(強制集団死)に追い込んだ日本軍の姿勢とも重なる。村内でも前島は、日本軍が駐留しなかったために「集団自決」が起こらなかったと言われる島である。自衛隊の存在は、訓練に伴う危険だけでなく、真っ先に敵の標的にされる可能性を高める面もある。これも大きな基地負担の一つだ。
施設の共同使用や合同演習など自衛隊と米軍の一体化が着実に進んでいる。その意味で近年、先島で施設建設が進み、自衛隊が拡大・強化されていることは、米軍の新基地建設とともに沖縄の基地負担増の大きな側面だ。今回の問題を機に米軍の機能強化だけでなく、南西諸島への自衛隊の配備拡大・訓練強化にも一層目を向ける必要がある。

<金口木舌>三億円事件となりすまし - 琉球新報(2018年12月10日)


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岩倉具視の名を聞き、笑福亭鶴瓶さんを思い浮かべる人は大河ドラマの「西郷どん」通か。500円札の顔が浮かんだ人は40代以上か。1982年に硬貨が発行され、94年に紙幣発行は終わった

東京都府中市で50年前のきょう、白バイの警察官になりすました男が「爆弾が仕掛けられた」と現金輸送車を止めた。乗員が飛び出すと、男が輸送車を運転し走り去った。昭和最大のミステリーといわれる三億円事件
▼75年に時効となったが、平成終盤の今も語り継がれ小説や映画の題材に。2016年にテレビドラマ化された漫画「モンタージュ」(渡辺潤作)では主人公が謎解きのため沖縄を訪れ、在日米軍基地も舞台となる
▼作中では真相に迫る鍵として、奪われた500円札が登場する。実際の事件でも通し番号を控えていた500円札2千枚余が手がかりだった
▼こちらのなりすましは防衛省沖縄防衛局。政府機関でありながら、私人の権利利益の救済を目的とした行政不服審査制度を利用した。行政法研究者110人が「違法行為」と指弾した。その間に沖縄から海を奪い、名護市辺野古に米軍基地を造ろうとする
普天間飛行場移設の原点は米兵による少女乱暴事件、沖縄の負担軽減。だが、政府は「事故」と「危険性除去」と言い張る。「辺野古は平成最大の謎」。そんなまやかしの未来を県民は望まない。

(政界地獄耳)自民が政権批判の大島更迭画策 - 日刊スポーツ(2018年12月10日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201812100000150.html
http://archive.today/2018.12.10-003253/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201812100000150.html

自民党も官僚制度も議会も、もう秩序がある世界とは言えなくなった。国民は被害者だが、一番の問題はこの政治に慣らされて声も出せなくなった自民党議員と同党支持者だろう。日本にある穏健な保守層を破壊して、長いものに巻かれる社会を否定しなくなった寂しい社会が平成の後期を覆ったといえる。

共産党委員長・志位和夫ツイッターで指摘しているように「入管法改定、漁業法改定、水道法改定は経団連主導で作成の『骨太方針』に明記されている。安倍政権は『成長戦略』と称して外国人労働者沿岸漁業、水道事業という公的規制がなければ成り立たない分野にまで規制緩和を押し付けるという『禁じ手』にのめりこんでいる」。ただ、これをネットに書き込むのは国民の声のはず。政治家はそれを議会で声を上げ、議論し食い止めるのが仕事だが、政権は国会審議すら封じ込めた。自民党議員は法案が「生煮えだ」などと匿名では言うものの体を張って止めるものなどない。法案を採決した後に批判する与党議員の後出しじゃんけん論法にもうんざりだ。

★安倍政権の過去6年間にも特定秘密保護法は国民の反対82%が、安全保障関連法は70%、TPP関連法は68%の反対を押し切って成立させた。共謀罪についても審議不十分と感じていた国民は6割に達し、働き方改革法は今国会不要が7割、カジノ法案も反対が65%を数えた。つまり野党どころか国民の声も聴くことはない。先の国会では衆院議長・大島理森が公文書改ざんや自衛隊日報隠蔽(いんぺい)など相次ぐ政権不祥事を挙げ、「民主主義の根幹を揺るがす問題だ。立法府の判断を誤らせる恐れがある」と政権に注文を付ける異例の所感を発表し、再発防止のための制度構築を求めている中、回答も出さずに強行採決ではもう機能不全としか言いようがない。その裏で大島を更迭しようと自民党が画策したことも付記しておきたい。(K)※敬称略

写真集「水俣」「最後の勝負だった」ユージン・スミス氏没後40年 共著者アイリーンさん語る - 西日本新聞(2018年12月3日)

https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/470189/
http://archive.today/2018.12.10-002346/https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/470189/

1970年代に水俣病を世界に伝えた米国人写真家、ユージン・スミス氏(1918〜78)が死去して40年。12月には生誕100年を迎え、生涯を描く映画「ミナマタ」(原題)の撮影もジョニー・デップさん主演で年明けから始まる。スミス氏の遺作となった写真集「水俣」について、共著者で、ともに熊本県水俣市の患者多発地区で暮らした元妻のアイリーン・美緒子・スミスさん(68)=京都市=は「彼にとって最後の勝負だった」と振り返った。
71年9月、寝台特急「なは」で水俣駅に降り立った夫妻は、10日前に婚姻したばかり。スミス氏52歳、アイリーンさん21歳。前年の秋、東京の出版社経営者に水俣病の話を聞き、1年かけて準備を進めていた。
「彼の最後の仕事だというのは、暗黙の了解で分かっていた。今までの蓄積を絞り出すんだという意気込みがあった」。太平洋戦争中、従軍カメラマンとして受けた砲弾による傷などの痛みに耐えるため、アルコールが欠かせなかったスミス氏。アイリーンさんによれば、「もう体が持たない」と悟っていたという。
「患者が多くいる地域に住みたい」という夫妻の希望通りに住まいもすぐに借りられた。写真家の故塩田武史さんの案内で、69年提訴の第1次訴訟原告の家庭を回り、親交を深めていく。風呂場で胎児性患者の娘を優しく抱く母親を捉えた作品も、水俣に来て3カ月目には撮り終えていた。
ずっと順調だったわけではない。翌72年1月、新たに患者認定された自主交渉グループのリーダー故川本輝夫さんが、チッソ東京本社での従業員の妨害に抗議するため向かった千葉県の工場で、同行した夫妻も暴行事件に巻き込まれた。
スミス氏の後遺症はひどく、複数の医療機関に通い続けたが、容疑者は不起訴処分に。「実際に当事者になって、チッソや権力側の振る舞いを直接体験できた」とアイリーンさん。事件を経験し、不正義に対する視点がさらに定まった。
その後も水俣や東京を行き来しながら、進行中の裁判や自主交渉の行方、治らない病を背負った胎児性患者たちにレンズを向け続けた。
暴行事件でさらなる重荷を背負った2人を後押ししてくれたのは、出会った患者たちだった。74年10月、夫妻は3年間暮らした水俣を去った。写真集に掲載する写真の選定や文章もほぼ出来上がっていたという。
75年1月7日、スミス氏は「私は写真を信じている。もし充分に熟成されていれば、写真はときには物を言う。それが私−そしてアイリーン−が水俣で写真をとる理由である」と、最後の作業だった写真集の文章を書き上げた。暴行事件から3年、民事訴訟の時効となる日だった。
ジョニー・デップさんがスミス氏を演じる映画は、来春からセルビアを中心に日本でも撮影される予定という。アイリーンさんは「裁判が続いている現在の水俣病にも光が当たれば良いし、『被写体と読者に対して限りなく正直で公正であることがジャーナリストの責任だ』と繰り返した彼の精神が世界中に伝わればうれしい」と話した。

「新たな料金負担しなければ水停止」 雫石、業者通知で混乱 - 岩手日報(2018年12月9日)

https://www.iwate-np.co.jp/article/2018/12/9/30640
http://archive.today/2018.12.09-201042/https://www.iwate-np.co.jp/article/2018/12/9/30640

雫石町長山岩手山の住宅やペンションなど35軒に水道を供給するイーテックジャパン(仙台市青葉区)が、住民に新たな料金負担をしなければ水を供給しないと通知し、地域が混乱している。同社は経営悪化を理由に、井戸水をくみ上げるポンプの電気料金負担を住民に求める。生活に不可欠な水の危機に住民は困惑。国会では自治体の民間委託を可能にする改正水道法が成立したが、民間業者の対応が波紋を広げる。
同社は8日、同町長山岩手山の現地管理事務所で説明会を開催。非公開で住民約20人が参加した。
参加した住民によると、同社の担当者は▽経営悪化で東北電力に支払う水源ポンプの電気料金9、10月分を滞納中で住民に負担を求める▽支払わなければ17日に水道供給を停止
▽今後も水道料に電気料を上乗せする―などを説明した。
同社の担当は岩手日報社の取材に対し「応じられない」としている。