国連の沖縄基地勧告 政府は差別政策改めよ - 琉球新報(2018年9月3日)


https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-795585.html
http://archive.today/2018.09.04-093327/https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-795585.html

過重な米軍基地負担によって県民が差別的処遇を受けていることを国際社会が認めた。
国連人種差別撤廃委員会が、米軍基地の沖縄集中を差別の根拠として挙げ、沖縄の人々の権利を保護するよう日本政府に勧告した。
勧告に法的拘束力はないが、実情を真摯(しんし)に受け止め沖縄に寄り添った内容だ。世界標準で見ても、政府の新基地強行がいかに理不尽であるかが改めて浮き彫りになった。
政府は勧告を受け入れ、直ちに辺野古の新基地建設を断念し、沖縄に対する差別政策を改めるべきだ。
国連の勧告は、沖縄の人々を先住民族と認め、米軍基地に起因する米軍機事故や女性への暴力が多発していることに懸念を示した。加えて「女性を含む沖縄の人々の安全を守る対策を取る」「加害者が告発、訴追されることを保証する」などの取り組みを日本政府に求めている。
だが、政府の反応は冷淡だ。今回の勧告を受け、官邸筋は「国連の委員会と言ってもメンバーは各国の代表者でない」と突き放している。
審査の過程でも、政府は「沖縄の人々は日本国民としての権利を全て保障されている」と強調し、辺野古移設を進めることが基地負担軽減になると強弁していた。
国土面積の0・6%しかない沖縄に在日米軍専用施設面積の70%が集中し、米軍絡みの事件事故が相次ぐ状況は、まさに異常である。他の46都道府県のどこにあろうか。
安倍晋三首相は2月に、沖縄の基地の県外移設が実現しない理由について「移設先となる本土の理解が得られない」と発言した。
戦後70年余も米軍基地に反対し続けてきた沖縄の訴えには一切耳を貸さず、本土の「民意」にはすぐに理解を示す。これを差別と言わずして何と言おう。
国連は沖縄への基地集中について何度も指摘してきた。
08年には琉球民族先住民族と初めて公式に認めた。09年には国連教育科学文化機関(ユネスコ)が沖縄固有の民族性を認め、歴史、文化、伝統、琉球語の保護を求めた。
10年には人権差別撤廃委が「基地集中は現代的な形の人種差別だ」と認定し、沖縄の人々の代表者と幅広く協議するよう勧告した。
しかしこの間、日本政府は勧告を受け入れてはいない。むしろ逆に、沖縄に対する圧政の度合いを強めている。
12年には全市町村長・全議会の反対を押し切ってオスプレイを強行配備した。東村高江や名護市辺野古の基地建設では公権力を過剰なほど大量投入し、抗議を押さえ込んだ。
新基地が争点となった各種選挙や県民大会など、あらゆる機会を通して県民は民意を示してきた。
政府は国際社会の指摘に頰かむりせず、きちんと向き合うべきだ。県民の人権、自己決定権を踏みにじることは許されない。

平成世代の当事者語る「ゆとり教育」 印象は「悪い」? - 朝日新聞(2018年9月3日)

https://www.asahi.com/articles/ASL8N669PL8NULZL008.html
http://archive.today/2018.09.04-093624/https://www.asahi.com/articles/ASL8N669PL8NULZL008.html

「2030年の日本を語ろう」をコンセプトに、朝日新聞社は平成世代と今を動かす大人世代によるセッションを定期的に開き、その対話を「朝日新聞DIALOG」のサイト(http://www.asahi.com/dialog/)で発信しています。8月からは、平成の30年間の主な出来事を振り返り、今後の社会を考える連続セッションを始めました。8月2日に開かれた初回のテーマは「ゆとり教育」。約80人の参加者を前に、「ミスターゆとり」の寺脇研さんと前文部科学事務次官前川喜平さんが当時の思いを語り、若者たちと対話しました。その模様をお伝えし、ゆとり教育について、みなさんと考えます。
印象論より成果の精査を
ゆとり教育をどう評価するのか。「大学ランキング」(朝日新聞出版)の編集者で教育ジャーナリストの小林哲夫さん(58)に聞きました。

     ◇

ゆとり教育は、「成果」が精査されないまま、印象論で批判されてきたように感じます。
学生に中学・高校レベルの補習授業をする大学が増えたのは、2005年ごろからです。当時の大学1年生は小学校時代に「絶対評価」が導入された世代なので、「ゆとりの影響だ」と言われることもあります。しかし、より大きな要因は、1992年をピークにほぼ一貫して18歳人口が減る中、大学進学率が上がり、入学定員が増えたことで、学生の学力差が広がったことでしょう。
03年のOECD経済協力開発機構)の学習到達度調査(PISA)で日本の順位が落ちた「PISAショック」も、ゆとり批判につながりました。しかし、09年、12年と順位は回復。この時期の生徒はまさに、学習内容が3割減った指導要領で学んでいました。
ゆとりで学力差が広がったとも言われますが、教育政策だけでなく、「失われた20年」で家庭の経済格差が広がったことの影響も考慮する必要があるでしょう。
「主体的に学ぶ」というゆとりの精神は、「脱ゆとり」後の指導要領にも生きています。今の大学生や新社会人は、多感な時期に東日本大震災を経験したり、18歳選挙権が導入されて高校時代に投票に行ったりしていて、社会への関心が高い人が少なくありません。
例えば、受験生が小中学校の総合学習で取り組んだことを大学入試の選考に活用するなど、その人が何を考え、学んできたかという履歴を検証できるようにすれば、ゆとり教育への評価が変わるかもしれません。(聞き手・前田育穂)


学ぶ人が主役 目指した 元文部科学省大臣官房審議官・寺脇研さん

経済的に豊かな国を目指す戦後の流れが変わったのは1980年代でした。物の豊かさよりも心の豊かさが大事だと考える人が増え、画一的な詰め込み教育に反対する国民的な動きが起きた。昭和の時代までは、学校の主役は教師でしたが、社会が成熟してきたこれからは学習者が主役にならないといけない。そう思うと、新しい教育のあり方がぐんぐん見えてきました。
ゆとり教育で目指したのはオーダーメイドの教育。学習指導要領で定めた最低ラインを下げれば、空いた時間に知りたいことや学びたいことにもっと取り組めると考えました。
とはいえ日本の教育は明治以降、近代化や富国強兵、経済成長といった「目指す社会」を実現するためのものでした。その成功体験をもつ大人からは「教育の力で大国になったのに壊すのか」という批判が出た。私は子どもや保護者や教師を一生懸命説得して進めましたが、当事者ではない大人の反発に阻まれました。

     ◇

てらわき・けん 1952年生まれ。75年、文部省(当時)入省。生涯学習振興課長、大臣官房審議官などを歴任。90年代末に「ゆとり教育」の広報を担当。2006年退職。現在は京都造形芸術大客員教授

総合学習 考え方は今も 前文部科学事務次官前川喜平さん
1987年に臨時教育審議会がまとめた最終答申は、大きなインパクトがありました。右肩上がりの時代は終わり、これからの成熟社会の中で起きる大きな変化に立ち向かえる人間を育てていけるか、という視点での見直しでした。当時、私は出向先の宮城県教委の課長でしたが、道しるべをもらったような思いがしたものです。
ただ、ゆとり教育を機にできた「総合的な学習の時間」を学校の先生が生かし切れないケースも多かった。ある中学校では、先生方から「総合学習の時間はムダなので、やめてほしい」と言われました。
ゆとり教育批判の背景には、一人ひとりの子どもが主体性をもって学ぶと困る人がいたのでしょう。「国づくりのための教育」と考える人による揺り戻しが脱ゆとりへと向かわせました。
それでも、総合的な学習の時間は減ったものの、なくならなかった。その方向性は、私は維持できたと思っています。「学習者の主体性を大事にする」というゆとり教育の考え方も、アクティブラーニングという言葉で今も続いています。

     ◇

まえかわ・きへい 55年生まれ。79年、文部省(当時)入省。初等中等教育局長、文部科学事務次官などを歴任。2017年に退職。現在は主宰する「現代教育行政研究会」の代表を務める。

ゆとり批判 当事者世代にも
セッションの冒頭で、会場の参加者にゆとり教育への印象を聞くと、半数以上が「悪い」に手を挙げました。それを受けてパネルディスカッションが進められました。
若者を子育て家庭に派遣して育児体験をしてもらう事業を行う新居日南恵(におりひなえ)さん(24)は、ネガティブな印象を持つ理由を「ゆとり世代とくくられ、何かが欠けているかのように言われて育った」と話しました。これに対し、寺脇さんは「私が批判されるのは覚悟の上だったが、当時の子どもたちが『ゆとり世代はとんでもない』と言われるのは想定外だった。申し訳ない」と語り、「ゆとり批判が強まった背景には、バブル崩壊で大人たちが自信を喪失していたこともある」と指摘しました。
同じく批判的に見てきたという青木優さん(24)は「ゆとり教育の目的は、授業についていけない子のために教える内容を減らすことだ、と受け止めた人が多かったのではないか」と問いかけました。これには前川さんが反論。「円周率が3.14でなく3になる」という大手塾の広告を機に批判が広まったことを例に挙げ、「円周率は3でも3.1でも3.14でもいい。単なる詰め込みではなく、生涯にわたって学び続けるための基礎知識をつけることが大事だと考えていた」と応じました。
教員免許を持つ野田雅満(まさみち)さん(24)の「週休2日制で子どもたちが学校の外で過ごす時間が増え、先生の役割が変わったのか」という質問には、寺脇さんが「先生には授業と週末の体験をつないでもらおうと考えていた。先生の役割も変えたかったが、ゆとり批判の高まりでできなかった」と答えました。
2008年の学習指導要領改訂では一転、授業内容と時間がともに増加します。政治ニュースの発信や主権者教育に携わる古井康介(こうすけ)さん(23)は、脱ゆとりへの流れを「せっかく良いものをつくっても、言い方や捉え方で壮大なディレクションミスがあったと思う」と指摘しました。ゆとり教育をどう評価するか。前川さんは「1990年代生まれの人たちが今後いかに輝いていくかが重要。実物をみて判断してくださいということだ」と話しました。
ゆとり世代の一般参加者からも声があがりました。団体職員の男性(25)は、「同世代の中には将来への不安を前に、自分で自分の生き方を見つけるタイプと、権威的なものに自分のアイデンティティーを譲り渡すタイプがいる。これからの教育で後者が増えてしまうのではないかという不安がある」。前川さんは「主体的に生きるか、権威にすがるかの分かれ道は、多くの若者が置かれている状況だと思う」と男性に同意し、「不安を乗り越えるには、自律した個人がつながり合い、信頼に足る社会をつくれるかにかかっている」と応じました。
これからの教育は、どうあるべきなのか。大学でキャリアアドバイザーを務める喜多恒介(こうすけ)さん(29)は「学びたいことも、やりたいこともない学生が少なくない。自分は何が楽しくて、何をつまらないと感じるのかを知るために、主体性を育む必要がある。個別のカウンセリングを充実させるのが学校の役割になる」と話しました。公立高校で出前授業を行っている石黒和己(わこ)さん(24)は「学校に期待する機能や責任が重すぎる。社会や家庭での教育を充実させ、学校を拡張してオープンな場にしていくことが大事」と語りました。
寺脇さんは若い世代に向け、「AI技術や少子高齢化で社会の変化の速度が上がり、未来はますます見えなくなっている。これからの教育で何が必要かは皆さんに考えてもらわないといけない。考え、議論すること自体は不必要にならないはずだ」とエールを送りました。(村井七緒子)

格差広げたのでは・先生も校外へ出て
来場した参加者の声を紹介します。

●「中学での総合学習の時間は、受験に関係ないし評価もつかないので、僕ら生徒もモチベーションが低かった。僕は徳島県の出身で、最近東京の友人と話して中高時代の環境の違いにショックを受けました。放課後の過ごし方など、地方にこそ新しい選択肢があってほしいです」(大学2年の男性 20)

●「ゆとり教育にはネガティブな印象があり、ゆとり世代の自分も自己肯定感が低かったが、そこに込められた思想や活躍する同世代の話を今回聞き、この世代だからこそ前例のないことができるんだ、と自信をもらえました」(団体職員の男性 25)

●「ゆとり世代の自分は『総合学習の時間』を生徒として経験したので、教える立場になった今も違和感なく取り組めています。『教える側もアップデートしないといけない』という喜多恒介さんの発言に、まさにそうだと思いました」(中高一貫校教員の女性 29)

●「ゆとり世代の新入社員には、海外留学やボランティアなど多様な経験を積んだ優秀な人が多い。一方で学校外の時間をどう過ごすかは、親の意識や経済力の影響が大きい。ゆとり教育は、家庭環境に恵まれない子に学校外でどんな気づきを与えるかまではケアできず、格差を広げたのではないか。成長する機会は公平に与えられるべきです」(不動産会社社員の男性 39)

●「大学2年の娘は、個性を重視するゆとり教育を満喫して育った。学校の生徒会長や部活動の部長になったり空手を習ったりして、幅広い選択肢があったのはよかった。ただ、先生は対応できていないと感じていました。先生も校外に出て社会とつながるべきだし、外の人をもっと学校に入れていく必要があるでしょう」(会社経営者の男性 53)

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膨張する防衛予算 大綱見直しに潜む危うさ - 毎日新聞(2018年9月3日)

https://mainichi.jp/articles/20180903/ddm/005/070/053000c
http://archive.today/2018.09.03-040344/https://mainichi.jp/articles/20180903/ddm/005/070/053000c

安倍政権は「防衛計画の大綱」見直しをテコに防衛費を大きく膨らませようとしているようだ。
2019年度防衛予算の概算要求額は5兆2986億円で、今年度予算比2・1%増となった。
ただし、例年の予算に含まれる米軍再編関連経費2200億円超が金額を示さない「事項要求」扱いとなっており、実質的な概算要求額は5兆5000億円を超え、今年度予算比の伸び率は6%を上回る。
安倍政権下、防衛費はこれまで6年連続で増えてきたが、伸び率はおおむね2%以内、高い年でも2・8%だった。今回の概算要求は突出しており、それを事項要求という小手先の操作で隠そうとしたわけだ。
政府は年末に防衛大綱を見直し、新大綱に沿って来年度から5年間の中期防衛力整備計画を策定する。
政府は先週、大綱見直しへ向けた有識者懇談会の初会合を開いたばかりだ。今後、予算編成と並行して議論が進められるのに、防衛費の膨張が既定路線となっている。
概算要求には、新大綱の目玉になりそうな陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の整備費2352億円が計上された。その大半は米政府と直接契約する有償軍事援助(FMS)だ。
FMSは米側の言い値を押しつけられる懸念が指摘されながら、近年急増している。概算要求に計上されたFMSの新規契約額は6917億円で、今年度予算の4102億円から7割近く跳ね上がった。
配備まで6年かかるとされる陸上イージスの導入を、大綱の見直し論議を待たずに決める必要があったのか。その背後に、武器の大量購入を迫るトランプ米大統領がちらつく。
防衛費は国内総生産(GDP)比1%に届かない水準で長らく推移してきたが、来年度以降は1%突破が視野に入ってきそうだ。
自民党トランプ大統領が欧州諸国にGDP比2%を求めていることを念頭に防衛予算を確保するとの提言を5月にまとめている。提言には敵基地攻撃能力の保有やヘリ搭載護衛艦の空母化なども盛り込まれ、大綱見直しの論点になる見込みだ。
概算要求の伸びが防衛政策の転換を図る布石だとしたら危うい。慎重な議論を求めなければならない。

膨張する予算 法律で縛ったらどうか - 東京新聞(2018年9月3日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018090302000176.html
https://megalodon.jp/2018-0904-1207-51/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018090302000176.html

来年度当初予算案の概算要求は五年連続で百兆円を超え、過去最大を更新した。危機感なき借金まみれ予算をいつまで続けるのか。自ら抑制できないのなら、法律をつくって縛るしかないだろう。
財政健全化の国際公約だった「二〇二〇年度までの基礎的財政収支プライマリーバランス=PB)の黒字化目標」を六月に断念した直後の予算編成である。
当然、厳しい概算要求基準を設けるかと思いきや、今回も歳出上限の設定を見送るなど相変わらずの締まりのなさだ。
PB黒字化を実現できなかったのは経済成長率を甘く設定したためだ。成長頼みが通用しないのは明白なのに、いまだ政権が「経済再生なくして財政健全化なし」を基本方針とするのは危機感がなさすぎると言わざるを得ない。
毎年繰り返される手法も問題がある。今回も、人づくり革命など政権が掲げる主要政策に優先的に予算を配分する「特別枠」を設け、一八年度より約一割増の四・四兆円に積み増した。
歳出にメリハリを付けるのが特別枠の狙いというが、実態は各省庁が便乗して似たような要求を並べ、かえってメリハリを失っていると批判された。この手法がはたして政策効果を上げているのかどうか検証すべきだ。
概算要求とは別枠で、一九年十月からの消費税増税の影響を和らげるための経済対策の予算も組む。自民党から十兆円規模を求める声がある。
8%から10%に引き上げると税収増は五兆円程度だ。これでは右手で増税し、左手では税収増の倍の額をバラまくようなものだ。一体、何のための増税か分からない。来年は参院選統一地方選があり、歳出圧力は例年になく強い。査定する財務省は不祥事が響いて弱体化しているのでなおさら心配だ。
財政健全化が官僚や政治家任せでは進まないのであれば、法律で強制力を持たせるしかないのではないか。かつては、米国の包括財政調整法(OBRA)などにならい、財政健全化の具体策を盛り込んだ財政構造改革法を定めたこともある(一九九七年)。
金融危機など日本経済が不況に直面して凍結されはしたが、欧州連合(EU)をはじめ多くの国・地域が法制度によって財政健全化に努めている。
先進国で最悪の借金を抱え、少子高齢化が最も深刻な日本も再導入を検討すべきだ。

<元気人@かながわ> お笑い端緒、人権守る 藤塚雄大さん(31歳):神奈川 - 東京新聞(2018年9月3日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201809/CK2018090302000126.html
https://megalodon.jp/2018-0904-1840-32/www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201809/CK2018090302000126.html

本業は弁護士ながら、ピン芸人「まさるバンド」として活動している。透明人間との漫才コンビという設定。二〇一七年、「ひとり芸日本一」を決める「R−1ぐらんぷり」で一回戦を突破した。プロの芸人も出場し、八人に一人ほどしか通過できないといわれる狭き門。「司法試験に合格した時よりうれしかった」と振り返る。

■人をばかにせず
人権擁護に取り組む職業柄、こだわりがあり、「人をばかにするネタはやらない。誰も傷つかないお笑いを目指しています」。時事問題を積極的に取り入れ、憲法原発を考える集会に招かれるなど活動の場を広げている。
昔から人を笑わせるのが好きだった。お笑いの世界に足を踏み入れたきっかけは中学時代。当時はやっていたテレビのコメディー番組のパロディーを学年集会で披露し、大受け。味をしめて大学ではお笑いサークルに入って技を磨いた。
その頃、中学時代の担任がうつ病を患い、退職したと知った。「働く中で人が健康を害することがあるのか」と労働問題に興味を持ち、弁護士を目指すようになった。
大学卒業後は法科大学院に進み、勉強に専念するためお笑いは封印した。そのかいあってか司法試験に合格。厚木基地大和市綾瀬市)周辺の住民が国に損害賠償と飛行差し止めを求める騒音訴訟の弁護団に加わるなど、弱い立場に寄り添った活動に力を入れる。

■親しみやすさを
印象深いのは、ある末期がん患者の家族からの相談。持ち家があることを理由に、生活保護の申請を断られていた。同行して丁寧に担当者に事情を説明したところ、認められて自宅で最期を迎えられた。「家に居続けられるなんて夢のようです」という患者の家族の言葉が忘れられない。
弁護士になって再びお笑いの世界に戻ってきたのは、単に好きだからという理由だけではない。「お堅い人」というイメージがある弁護士を、親しみやすいと感じてほしいからだ。
法律の力で問題解決につなげられるのに、相談してもらえなかったり、遅れたりしてしまうケースが少なくないと感じている。次のネタはブラック企業にするつもりだ。「文句を言っても何も変わらないと、誰にも相談しない人が多い。お笑いをきっかけに相談へのハードルが下がり、困り事を抱える人の権利を守ることにつながればうれしい」 (加藤益丈)

私の履歴書
1987年 藤沢市生まれ

2005年 高校3年の時に、高校生のお笑いナンバーワンを決める「M−1甲子園」に出場

 06年 大学に入学しお笑いサークルに所属。以降、4年連続でR−1ぐらんぷりに出場するも1回戦で敗退

 10年 法科大学院に進学。お笑い活動は中断

 14年 司法試験に合格

 15年 横浜法律事務所に入り弁護士として活動を始める

 17年 R−1ぐらんぷりに5回目の出場。初めて1回戦を突破したが、2回戦で敗退

(筆洗) カクテルの「王様」、マティーニの作り方はおおよそジンが「三… - 東京新聞(2018年9月3日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2018090302000140.html
https://megalodon.jp/2018-0904-1851-12/www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2018090302000140.html

カクテルの「王様」、マティーニの作り方はおおよそジンが「三」に対して、ベルモットが「一」でこれよりもジンの割合が高いものがドライ・マティーニとなる。
ヘミングウェーの小説「河を渡って木立のなかへ」にかなり辛口のマティーニを飲む場面がある。ジンが「十五」でベルモットが「一」。ほとんどジンである、そのカクテルの名は「モンゴメリ将軍」。第二次世界大戦で活躍した英陸軍の軍人。なんでもこの将軍、相当慎重な人らしく、味方と敵の戦力比が「十五」対「一」にならないと攻撃しなかったとか。
もっと辛口のマティーニがご所望ならばその名は皮肉をこめてこうなるか。「日本共生社会」。中央省庁が障害者雇用者の数をごまかしていた問題である。
ひどいバーテンダーがいたもので機会の開かれた社会のため、働く人のうち一定の割合で障害者を雇う法令を定めたにもかかわらず、実際は雇っていなかった。ただでさえ、その比率は低いのに、入れたふりをして入れていたのはその半分。これが「共生社会」の現実なのか。雇用を待つ障害者には無情の仕打ちである。
既に亡くなった人を障害者として算入していたケースもあったと聞く。ごまかしのカクテルを障害者雇用の手本となるべき中央省庁が作った。
飲めば、気分が沈み、大声で泣きだしたくなる、その悪い酒。一から作り直さねばならない。

LGBT相談の場:あっても児童・生徒に周知せず、7割 - 毎日新聞(2018年9月3日)


https://mainichi.jp/articles/20180903/k00/00m/040/118000c
http://archive.today/2018.09.05-003201/https://mainichi.jp/articles/20180903/k00/00m/040/118000c

小中学校調査
LGBTなど「性的マイノリティー」に関し、悩みを相談できる場や相談相手となる教職員が存在する小中学校のうち、69%がその存在を児童・生徒に周知していなかった。静岡理工科大(静岡県袋井市)の調査で判明した。文部科学省は相談体制の充実を全国の学校に呼び掛けているが、同大は対応が現場任せで「教諭の知識・経験不足で関わり方が分からないのでは」と分析。男女混合名簿導入など性別による区分を避ける小学校は74%、中学校は44%と対応に違いが出ていることも明らかになった。
文科省は2015年、教職員らによるサポートチームをつくることなどを全国の教育委員会に通知。自認する性別の制服・体操着の着用や多目的トイレの使用を認めるなど、各学校で実施されている配慮事例を紹介したが、実際の対応は現場任せになっている。
調査は同大の本多明生・情報学部准教授らが昨年10月以降、無作為で抽出した全国の小中学校5500校に書面で(1)「学校全体で取り組んでいる支援・配慮」(2)「特定の児童・生徒に対する支援・配慮」の2項目を聞いた。小学校は(1)(2)とも831校(有効回答率22%)、中学校は(1)495校(2)500校(同いずれも28%)が回答した。
(1)の設問で、相談できる教職員らがいるとしたのは小学校660校(79%)、中学校441校(89%)。このうち約7割に当たる小学校466校、中学校296校が相談先の存在を児童・生徒に周知していなかった。約8割の小中学校が「性的マイノリティーに配慮する認識が教職員の間で共有されている」と回答する一方、教職員向けの研修会を実施していた学校は小学校220校(26%)、中学校103校(21%)と低水準だった。
小学校と中学校で差が出たのが、男女混合名簿や「さん」付け呼称の導入など性別による区分の解消。(2)の設問で聞いた具体的な取り組みでは、自認する性別の服装や髪形を認めていた小学校は5割以上あったが、中学校は3割台だった。
本多准教授は「(小中学生は)自らの性的指向を認識し始める時期。性的マイノリティーの児童・生徒はいじめの対象や不登校になりやすい」と指摘している。【加古ななみ】

性的マイノリティーの児童・生徒に対する支援策の導入割合
            小学校  中学校
相談できる教職員がいる  79% 89%
性別による区分を避ける  74% 44%
教職員向けの研修会の実施 26% 21%
授業で取り上げる     19% 32%
教職員向けの手引の作成  15% 11%

【ことば】性的マイノリティー
性自認性的指向が多数派と異なる人たち。「LGBT」と称されるレズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(体の性と性自認が異なる人)のほか、性自認が男性でも女性でもない「Xジェンダー」や、性自認性的指向が分からなかったり迷ったりしている「クエスチョニング」などがある。

解消されぬ無戸籍問題 民法改正の議論を早急に - 毎日新聞(2018年9月3日)

https://mainichi.jp/articles/20180903/ddm/005/070/051000c
http://archive.today/2018.09.05-003415/https://mainichi.jp/articles/20180903/ddm/005/070/051000c

親の都合で出生届が出されなかったのが原因で無戸籍となり、不便を強いられる。そんな理不尽な状況が、解消に向かうのか。法務省有識者による研究会を近く設け、民法見直しの検討に着手する。
民法は、結婚中に妻が妊娠した子は夫の子とする「嫡出推定」を定めている。離婚後も300日以内に生まれた子は戸籍上、元夫の子と記載される。この推定を覆す「嫡出否認」の訴えは、夫だけが提起できる。
このため、別居中に別の男性との間に子をもうけても、夫の協力がなければ、その男性の子として出生届を出せず、無戸籍になってしまう。妻が夫の暴力から逃れているような場合は深刻だ。
法務省が把握している715人の無戸籍者のうち4分の3は、嫡出推定の規定によって子が夫の戸籍に登録されるのを避けるために出生届を出さなかったケースという。
戸籍がないと原則として住民票やパスポートを取得できず、行政サービスが十分に受けられない。
阪高裁は先月、嫡出否認の規定は男女平等に反し違憲だとして国に損害賠償を求めた60代の女性と娘らの訴えを棄却した。娘は約30年間も無戸籍で、孫も無戸籍になった。
判決は嫡出推定を含む家族制度について「国会の立法裁量にゆだねられるべきだ」と指摘した。1審・神戸地裁は、請求は退けたものの「妻が否認権を持つことを検討する余地がある」と提言していた。
法務省は昨年、各地の法務局などに対し、関係機関で連携して無戸籍者の解消に取り組むよう指示した。だがその後も無戸籍者の数に大きな変わりはない。やはり現行の法制度に限界があると考えるべきだ。
民法の規定を改め、妻や子が嫡出否認の訴えを起こせるようにしても、大きな混乱は生じないだろう。別居の実態や血縁の有無などを裁判所が適切に審理すればよい。裁判を通じて元夫に妻の住所を知られる懸念も、実務上の配慮で解消できる。
嫡出推定のルールは明治時代から変わっていない。戸籍のあり方にはさまざまな議論があるが、離婚や再婚が増えるなど家族のあり方は変化しており、実情に合わないのは明らかであろう。救済のための民法改正を本格的に検討すべきだ。

ひとり親支援 公平な税制へ見直しを - 朝日新聞(2018年9月3日)

https://www.asahi.com/articles/DA3S13662100.html
http://archive.today/2018.09.04-033918/https://www.asahi.com/articles/DA3S13662100.html

ひとりで子どもを育てる親の税負担を軽減する「寡婦寡夫)控除」の対象に、未婚のひとり親も加える見直し案を、厚生労働省税制改正要望に盛り込んだ。昨年末の与党税制改正大綱で検討課題とされたことを受けて、初めて提案した。政府・与党内で年末の大綱決定に向けて議論される。
家族のかたちは多様だ。ひとり親となる事情も様々だ。なのに同じひとり親家庭で、親が法律上の結婚をしていたかどうかで差をつけるのは不合理だ。子どもの貧困対策、公平・中立・簡素という税制の原則の観点からも、速やかに見直すべきだ。
寡婦控除の制度は、夫を戦争で失い、子どもを抱えて困窮する女性を支援するため、1951年にできた。所得税や住民税の負担を軽くするため、課税所得から一定額を差し引く。控除の適用があるかないかは、税制以外の様々な低所得世帯向けの施策にも影響する。
制度の見直しを重ね、子どものいない女性や、妻を亡くした夫にも対象は広がった。だが、配偶者と死別や離婚した人に限られ、未婚のまま子どもを育てるひとり親は制度の外に置かれてきた。
16年の厚労省の調査によれば、推計で123万の母子世帯のうち「未婚の母」は約10万7千世帯で、「死別」の約9万9千世帯を上回る。未婚の母の世帯の年間就労収入は平均177万円で、母子世帯全体の平均200万円より少ない。
親の経済状況は子どもの成長に大きく影響する。なのに経済的により苦しい世帯が、支援から取り残されている状況だ。
厳しい現実を知る自治体の現場ではすでに、保育料などの基準となる所得を算定する際に、未婚のひとり親も寡婦控除を受けているとみなす「みなし適用」が広がっている。後追いする形で国も、公営住宅の家賃の減免や子どもの医療費の助成制度などで「みなし適用」を進め、9月からは保育所や幼稚園の利用料にも適用を広げた。
だが、「みなし適用」はそもそも、国の税制が実態に合っていないため、自治体が考え出した苦肉の策だ。住民税にも同じ問題があり、解決のためには税制自体を変える必要がある。部分的な手直しを重ねるのではなく、根本の矛盾を国が解消するのが筋だ。
与党・自民党内には法律婚にこだわる議員が少なくない。子育て支援の拡充、子どもの貧困対策を掲げる安倍首相は党内を説得し、見直しに道筋をつけるべきだ。

木村草太の憲法の新手(87)続・共同親権 父母の関係悪いと弊害大きい - 沖縄タイムス(2018年9月2日)

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/307920
http://web.archive.org/web/20180902112246/http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/307920

前回に引き続き、離婚後の共同親権の導入について検討しよう。日本の民法では、親権は、(1)子と同居し保護する監護権(820条)と、(2)教育・居所・職業選択・財産管理などの重要事項決定権(820〜824条)の二つからなる。両者は性質が異なるので、共同親権を検討する場合にも、二つを切り分けて議論を進めるべきだ。
まず、(1)監護権の共同について。離婚後の父母は別居が一般的だから、移動に伴う子の負担などを考えると、父母双方と同等の時間を過ごし監護を受けることは現実的でないことが多い。「共同親権」と呼ばれる制度をとる諸外国でも、離婚後の父母双方が、子と同居・監護する権利を等しく分かち合うケースはまれだ。共同の監護権を活用できるのは、父母が良好な関係のまま近所で別居し、双方の家を子どもが行き来することに無理がない場合など、特殊な事例に限られる。
では、現行法はそのような事例に対応できるか。この点、現行の民法766条、771条は、「子の利益」のためになるなら、当事者の協議や裁判所の判断で、面会交流や監護の内容を柔軟に決めることを認める。例えば、「父に親権を与えた上で、日常同居し監護するのは母とする」ことや、「父母が隣り合った住居に住み、子は1年の半分を父の家で、残りは母の家で過ごす」という取り決めも可能だ。つまり、新たに共同で監護権を行使する制度を導入する必要性は低い。
この点、「裁判所は、別居親に監護の機会を与えてくれない」という批判の声もある。しかし、それは、裁判所の人員や運用に問題があって、裁判所が適切な判断をできていないか、あるいは、客観的に見て別居親の監護が「子の利益」にならないことによる。法律の定めるルールの内容に問題があるわけではない。
次に、(2)重要事項決定権を父母が共有する制度について。この制度の下では、同居親と子が、転居・進学・就職などの際に別居親の同意を得なければならない。もしも、父母の関係が良好なら、親権の有無にかかわらず、重要事項については協力して決定しているだろう。
他方、父母の関係が悪い場合、同居親への嫌がらせや、不適切な面会を強要するために同意権を乱用するリスクがあり、弊害が大きい。そこまでひどい事例でなくても、病院に行ったり、塾を選んだりするたびに別居親の同意を得るのは煩雑だろう。上川法務大臣も「父母の関係が良好でない場合に、親権の行使について父母の間で適時に適切な合意を形成することができない」おそれがあるとの指摘を紹介している。
単独親権者が、子の福祉に反する決定をする危険を指摘するものもいるが、その場合には、親権者を変更すべきだ。共同親権を維持すれば、子の福祉を害する親にまで権利が残ってしまう。
このように、(1)監護については既に十分な条文があり、(2)共同の重要事項決定権は、父母の関係が良好なら不要で、悪いなら弊害が大きい。共同親権制度導入の必要性は低い。仮に導入するにしても、父母が同居し事実婚関係を継続する場合など、親権乱用の危険がないことが明らかな場合に限定すべきだ。(首都大学東京教授、憲法学者

(中高生のネット依存)危機感持って対策急げ - 沖縄タイムス(2018年9月3日)

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/308112
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生まれた時からインターネットが身近だった若い世代で、ネット依存が急増している。
厚生労働省研究班が2017年度に実施した調査によると、病的なネット依存が疑われる中学生と高校生が全国で93万人に上った。5年間でほぼ倍増するという衝撃的な数字である。実に中高生の7人に1人という深刻さだ。
ネット依存は、スマートフォンなどでゲームや会員制交流サイト(SNS)にのめり込み、行動をコントロールできなくなった状態をいう。「やめたくても、やめられない」という意味ではギャンブル依存症などと同じだ。
朝起きられずに学校に遅れたり、休んだりするのが典型的な症状で、無理に取り上げようとすると暴力を振るうなど、周囲との関係を悪化させるケースも少なくない。うつ病などの合併症や脳の障害を引き起こす恐れもある。
背景にあるのは、内閣府の調査で中学生で6割近く、高校生で9割以上に広がるスマホの所有・利用だ。中学生で1日およそ2時間半、高校生で3時間半も利用するなど、生活に欠かせない存在となっていることも深く影響しているのだろう。
中でも目立っているのが、複数人で遊ぶオンラインゲーム依存である。数人でチームをつくる場合、1人だけ抜けることは難しい。さらにゲーム内で販売されるアイテムの課金システムが依存性を高めているといわれる。
本人の意思や親のしつけの問題と突き放しては解決は遠のく。

■    ■

今年6月、世界保健機関(WHO)はゲームのやり過ぎで日常生活が困難になる「ゲーム障害」を新たな疾病とした。各国で問題化するネット依存を病と認めたのである。
ゲーム自体を否定しているのではない。ただゲームには依存性があり、特に子どもは依存に陥りやすく、そのための対策は必要だ。
ゲーム人口の低年齢化が進む中国では、子どものオンラインゲーム禁止を含めた方策が議論されている。韓国政府はネット依存の青少年を山間部の施設に集め、合宿形式での治療に取り組んでいる。
国内では人気オンラインゲーム会社が適正利用時間を画面に表示するなど注意喚起を進めるが、政府としての対策は大きく出遅れている。
問題への危機感を官民で共有し、それぞれの責任で取り組みを急いでもらいたい。深夜の利用や接続時間の制限など、子どもを依存から守る方策を検討すべきである。

■    ■

もちろん親が子どもの話を聞いて対策を考えることも大切だ。
先の内閣府の調査で気になったのは、ネット利用に関する家庭内のルールについて、保護者の84%が「決めている」と回答したのに対し、子どもは65%と認識がズレていた。
いま一度親子でネットの適切な使い方を話し合い、午後10時以降は使わないなどルールを再確認してほしい。 
依存が低年齢化していることを考えれば、小学校からの予防教育も重要となる。

(大弦小弦)人口は400人余りで、離島を除けば全国最少… - 沖縄タイムス(2018年9月3日)

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/308099
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人口は400人余りで、離島を除けば全国最少。高知県大川村は四国の真ん中、深い山に抱かれる。昨年、「村議会廃止を検討」が全国ニュースになった

▼高齢化もあり、来年の村議選で候補者が足りず議会が成立しない恐れがあった。そこで和田知士(かずひと)村長(59)が提案したのが「村総会」。有権者が集まって予算などを審議する直接民主制の仕組みだ。ただし前例は少なく、運営ルールもない

▼大川村は上空に米軍機の低空飛行訓練ルートがあり、5年前に取材で訪ねた。今回、電話で答えてくれた和田村長は「みんなが村政に無関心、無責任なら村が消滅してしまう。喚起するために言った」という

▼「投票したい人がいないなら、探して出してほしい。人ごとではなく自分ごととして考えて」。訴えが届いたのか、新人出馬の動きがあるという。総会導入の検討は取りやめた

▼沖縄も人ごとではない。統一地方選はピークの今週、26市町村の議員選が告示される。このうち渡名喜村は人口が大川村とほぼ同じ。宜野座村伊平屋村は1カ月前まで候補者が足りなかった

▼棄権すれば「議会なんていらない」という意思表示になる。代わりに直接民主制の責任を引き受けるか。やりがいも大変なこともありそうだ。選択の前に一度、議会のない未来を想像してみるのがいいかもしれない。(阿部岳)

重いランドセル 文科省が“置き勉”認めるよう全国に通知へ - NHKニュース(2018年9月3日)

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180903/k10011605301000.html
http://archive.today/2018.09.02-205354/https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180903/k10011605301000.html

各地の学校で新学期が始まる中、文部科学省は子どもたちのランドセルなどが重すぎるという意見を踏まえて、宿題で使わない教科書などは教室に置いて帰ることを認めるよう、全国の教育委員会に対して求める方針です。

小中学校では教える量の増加で教科書が分厚くなり、教材も増える一方、原則それらを自宅に持ち帰るよう指導しているところも少なくありません。

そのため、ランドセルなどの荷物は重量が増し、腰痛となる子どもたちも出始めるなど、対策を求める声が上がっていました。

文部科学省は全国の教育委員会などに、従来の学校の対応を見直すよう近く通知する方針です。具体的には、家庭学習で使用しない教科書や、リコーダーや書道の道具などについては、施錠ができる教室の机やロッカーに置いて帰ることを認めるよう求めています。

また、学校で栽培したアサガオなどを持ち帰らせる場合は、保護者が学校に取りに来ることを認めるとしています。

文部科学省は「子どもたちの発達の状況や通学の負担などを考慮し、それぞれの学校でアイデアを出し合って対応してほしい」と話しています。

「苦役のような通学は見直すべき」
子どもたちのランドセルの重さについて、大正大学の白土健教授が去年、小学1年から3年までの合わせて20人の児童を調査した結果、平均の重量は7.7キロでした。

小学1年生の平均体重はおよそ21キロですが、なかには体重の半分近い9.7キロのものもあったということです。

白土教授は「体重の20%から30%の荷物を長時間持つと健康に悪影響があるという話もある。子どもが毎日小学校に苦役のように通うことは見直すべきだ」と話しています。