(政界地獄耳)「大島所感」検証を - 日刊スポーツ(2018年8月4日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201808040000165.html
http://archive.today/2018.08.04-012819/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201808040000165.html

衆院議長・大島理森は先月31日、国会内で会見し所感を発表し、通常国会を振り返った。厚労省の労働時間調査での不適切データ問題に言及し、森友学園を巡る財務省の決裁文書改ざんや自衛隊日報隠蔽(いんぺい)、加計学園疑惑や前財務次官のセクハラ問題を念頭に「政府は深刻に受け止めてほしい。再発防止のための制度構築を強く求める。個々の関係者の一過性の問題として済ませず、深刻に受け止めていただきたい」と要望。国民の思いを代弁した形だ。
★相次ぐ政権の不祥事について、野党の追及にもかかわらず、政府与党は真摯(しんし)に向き合わず、衆院議長から極めて厳しい、安倍政権への反省と改善を促す異例の所感となった。「民主主義の根幹を揺るがす問題だ。立法府の判断を誤らせる恐れがある。国民に大いなる不信感を引き起こし、極めて残念な状況となった」と苦言。「国民の負託に十分に応える立法・行政監視活動を行ってきたか、検証の余地がある」とも指摘した。
官房長官菅義偉に所感は手渡されたが、ジャーナリスト・江川紹子はネットで「大島衆院議長の所感を伝える各紙(毎日5面、朝日4面、読売4面)。立法機関の長がわざわざ記者会見まで開いたというのに、こんな扱いの報道でいいんだろうか…」と、各紙の扱いの小ささに疑問を呈した。この国会は、大島が指摘する“相当問題の多い”議会だったが、森友・加計学園疑惑など一連の政権の対応とそれを守ろうとする官僚が、国会で平気でうそをつくことを、途中からメディアは飽きたかのように扱わなくなった。
★まさに大島の所感の記事の扱いが、それを象徴しているのではないかとの指摘に、政府も答えるべきだが、メディアも真摯に受け止めるべきではないのか。大島所感を、きちんと検証すべきだ。(K)※敬称略

衆院議長 「国民の前で堂々と議論を」所感で政府に苦言 - 毎日新聞(2018年7月31日)
https://mainichi.jp/articles/20180801/k00/00m/010/090000c
http://archive.today/2018.08.01-055038/https://mainichi.jp/articles/20180801/k00/00m/010/090000c
政権不祥事「民主主義 根幹揺るがす」 衆院議長、異例の所感 - 東京新聞(2018年8月1日)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201808/CK2018080102000160.html
https://megalodon.jp/2018-0801-1335-15/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201808/CK2018080102000160.html

女性差別入試 文科省は一斉調査を - 東京新聞(2018年8月4日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018080402000161.html
https://megalodon.jp/2018-0804-1006-53/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018080402000161.html

身勝手にあきれる。得点操作で女性への門戸を狭めた疑いのある東京医科大は女性医師の離職率の高さを理由としているという。受験生の疑念を晴らすためにも文科省は不正に厳しく対応すべきだ。
関係者によると、得点操作は以前から暗黙の了解として行われ、年度ごとに一定の係数を掛けて、一律に点数を減らしていたという。女子の合格者を全体の三割前後に抑える目的だったとされる。二〇一八年度、女子が合格者に占める割合は17・5%だった。
大学は内部調査の結果を来週にも公表予定というが、受験勉強を重ねた揚げ句、何も知らされず人生を変えられた女子受験生たちにすみやかに謝罪し、救済措置や補償を考える必要がある。
大学側は、系列病院の医師不足を避けたいという思惑があったという。結婚や出産を機に仕事を辞める女性も多いとされ、実際、医籍登録後十二年の女性医師の就業率は73%で男性より16ポイント以上低い。
ではなぜ、女性医師は家族を持ったときにキャリアを諦めてしまうのか。背景には性別を問わず過酷な労働実態がある。一六年、厚生労働省研究班が初めて実施した大規模調査では、二十代勤務医は週平均五十五時間働き、これに当直や病院外などでの待機時間が十二時間以上加わる。
誰もが長時間労働をしているもとでは、子どものお迎えなどの事情で早く帰る医師がいれば、その肩代わりは過重と受け取られる。仕事と家庭の両立を目指しても、上司や家庭の無理解で燃え尽きていくという現実もあるようだ。長時間労働で何とか成り立ついびつな職場を支えるために、入試をゆがめるのは本末転倒ではないか。
ほかの大学で同様の不正はないか、文部科学省は直ちに調査する必要がある。
幹部が同大の不正入試を巡って受託収賄の罪に問われている渦中だけに、監督官庁としてどう対応するか、人々はより厳しく見つめている。
近年、医師国家試験合格者に占める女性の比率はずっと、30%台で推移している。入試という「入り口」で、ガラスの天井が生み出されているのではないかという疑念の声もある。
医師として多様な人材がいた方が、患者にとっては安心につながり、医療の「質」も高まる。これを機に、性にかかわらず働きやすい環境づくりを加速するべきだ。

(筆洗)東京医科大で明らかになった入試を巡る女性差別である - 東京新聞(2018年8月4日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2018080402000159.html
https://megalodon.jp/2018-0804-1008-56/www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2018080402000159.html

文明開化の時代と言っても、明治期に女性が医師になるのは社会の想像外のことだったようだ。現在の愛知県に生まれた高橋瑞子(みずこ)は三日三晩、東京の私立医学校、済生学舎の門前に立ち続けている。許されていなかった女性の入学を校長に直接求めるためだった。
高橋は、「女性はだめ」という病院や役所にも直談判している。固く閉ざされていた門戸は開く。教室には男たちの悪口があったが、高い志を貫き、日本で三番目の女性医師になった。
腕のよさもあり開業後は人気を集めたらしい。切り開いた道を多くの女性が歩むことになる。日本女医会は百年史で<日本女医の開拓者>と高橋をたたえた。
男尊女卑の気風が残り、「女に学問はいらない」と言われていたころのことだが、当時を思わせるような出来事があるとは想像外だった。東京医科大で明らかになった入試を巡る女性差別である。女性医師はたくさんいらないとばかりに点数を一律に減らしていた。女性にだけこっそりハンディを背負わせる。受験生は手の打ちようがない。
女性医師の離職が多いことが背景にあるという。だからといって、ひそかに人数を減らすのが、教育機関のとるべき道だったか。女性医師が不可欠な時代に、働き続けるための道を探るべきではないのか。
時計の針を逆転させるような行いが、医師を目指す女性の志をくじかないか心配だ。

東医大が入試で女性差別 全医学部の調査が必要だ - 毎日新聞(2018年8月4日)

https://mainichi.jp/articles/20180804/ddm/005/070/122000c
http://archive.today/2018.08.04-010613/https://mainichi.jp/articles/20180804/ddm/005/070/122000c

大学医学部全体の信用にかかわる、信じがたい差別である。
文部科学省幹部の汚職事件に関与した東京医科大が医学部医学科の入試で、女子受験生の得点を一律に減点し、合格者数を抑えていた。得点操作はマークシートの1次試験の際に行われていた。
減点の結果、受験者数で約4割いた女子は合格者数で3割に減少した。こうした操作は2011年ごろから繰り返されてきたという。
憲法法の下の平等を定め、性別を理由とした不合理な差別を禁じている。公正さを最も重んじるべき入試でこんな差別がまかり通っていたことに驚く。断じて容認できない。
一般的に女子が少ない理系学部などでは「女子枠」を設けるなど、状況改善を目指すケースはある。今回の減点は事前に募集要項などでも受験生に説明されていない。女性数を抑えるための理不尽な不正である。
この得点操作について、大学の関係者は「女性医師は離職率が高く、仕方のない措置だった」と話している。系列病院の医師不足の回避が念頭にあったという。10年の入試で女子合格者数が4割に達したことがきっかけだったとされる。
だが、系列病院の事情と入試を同列視することがそもそも誤りだ。
女性が結婚、出産後も仕事を続けられるようにするために、社会全体の取り組みが進んでいる。改革すべきは、当直など女性の勤務を可能とする系列病院の職場環境だろう。今回の得点操作はその努力を放棄し、女性の活躍の場を奪うものだ。
文科省は同大に過去6年分の入試について調査報告を求めた。徹底的な実態解明が求められることは言うまでもない。
不正が正式に確認されれば、私学助成金カットの対象になる可能性もある。大学は不当に不合格となった受験生への救済措置も含め、早急に対応しなければならない。
懸念されるのは、ほかの大学医学部入試でも女子への差別が行われているのではないか、との声が学生や教育関係者から聞かれる点である。
林芳正文科相東京医大の調査結果を待つ考えを示したが、手をこまねいている場合ではなかろう。文科省は直ちに、全大学医学部の入試の実態調査に着手すべきだ。

(余録)日々の授業が試験の点取りをめざせば… - 毎日新聞(2018年8月4日)

https://mainichi.jp/articles/20180804/ddm/001/070/105000c
http://archive.today/2018.08.04-011213/https://mainichi.jp/articles/20180804/ddm/001/070/105000c

日々の授業が試験の点取りをめざせば、生徒は「構成想像力を使用せず」「発動的の能力に乏しくなる」。古めかしい言葉が示す通り、明治の教育誌がいう試験の弊害である。
生徒の点数崇拝は「自然公愛の心を損害し、危険なる讐(しゅう)敵(てき)心を培養する」と厳しい。そして教師への影響も指摘し、「一箇の人間を養成するゆえんを忘れ、試験場一時の虚飾に備える」ようになった。試験対策優先の教育への指弾だ。
こんな批判が出たのも当時、地域内の学校同士が成績を競う比較試験などが過熱したからだ。成績優秀者や学校には賞が与えられ、点取り競争の弊害が露呈した。ほどなくこの手の試験は下火となる(天野郁夫(あまの・いくお)著「試験の社会史」)
1960年代の全国学力テストの過熱と中止をも思い出させる話である。その後、再び全員調査の全国学力テストが行われている今日だが、大阪市の吉村洋文(よしむら・ひろふみ)市長は学テの成績を教員の手当に反映させる人事評価導入を検討中という。
学テ成績が政令指定都市で最下位なのに教委に危機感がない−−とのいら立ちは分からぬでもない。だが鼻先の手当で教師に点数アップを迫る策、学校教育を学テの点取り対策へとやせ細らせはせぬか。過去の経験からしても心配だ。
やがては成績を学校予算に反映させるとの話だが、むしろ成績の低い学校にこそさまざまな施策が求められよう。この学テ成績と教員手当の連動による学力向上策、先の明治の論評子ならば何と評するか。あれこれ想像すれば怖いものがある。

(大弦小弦)批判的な読者への返答は明快だった。〈戦争、原発、言論圧力、沖縄差別… - 沖縄タイムズ(2018年8月3日)

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/293189
http://web.archive.org/web/20180803110148/http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/293189

批判的な読者への返答は明快だった。〈戦争、原発、言論圧力、沖縄差別、まっぴら御免。こんな『まっぴら』を左翼だとおっしゃるのなら、左翼でけっこうです〉

▼雑誌「通販生活」は2016年の参院選で〈今回ばかりは野党に一票を〉と呼び掛けた。すると、読者172人から「左翼雑誌になったのか」「買い物雑誌に政治を持ち込むな」と手紙が届く。冒頭は誌面に載せた返答の一文。今度は逆に激励の手紙が400通近くが寄せられた

▼立場を鮮明にすることで経営に影響もあるはず。読み物担当の平野裕二さんは「支持する人もいれば離れる人もいる。政治的主張も含めて企業理念を分かった上で買い物してほしい」と語る

通販生活を発行するカタログハウスが、子どもの貧困解消を支援する「沖縄こども未来プロジェクト」に770万円を寄付した(1日付30面)。古くは28年前の中国残留婦人に始まり、チェルノブイリ原発事故、阪神大震災、福島の子の甲状腺検査などで支援を呼び掛けてきた

▼〈お金儲けだけ考えて、政治の話には口をつぐむ企業になりたくない〉。社会に向き合う社の姿勢は一貫している

▼創業者の斉藤駿さんはかつて、支援を募る行為を「過去と未来を重ね合わせていく活動」と説いた。今を生きる私たちにできることを真摯(しんし)にみつめている。(西江昭吾)