農相、愛媛文書を公表 「加計」面会の翌日付 - 東京新聞(2018年4月13日) 

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018041390135450.html
https://megalodon.jp/2018-0413-1524-15/www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018041390135450.html

農林水産省は十三日、学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)の獣医学部新設を巡って愛媛県職員が作成した文書が省内で保管されていたと発表した。愛媛県中村時広知事が作成を認めた文書とほぼ同じ内容で、同県職員が面会した柳瀬唯夫(ただお)首相秘書官(当時)が「首相案件」と発言したことなどが記されていた。
斎藤健農相が閣議後の記者会見で明らかにした。文書の日付は面会翌日の二〇一五年四月三日となっており、受け取った当時の担当職員から同年五月に引き継ぎを受けた後任の課長補佐級の職員が、個人用ファイルに保管していた。本紙が入手し、県が作成を認めた文書の日付は四月十三日となっていた。
農水省で見つかった文書にも、「加計学園から、先日安倍(晋三)総理と同学園(加計孝太郎)理事長が会食した際に、下村(博文)文科大臣が加計学園は課題への回答もなくけしからんといっている」との記載があった。同じ日に面会した藤原豊・内閣府地方創生推進室次長(当時)の「要請の内容は総理官邸から聞いており」「国家戦略特区の手法を使って突破口を開きたい」との発言も、本紙が入手した文書の文言と一致していた。
農水省の調査によると、当時の担当職員は文書について見た記憶はなく、入手の経緯も覚えていないと説明。後任の職員は紙ベースで文書を受け取り、大学の新設は所管外として行政文書として管理しなかったという。斎藤氏は「(保管していた職員は)本人は『言われてみればあったね』ということで、深い認識があったとは思えない。上司に報告したかは分からないが、二人の他に文書の存在は認識していない」と説明した。
農水省は獣医師の国家試験や資格の付与などを所管している。中村知事は十日の記者会見で、県側が柳瀬氏と面会したやりとりの文書が文部科学省農水省内閣府に渡った可能性を示唆。農水省は十日から関係部局への聞き取り調査を進めていた。
斎藤氏は文書について「農水省の所管外なのでコメントは差し控える」と評価を避けた。
文書は愛媛県今治市の課長や加計学園事務局長が一五年四月二日に柳瀬氏や、内閣府地方創生推進室次長だった藤原豊・現経済産業省大臣官房審議官と首相官邸などで面会した際の記録とされる。
◆柳瀬氏「従来のコメント通り」
学校法人「加計学園」の獣医学部新設を巡る愛媛県の文書が農林水産省でも見つかったことについて、当時首相秘書官だった柳瀬唯夫(ただお)経済産業審議官は十三日「報道は拝見したが、これまでのコメントの通りだ」と述べ、記憶がないとする従来の主張を繰り返した。経産省内で記者団に語った。
柳瀬氏は文書の存在が明らかになった十日「自分の記憶の限りでは、愛媛県今治市の方にお会いしたことはありません」と文書でコメントを出していた。
内閣府地方創生推進室次長として二〇一五年当時、加計学園の関係者に助言をしたとされる経産省の藤原豊官房審議官も記者団に「内閣府にお尋ねください」とだけ話した。

加計問題 愛媛県文書と農水省文書を見比べると… - NHK(2018年4月13日)

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180413/k10011401571000.html
http://archive.today/2018.04.13-034724/https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180413/k10011401571000.html

愛媛県が今月10日に作成を認めた文書と13日に農林水産省が公表した文書を見比べると、当時、内閣府で地方創生推進室次長だった経済産業省の藤原豊審議官と当時の総理大臣秘書官だった柳瀬唯夫経済産業審議官の主な発言を記した部分は、2か所細かい言い回しが違う以外、同じ内容が記載されています。

異なっているのは文書1枚目に記された日付です。愛媛県のものが4月13日で、農林水産省のものは4月3日となっています。これは県の職員らが官邸を訪問した翌日です。

さらに、2人の主な発言のあとに、県の方針が書かれた部分に違いがあります。愛媛県のものは「県としては今治市加計学園と十分協議を行い、内閣府とも相談しながら、国家戦略特区の申請に向けた準備を進めることとしたい。また、これと併行して、加計学園が想定する事業費や地元自治体への支援要請額を見極めるとともに、今治新都市への中核施設整備の経緯も踏まえながら、経費負担のあり方について十分に検討を行うこととしたい」と記されています。

一方、農林水産省のものは「県としては国家戦略特区申請のための提案書(案)について、今治市の意向を踏まえて、加計学園とも協議をしながら、連携して策定を進め、内閣府と相談させていただきたい」となっていて、文章の表現が少し異なるほか、県の経費負担には言及していません。

このように2つの文書は細部で異なる箇所がありますが、内容は同じものとなっています。

農水省が公開した文書 主な内容
13日に農林水産省が公表した愛媛県が作成した文書には「平成27年4月3日」という日付が書かれ、表題は『獣医師養成系大学の設置に係る内閣府の藤原次長と柳瀬首相秘書官との面談結果について』となっています。

県と今治市の担当課長と加計学園の事務局長らが平成27年4月2日の午前11時半に内閣府を訪問し、当時、地方創生推進室次長だった経済産業省の藤原豊審議官と面談した、と記載されています。

『藤原次長の主な発言』とタイトルが書かれ、その発言が10の項目に分けて記載されています。

まず、「要請の内容は総理官邸から聞いており、県・今治市がこれまで構造改革特区申請をされてきたことも承知。政府としてきちんと対応していかなければならないと考えており、県・市・学園と国が知恵を出し合って進めていきたい」と発言したと記されています。

続いて、「そのため、これまでの事務的な構造改革特区とは異なり、国家戦略特区の手法を使って突破口を開きたい。国家戦略特区は、自治体等から全国レベルの制度改革提案を受けて国が地域を指定するものであるが、風穴を開けた自治体が有利。仮にその指定を受けられなくても構造改革特区などの別の規制緩和により、要望を実現可能」と述べたとしています。

さらに、「今年度から構造改革特区と国家戦略特区を一体的に取り扱うこととし、年2回の募集を予定しており、遅くとも5月の連休明けには1回目の募集を開始」と今後のスケジュールについて説明したとしています。

そのうえで、「ついては、ポイントを絞ってインパクトのある形で、2、3枚程度の提案書案を作成いただき、早い段階で相談されたい」「提案内容は、獣医大学だけでいくか、関連分野を含めるかは、県・市の判断によるが、幅広いほうが熱意を感じる」「獣医師会等と真っ向勝負にならないよう、既存の獣医学部と異なる特徴、例えば、公務員獣医師や産業獣医師の養成などのカリキュラムの工夫や、養殖魚病対応に加え、ペット獣医師を増やさないような卒後の見通しなどもしっかり書き込んでほしい」とアドバイスを受けたように記されています。

そして、「かなりチャンスがあると思っていただいてよい」「新潟市の国家戦略特区の獣医学部の現状は、トーンが少し下がってきており具体性に欠けていると感じている」と発言したとしています。

国民審査求め提訴 在外邦人の投票不可「違憲」 - 東京新聞(2018年4月13日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201804/CK2018041302000135.html
http://web.archive.org/web/20180412230524/http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201804/CK2018041302000135.html

海外在住の日本人が最高裁裁判官の国民審査に投票できないのは違憲だとして、米国在住の映画監督想田和弘さん(47)ら五人が十二日、次回の審査で投票できる地位にあることを確認することなどを国に求めて東京地裁に提訴した。
五人は昨年十月に国民審査が行われた時、米国とブラジルに在住。訴状で「国は国外に暮らす日本人が最高裁裁判官の審査をすることを拒んできた。国民主権に基づき国民審査を保障する憲法に違反する」と主張している。
在外邦人の選挙権を巡っては、最高裁が二〇〇五年、国政選挙で比例代表でしか投票を認めていないのは違憲と判断。法改正で衆院小選挙区参院選挙区での投票が可能となった。
一一年には今回と同種訴訟で、東京地裁が原告の請求を退けたが、「合憲性に重大な疑義がある」と指摘している。この訴訟で国側は在外邦人に国民審査を認めない理由について、各裁判官の氏名を投票用紙に印刷してから各在外公館へ送付し、回収するのに日数がかかり「開票に間に合わせることは不可能」としていた。
国民審査は憲法七九条に基づき、任命後初の衆院選と同時に行われ、前回審査から十年経過後の衆院選ごとに再審査を受ける。外務省領事局によると、海外在留邦人は約百三十三万八千人(一六年十月現在)。総務省自治行政局選挙部管理課は「訴えが提起されたことも関知しておらず、コメントできない」としている。

◆原告ら「政治の怠慢 訴訟で不備ただす」
原告らは提訴後、東京・霞が関の司法記者クラブで会見し、国民審査の在外投票を認めるよう訴えた。二〇一一年の東京地裁判決が、在外邦人に国民審査の投票を認めていないことに「重大な疑義がある」と指摘してから七年。想田和弘さんは「ただされないのは政治の怠慢。訴訟によって不備をただしていくのも一つの社会参画の仕方と信じている」と訴えた。
原告の弁護士谷口太規さん(39)は「国民審査は司法が民主主義に立脚するのに不可欠な制度」と強調した。

安倍改憲の本当の中身 - HUNTER(2018年4月13日)

http://hunter-investigate.jp/news/2018/04/post-1186.html

国の役所が国有地を破格の値段で売却したり、学会や獣医師団体の意見を無視して獣医学部を新設するなど、この国の行政が大きく歪んだ。政策決定過程の検証で浮かび上がってきたのは、官僚による虚偽答弁、隠蔽、改ざん、でっち上げといった事実上の犯罪行為だった。
背景にあるのは、総理大臣や総理夫人のお友達に対する、政府をあげての“便宜供与”である。霞が関を犯罪者集団にしたのは、紛れもなく安倍晋三という無責任な政治家だが、希代の戦争好きは、この期に及んでも「憲法改正」をやるのだという。
安倍改憲の本当の中身とは――。
◆狙いは「国軍」の創設
安倍政権が憲法改正を実現したい理由はいくつかあるだろう。最も注目されている目的として、特に9条がらみで自衛隊憲法への明記を実現させたいことが挙げられている。確かに国際情勢を理由として、自衛隊憲法根拠を明確にする意義はあるかもしれない。しかし自衛隊憲法上の根拠を与えることの本来的意義とは何かを冷静に考えてみると、それは自衛隊の正式軍隊化、即ち国軍化の確立に他ならない。
実際、自民党平成24年に発表した「日本国憲法改正草案」には、≪我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する≫とある。
現行憲法の規定では、国際紛争を解決する手段としての戦力及び軍隊は不保持となっており、自衛隊はまさに自衛のための戦力としてのみ位置付けられている。これをわかりやすく言うならば自衛隊は実質的には軍隊だが、形式的・法的には軍隊ではないという解釈になり、憲法制定以来の解釈でも議論されてきたとおりである。重要なことは留保条件がつくとは言え陸海空軍不保持の文言明記が、戦後の日本の戦争抑止への重石となってきたことである。
逆に、もし自衛隊が国軍化すればどのようなことになるのかを考えてみたことがあるだろうか。そもそも軍隊とは明らかに戦争を前提とした存在に他ならないし、政治のコントロールの下、国際情勢へ対応するために他国勢力と武力を交えることができる組織である。この軍隊の概念をそのまま自衛隊にあてはめて国軍化すれば、自国防衛の範囲を超え、米軍等と同様に、世界規模の軍事行動も、兵器使用の拡大も、空母等の戦略装備も国際法上は充分認められるであろうし、実際の戦闘行為にも参加して戦争そのものに加わることも可能となるはずだ。ゆえに憲法改正自衛隊という実質軍隊が条文に明記されれば、戦争を可能にさせるための法的効果に大きく寄与することになる。
同時に自衛隊憲法明記が事実上の国軍化につなげることも容易になる。いままで過大な戦力を持たないことが規定された憲法の下で、「自衛」のための防衛力を備えた部隊ではあるが、形式的にはいわゆる軍隊ではないとされた自衛隊。その前提があった上で、戦後73年の平和が日本国憲法の平和条項という法的担保に保持されてきたことを忘れてはならない。歴代の自民党政権もこの体制を踏まえることで過大な軍事負担を抑制し、経済的恩恵を享受してきたと言えよう。
◆米国の影
では、なぜ今この恩恵を放棄してまで憲法を改正し、国軍創設の意思を占めさなければならないのか――?最大の理由が、米国との同盟関係強化にあることは、周知の通りである。
アメリカは戦後自由主義陣営の盟主として全世界にその影響力を行使してきた。我が国が関わる事跡でも朝鮮戦争に始まりベトナム戦争、対ソ連封じ込め戦略、湾岸戦争イラク戦争など軍事力を含む世界戦略を着実に実行し、日本に様々な形で影響を与えてきた。現在、米軍と自衛隊の共同運用・訓練・装備にいたるまで部隊の一体化が行われ、日米同盟は軍事部門においても目に見える形でより強化され、前進している。従って今後、米軍の世界戦略にも対等の協力を負担するのが当然視され、憲法という法的根拠をよりどころに軍事規制を主張することは極めて難しくなり、アメリカにとって自衛隊がスタンダードな軍隊ではないことは許されなくなってくる。パクス・アメリカーナの重要な構成員となった日本の自衛隊は国軍になり、同盟軍としてアメリカの主張する「正義の戦争」に参加しなければならないのである。ここに憲法改正の真の意義が求められてくる。
◆キーワード「責任」
こうした目的による憲法改正が行われた場合、何が問題となるかを知るための答えを我が国の過去の経験から探ってみよう。明治以降、日本の近代化とともに我が国の軍隊も増強・拡大してきた。帝国主義の時代に、日清・日露の戦役が不可欠の選択であったことは認識しても、その後の昭和の軍事戦略が明らかに誤りであったことは、第二次大戦での大敗北がそれを示している。大敗北の原因については多くの戦史家が明らかにしている部分もあるが、ここでは「責任」という言葉をキーワードにして歴史の過ちについて考えてみたい。
歴史をひも解くと、その時の当事者が時代の局面にあって与えられた責任を全うすれば、過ちを防ぐことができたのではないかと考えられる場合が多々ある。しかし実際に起こった歴史的事実は、昭和史において陸軍が満州某重大事件に始まる独断専行にけじめをつけることなく暴走し、満州事変・2.26事件・日中戦争と進み、時の指導者が時流におもねり、失敗や恣意的行動に責任を果さないまま対米戦争へ突入し、遂に崩壊してしまった悲惨な結果を作り出した。万世一系と高らかに謳った国家も、崇高な理念も、勇敢であった一人一人の国民の多くも、責任を全うすることのできない指導者たちのために滅び去ってしまったのである。歴史の教訓が示すように、国家の指導者が国のかじ取りにおいて誤った判断を正さないままに終始し、とるべき責任を全うしない時、亡国の危機が生じるのである。
◆無責任政権が改憲したら……
この反省に立って今の我が国の現状をみてみると、現政権に吹き荒れる疑惑の数々に際して、誰が責任を全うしているであろうか。財務省で事実が改ざん・隠ぺいされ、国権の最高機関が欺かれた事件が明確になった現時点においてもまだ、責任者は処罰されず真実は明らかにされていない。
政権が国軍化しようとしているかもしれない自衛隊でも数多くの隠ぺいが発覚した驚愕すべき事態。官僚は国家国民に忠誠を誓うのではなく。自己保身と任命権者にのみ忠誠を誓う風潮。このような極めて憂慮すべき状況のまま、もし憲法が改正されて、自衛隊が実質的に国軍化し、国際情勢の名のもとに戦争に参加することになった場合どうなるのだろうか。
かつて事実が隠ぺいされた大本営発表の下、そのまま大敗北につき進んでいった歴史が再び繰り返されるのだろうか。重ねて強調するが、もし責任あるべき者がその責務を全うせず恣意的に流された場合、悲惨な結末が再現される恐れが充分起こりうるのである。安倍政権がやろうとしている憲法改正がいかに危険な政策かよく認識すべきである。
憲法の戦力不保持という条項はある意味理想かもしれない。しかし自衛隊という現実に理想を近づけてはいけない。歴史の事実は、理想を現実に近付ければ必ず現実が理想を押し流してしまうことを示している。本当の平和を構築し維持してゆくためには、今ある現実の問題を克服して、平和という理想を掲げ続けていくしかないのである。憲法9条の崇高な理念は、この国の宝なのだから。

柳瀬氏と愛媛県の面会記録、農水省でも発見 - 日テレNEWS24(2018年4月12日)

http://www.news24.jp/articles/2018/04/12/04390386.html
https://megalodon.jp/2018-0413-0216-43/www.news24.jp/articles/2018/04/12/04390386.html

加計学園の問題をめぐり大きな動き。柳瀬元首相秘書官と愛媛県の担当者らが面会した際の記録文書が、農水省でも発見されたことが日本テレビの取材で明らかになった。
愛媛県によると、県の職員が2015年4月、加計学園獣医学部新設について当時の柳瀬首相秘書官と面会し、柳瀬氏が「本件は首相案件」と話したと記載した文書を作成していた。
この面会の記録について、政府は中央官庁にも残っていないか調査していたが、12日夜までに農水省で発見されたことが日本テレビの取材で明らかになった。
これについて安倍首相は周辺に、「中央官庁で見つかったとしても新しい内容はない。たまたま残っていたということだ」として、問題ないとの認識を示している。
しかし、自民党幹部が「タガが外れたように何でも出てくる」と語っているほか、ある閣僚経験者が「政権の末期的症状だ。どこから立て直していいのか、手の着けようがない」と話すなど、危機感が広がっている。
こうした中、政府与党内には「柳瀬氏の証人喚問もやむを得ない」という声も出てきている。

公文書改ざん 佐川氏、立件見送りへ 虚偽作成罪問えず - 毎日新聞(2018年4月13日)

https://mainichi.jp/articles/20180413/k00/00m/040/151000c
http://archive.today/2018.04.12-190509/https://mainichi.jp/articles/20180413/k00/00m/040/151000c

学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却を巡り、財務省の決裁文書が改ざんされた問題で、大阪地検特捜部は、前国税庁長官の佐川宣寿氏(60)ら同省職員らの立件を見送る方針を固めた模様だ。捜査関係者が明らかにした。決裁文書から売却の経緯などが削除されたが、文書の趣旨は変わっておらず、特捜部は、告発状が出されている虚偽公文書作成などの容疑で刑事責任を問うことは困難との見方を強めている。今後、佐川氏から事情を聴いたうえで、上級庁と最終協議する。

国有地が不当に約8億円値引きされたとし、佐川氏以外の同省職員らが告発された背任容疑についても、特捜部は違法性があったとまではいえないと判断しているとみられ、立件は難しい状況だという。
決裁文書は昨年2〜4月、学園側との交渉記録に加え、安倍晋三首相の妻昭恵氏や複数の政治家の名前が決裁後に削除されるなどした。当時、同省理財局長だった佐川氏が「学園と価格交渉していない」などと国会で答弁した内容に合わせるため、改ざんされたとみられる。
虚偽公文書作成罪は、権限を持つ者が文書の趣旨を大幅に変えることが成立要件となるが、改ざんが明らかになった14の決裁文書では、契約の方法や金額など根幹部分の変更はなく、特捜部は交渉経緯などが削除されるなどしても、文書の本質は変わらないと判断したとみられる。
一方、国有地売却では、小学校建設中に多量のごみが見つかったため、国が8億円値引きして売却した経緯が問われた。小学校の名誉校長だった昭恵氏らに同省職員らが配慮したり、自らの保身や学園の利益を図る目的で値引きしたりして、国に損害を与えたとする背任容疑の告発が相次いでいる。
しかし特捜部は、ごみの処理による開校の遅れを理由に、学園が国に損害賠償を求める意向を伝えた▽売買契約後にごみ問題でトラブルにならないよう、国に賠償請求できない特約が盛り込まれた−−などの点を重視。値引きの背景には、ごみの処理の問題や賠償請求を避ける意味合いが一定程度あったとみている。

【宮嶋梓帆、高嶋将之】

疑惑根幹、未解明のまま
公文書改ざんや国有地の異例な値引きを巡って告発が相次いだ森友学園問題は、「なぜ8億円も値引きされたのか」という疑惑の根幹は未解明のままで、一連の問題が決着したわけではない。
国有地で小学校開設を計画していた学園は2015年、国と借地契約を結んだ。だが、翌年に地中からごみが出たとして近畿財務局と協議し、土地評価額からごみ撤去費約8億円を引いた1億3400万円で購入。支払いも10年間の分割が認められた。昨年2月に問題が発覚して以降、撤去費の積算が過大だった疑いが次々に明らかになり、会計検査院も「積算の根拠が十分でない」と指摘。「異例ずくめ」の取引が実現した詳細な理由は不明のままだ。
決裁文書の改ざんについても、関わった職員や指示系統は分かっていない。文書からは学園との交渉経緯の他、安倍晋三首相や妻昭恵氏の名前も消されており、職員らが忖度(そんたく)した疑惑は消えないままだ。
財務省は改ざんに関与した職員らを処分する方針で、内部調査を進めている。真相の解明に向け、国は詳細な調査結果を公表する必要がある。【宮嶋梓帆】

「真相言わないなら退陣を」 - 東京新聞(2018年4月13日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201804/CK2018041302000140.html
http://web.archive.org/web/20180412230618/http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201804/CK2018041302000140.html

森友・加計学園問題の徹底追及を求め、市民団体が十二日夜、会見や集会を開き、「本当のことを言って。できないなら辞めて」などと真相究明や安倍内閣の退陣を訴えた。
東京・永田町の参院議員会館で記者会見したのは、森友学園に絡む決裁文書改ざんを機に三月に発足した「Stand For Truth」。メンバーの大学生溝井萌子さん(22)が、加計問題で当時の首相秘書官が愛媛県職員らとの面会時に「首相案件」と述べたと記録された文書は「安倍晋三首相の説明が全くうそだったことを明らかにした」とし、「まともな政治を取り戻すため、安倍政権の総辞職を求める」と声明を読み上げた。
元「SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動、シールズ)」の中心メンバーだった奥田愛基(あき)さん(25)は、「安倍政権は自分から情報公開していこうということはない。責任は安倍政権にもあるが、自分たちにもある。テレビを見ているだけでは変わらない」と、十四日に国会前で予定する集会への参加を促した。
十二日夜には、国会議員会館前で安倍政権の退陣を求める別の市民団体の集会が開かれ、約千二百人(主催者発表)が集まった。仕事帰りに参加した東京都世田谷区の団体職員鷹林智子さん(45)は「与党はまだ『乗り切れる』と思っているようで歯がゆい。民衆の力で辞めさせたい」。江戸川区の有岡道夫さん(77)は「自民党内で『総理やめろ』の声が出ないのが情けなく腹立たしい」と憤った。
十四日の集会は午後二時から。同じ趣旨の集会は同日、東京以外で少なくとも全国十三カ所である。  (松村裕子、渡辺聖子、柏崎智子)

強制不妊手術 政治主導で対応せよ - 朝日新聞(2018年4月13日)

https://www.asahi.com/articles/DA3S13448387.html
http://archive.today/2018.04.13-010542/https://www.asahi.com/articles/DA3S13448387.html

優生保護法のもと、遺伝性の病気や知的障害などがある人に強制的に不妊手術が行われた問題で、厚生労働省が近く被害の実態調査を始める。
障害者や支援者の団体が長年訴えてきた救済への取り組みが、ようやく動き出す。ただ、残された資料は乏しく、被害者らの高齢化で時間も少ない。
ここは政治の出番だ。調査は与党ワーキングチーム(WT)が要請して決まったが、引き続き行政を主導するべきだ。
まずは、難航が予想される調査をどう進めるかである。
旧厚生省の統計では、都道府県の審査会での検討を経て、本人の同意なしに手術を強いられた男女は約1万6500人。朝日新聞社が調べたところ、個人を特定できる資料が残るのは2割にとどまる。保管期限を過ぎ、廃棄されたようだ。
都道府県をはじめ、医療や福祉、教育機関の関係者らに広く手がかりを求める作業が急務だ。さらに、同意があった人を含めると2万5千人にのぼり、無理やり同意させられた人もいるという。被害者がどのような状況に置かれていたのか、全容の解明に努めねばならない。
参考になるのが、ハンセン病問題での対応だ。
国は1900年代初めに法律を作り、患者の隔離を開始。2001年の違憲判決を受けて、当時の小泉内閣が控訴を断念し謝罪と補償を表明した。
その際、被害者の代表に生命倫理や人権の専門家、弁護士らを加えた第三者機関が設けられ、資料を読み解いたほか、被害者らへの聞き取りを重ねた。多角的に調べた結果、被害の実態がわかっただけでなく、被害を生んだ過程の解明や再発防止に向けた提言につながった。
今回も政府から独立した調査・救済委員会をつくり、幅広く知見を集めるのが有効ではないか。与党WTは、別に発足した超党派議員連盟とも連携し、政府に求めてはどうか。
今年になって強制不妊手術問題が動き出したのは、宮城県の60代女性が国家賠償訴訟を起こしたのがきっかけだ。国はこれまで「当時は適法だった」と繰り返し、被害者の声に向き合おうとしてこなかった。まさに行政の限界である。
戦後まもなく議員立法で作った法律が、多くの人生を踏みにじった。人権侵害との批判を受けて20年余り前に法が改正された後も、問題は放置された。
与党WTは、来年の通常国会議員立法で救済策を提出することを念頭に置く。政治の責任を強く自覚し対応してほしい。

<変革の源流 歴史学者・磯田道史さんに聞く> (10)AI時代 通じぬ慣例 - 東京新聞(2018年4月13日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201804/CK2018041302000148.html
https://megalodon.jp/2018-0413-1029-03/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201804/CK2018041302000148.html

磯田道史さんに「明治百五十年」を聞く最終回。この国の未来像について伺います。

−これからの日本はどうなっていくのか、考えを聞かせてください。

私は近年、人工知能(AI)のことをよく考えます。
歴史をたどると、日本は世界の多くの地域と同様、狩猟採集の時代から、農耕の時代、そして工業の時代へと、時間とともに豊かになってきました。この場合の「豊か」とは、一人当たりの収入・生産量が増えるという意味です。
工業化の次は、サービス産業が中心の社会構造になり、その後は、インターネットで世界がつながるIT社会になった。次に来るのは、AIの時代です。すでにディープラーニングといって、機械がものを学習して動く時代になりつつあります。
では、完全にAIの時代になった時、一人当たりの収入が増えるのかを考えてみましょう。結論からいうと、どうも怪しい。近年の論考で、IT化により一人当たりの収入が減り始めている、との指摘があります。富の偏在が進んでいる。さらにAIの技術が発達すれば、収入が増えるのは一万人に一人。放置すればほとんどの人の収入が減る、という予測もあります。労働が機械に置き換わり、雇用機会が減る可能性が高い。

−日本人が陥りがちな失敗の傾向を知っておくことも必要だと思います。

一番は「経路依存」、これまでのやり方に頼る傾向です。昔からいる人ほど偉くなる。そんな江戸時代以前からの社会の名残が、今も目につきます。会社でも、長年勤めている人が出世する傾向が根強いでしょう。
中国やアメリカでは、若い経営者がどんどん生まれています。日本がIT産業主体の社会へとスムーズに転換できないのも、経路依存の影響があるように思います。昭和の戦争に突き進んだ政治や、やめるにやめられない原発なども、根っこに同じ性質があるのではないでしょうか。

−子供に必要な教育は何があるでしょう。

重要なのは「デザイン思考」です。AI時代は、労働の多くをAIが担い、人間は一線から退く「総ご隠居社会」になるでしょう。そこで人間は何をするか。
AIの使い道を考えることです。目標とルールが決まっていれば、AIは威力を発揮しますが、目標自体はつくれない。だから「こんな形の建物を建てたい」と思い定めることなど「したい」の部分が大事になるのです。つまり目標のデザインです。デザイン思考は、心の自由度が高く、何をしたら楽しいかを分かっていないと持てません。努力より発想力が、教育の鍵になるはずです。
もう一つ、世の中の流れが速くなるので、自分を再教育する力が必要です。今ある知識は、すぐ古くなる。知っていること以上に、情報を集め、調査し、対応する力を持った人が強いでしょうね。
今、世界は産業革命以来、約二百年ぶりの変化の入り口にいます。今のエリートと二十年、三十年後のエリートの姿は違います。明治維新ともまた違う、大きな発想の転換が必要となるでしょう。

−ありがとうございました。 (聞き手・中村陽子、清水俊郎)

<いそだ・みちふみ> 1970年、岡山市生まれ。国際日本文化研究センター准教授(日本史・社会経済史)。NHK大河ドラマ「西郷(せご)どん」の時代考証者の一人。著書に『武士の家計簿』『「司馬遼太郎」で学ぶ日本史』など。