森友学園 国有地売却問題 「ごみ報告書は虚偽」 業者証言「書かされた」 大阪地検捜査 - 毎日新聞(2018年3月16日)

https://mainichi.jp/articles/20180316/ddm/001/040/169000c
http://archive.today/2018.03.16-001050/https://mainichi.jp/articles/20180316/ddm/001/040/169000c


学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却問題で、約8億円の値引きにつながった地中ごみを試掘した業者が、ごみは実際より深くにあると見せかけた虚偽の報告書を作成した、と大阪地検特捜部の調べに証言していることがわかった。学園や財務省近畿財務局側から促された、という趣旨の説明もしているという。値引きの根拠が揺らぐ可能性があり、特捜部は証言について慎重に事実確認を進めている模様だ。
学園は2015年5月、大阪府豊中市に小学校を建設するため、国と借地契約を結んだ。16年3月、深さ9・9メートルのくい打ち工事中に地中から「新たなごみ」が見つかったとして国に対応を要求。国はごみの撤去費を価格に反映させて土地を売却する方針を決め、学園にごみに関する資料提出を求めた。
学園側は4月11日、建設業者が8カ所を試掘した結果、最深で地下3・8メートルにごみがあったとする写真付きの報告書を提出した。国はその3日後、報告書などを基にごみ撤去費を約8億2000万円と算定。6月20日、土地評価額から同額を引いた1億3400万円で学園に売却した。
捜査関係者によると、業者は3・8メートルの記載について過大だったと認め、「事実と違うことを書かされた」「書けと言われてしょうがなくやった」などと説明。当時、学園は小学校の開校時期が翌年の4月に迫っているとして、損害賠償をちらつかせて国に対応を迫っていた。
ただ、業者はごみ撤去費については「周囲の汚染土壌も撤去する必要がある」として約9億6000万円と試算し、検察にも説明している。
財務省国土交通省は国会で、深さ3・8メートルのごみは16年4月5日に写真で確認したと説明。一方、直前の3月30日に国と学園の協議を録音したとされる音声データでは、学園側が「3メートルより下からはそんなにたくさん出てきていない」などと発言。国側の職員が「言い方としては混在と。9メートルまでの範囲で」などと応じ、ごみの深さの認識をすり合わせたような会話が記録されていた。
会計検査院は昨年11月に公表した検査結果で、業者の試掘報告書について「3・8メートルを正確に指し示していることを確認できる状況は写っていない」と指摘している。
特捜部は財務局職員らが不当に安く土地を売却したとする背任容疑などで告発を受け、捜査を進めている。【岡村崇、宮嶋梓帆】

自民改憲案、集約先送り 「9条2項維持・自衛隊」に異論 - 東京新聞(2018年3月16日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201803/CK2018031602000140.html
https://megalodon.jp/2018-0316-0928-38/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201803/CK2018031602000140.html


自民党憲法改正推進本部(細田博之本部長)は十五日の全体会合で、自衛隊の存在を明記する九条改憲について議論した。執行部は七通りの条文案を提示。安倍晋三首相の意向に沿って、戦力不保持を定める二項を維持して「自衛隊」を明記する案を念頭に一任取り付けを狙ったが、異論も出て、この日の意見集約を見送った。(生島章弘)
会合で示された条文案は「二項維持・自衛隊明記」が三案、「二項維持・自衛権明記」が二案、「二項削除」が二案。執行部はそのうち、二項を維持して「九条の二」を新設した上で、「必要最小限度の実力組織」として「内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持」するとした案への一本化を目指した。
賛成意見が出る一方、「必要最小限度」という表現を憲法に書くと防衛力を過度に制約しかねないなどとする反対意見も相次いだ。自衛隊ではなく自衛権の明記を求める声も出たほか、石破茂元幹事長は「なぜ自衛隊に制限を課すのか」として二項削除を主張した。
細田氏はこれらの意見に配慮し、この日の決着を断念。締めくくりのあいさつで「自衛隊憲法上、しっかりした地位を与えることが最大の目的だ」と意見集約への協力を求めた。二十日の次回会合で一任取り付けを図る。
石破氏は会合後、記者団に「論点はいっぱい残っていて、誰も責任を持って答弁する人がいない。そういう状況で何かを決めるのは民主主義のルールに反する」と語り、結論を急ぐ執行部の姿勢を批判した。

憲法70年 まず政治と行政を正せ - 朝日新聞(2018年3月16日)

https://www.asahi.com/articles/DA3S13404656.html
http://archive.today/2018.03.16-002941/https://www.asahi.com/articles/DA3S13404656.html

自民党の9条改憲の条文案づくりが大詰めを迎えている。
憲法改正推進本部の執行部は、25日の党大会までに、安倍首相が唱えた自衛隊明記案で意見集約しようと議論を急ぐ。
理解に苦しむ情景である。
与野党を問わず国会議員がいま、注力すべき喫緊の課題が改憲なのか。そうではあるまい。
森友学園をめぐる財務省の公文書改ざんを受けて、混迷する政治と行政をどう立て直すか。それこそが最優先だ。
改ざん問題は、憲法の基本的な原則を侵し、民主主義の土台を壊した。
行政府が1年以上にわたって立法府を欺いた。国会の行政監視機能は空洞化した。「全体の奉仕者」と憲法にうたわれた公務員のあり方は深く傷ついた。
改憲を論じる前にまず、目の前の憲法の危機を正さねばならない。その真剣な政治の営みなくして、失われた国民の信頼は取り戻せまい。
だが自民党は森友問題の真相究明には後ろ向きなまま、改憲条文案づくりに前のめりだ。
条文案の中身も、期限を切って結論を急ぐ進め方も、首相の願望に沿って決められてきた。
秋の自民党総裁選での3選を前提に、東京五輪のある2020年に向けて、自らの首相在任中に改憲を実現したい――。
だが改憲案の発議は、憲法が唯一の立法機関たる国会に委ねた権能である。それを行政府の長である首相が主導するのは、三権分立への基本的な理解を欠くと言わざるを得ない。
憲法は国の最高法規である。歴代内閣の憲法解釈や国会での議論の積み重ねもある。改憲をめざすなら、その改憲がなぜ必要か、丁寧で説得力ある議論を深め、多くの政党と国民の理解を得ることが欠かせない。
だが、自民党のやり方は極めて性急だ。きのうの推進本部の会合で示された七つの条文案はいずれも生煮えだった。
このうち首相の主張に近く、執行部が推すのは、戦力不保持と交戦権否認をうたう2項を維持し、「必要最小限度の実力組織として、法律の定めるところにより、自衛隊を保持する」といった条文を加えるものだ。
首相は自衛隊を明記しても「任務や権限は変わらない」と主張しているが、同意できない。法律の書き方しだいで、なし崩しに任務が拡大する可能性があるからだ。
憲法論議を否定はしない。だがいま拙速に、改憲に動くべき時なのか。政治の優先順位をどこに置くのか、自民党の判断力が試されている。

前川前次官の授業、報告要求 文科省、公立中の講演で - 東京新聞(2018年3月16日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201803/CK2018031602000143.html
https://megalodon.jp/2018-0316-0955-30/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201803/CK2018031602000143.html

名古屋市内の公立中学校が先月、文部科学省前川喜平事務次官を授業の講師に呼んだ後、文科省が市教育委員会を通じ、授業内容の確認や録音データの提出を求めていたことが分かった。国が個別の授業内容を調査するのは異例で、批判の声も上がりそうだ。
文科省や市教委によると、授業は先月十六日、八王子中学校(同市北区)であり、前川氏は面識のあった校長から、総合学習の時間の講師に招かれ、不登校や夜間中学校、学び直しなどについて語った。
文科省は新聞報道で事実を把握。淵上孝・教育課程課長が上司の高橋道和・初等中等教育局長とも相談の上、同課の課長補佐が同十九日、市教委に初めて電話で問い合わせ、今月一日には「授業内容を知りたい」とメールを送った。メール内容は前川氏が天下り問題で引責辞任し、出会い系バーを利用していたと説明し「どのような判断で依頼したのか」など十五項目ほど質問。授業の録音データの提供なども求めた。
学校側は授業内容などの概略は報告したが、録音データの提供は拒否。文科省は市教委とメールで二回やりとりし「前川氏の背景の確認が必ずしも十分でなかった。もう少し慎重に検討が必要だった」との趣旨のことを伝えた。「こうした授業は問題ないのか」との質問もあったが、市教委は「問題ない」と回答したという。
淵上課長は十五日、記者団の取材に「文科行政の事務方トップを務めた人で、かつ天下り問題で国家公務員法に違反して引責辞任した人。そういう人を呼ぶ必要があったのか、事実確認する必要があった」と話した。授業内容は「特に問題ない」といい、問い合わせについて「異例ではない。現場にプレッシャーをかけた認識もない」と述べた。

文科省 前川前次官の授業内容 名古屋市教委に報告要求 - 毎日新聞(2018年3月15日)

https://mainichi.jp/articles/20180316/k00/00m/040/103000c
http://archive.today/2018.03.15-135237/https://mainichi.jp/articles/20180316/k00/00m/040/103000c

文部科学省前川喜平事務次官名古屋市立中に講師として招かれた際の授業内容や録音について、同省が市教育委員会に報告を要請していたことが15日、分かった。文科省は「問題ない」としているが、国が個別の授業に絡み、講師の言動に関わる内容を細かく調べるのは異例で、批判の声も上がりそうだ。
報道でこの授業を知った文科省は今月、市教委に対しメールで、前川氏が文科省の組織的天下り問題で引責辞任したことや、「出会い系バー」に出入りしていたと報じられたことに触れた上で、授業の内容や目的、講師を依頼した経緯、学校の見解など10項目以上を質問。授業内容の録音データもあれば提出するよう要請した。
市教委は、録音データは出さず、学校がまとめた回答を文書で報告した。これに対し文科省は、前川氏が天下り問題に主体的に関わって処分を受けたことを事前に確認していなかったのでは、との指摘を送ったという。
教育関係の法律では、学校教育に対して指導や助言をするのは主に教委で、国の役割は学習指導要領など、全国共通の教育基準を作ることや、教育条件の整備と想定している。文科省の担当者は今回、個別の授業内容を調査したことに対し「事実関係を確認しただけで、内容に口を出したわけではない。問題はなかった」としている。
前川氏は昨年1月に発覚した天下り問題で、文科事務次官引責辞任した。同5月に加計学園を巡って「総理の意向」などと記された記録文書の存在が明らかになると、記者会見で「公正、公平であるべき行政の在り方がゆがめられた」と発言し、国会にも参考人招致された。

明らかに過剰な干渉 現場の委縮招く
藤田英典共栄大教授(教育社会学)の話 授業内容が保護者から問題視され、さらに教育委員会のレベルでは対処できない場合ならまだしも、今回のケースは明らかに過剰な干渉だ。授業内容が知りたいのなら、前川喜平氏本人に聞けばいい。文部科学省が現場に問い合わせれば萎縮を招く。現場の裁量権を抑圧しようとする意図すら感じる。天下りの問題はあったかもしれないが、元文科省職員として経験豊富な人物を授業に呼んだことに目くじらを立てる必要があるとは思えない。(共同)

自民教育改憲案 政治の道具にするな - 東京新聞(2018年3月16日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018031602000166.html
https://megalodon.jp/2018-0316-0956-24/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018031602000166.html

教育の機会均等を保障する国の責務が後退しかねない。自民党憲法改正推進本部の教育に関する改憲条文案だ。森友学園を巡る決裁文書改ざん問題で論議は停滞気味だが、これだけは言っておこう。
条文案では、教育を受ける権利などを定めた現行の二六条を維持しつつ、国に「教育環境の整備に努めなければならない」との努力義務を課す文言を加えている。
その教育環境には「各個人の経済的理由にかかわらず教育を受ける機会を確保することを含め」と特記している。
二六条は「能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利」を国民に保障している。つまり、機会均等を実現すべく環境を整える責務をすでに国に負わせている。努力義務としての追記は、その強い拘束力を緩めてしまいかねない。
憲法は権力を縛るという立憲主義の原則に立てば、大幅な劣化である。変えるべきではない。
個人の経済的事情によらず学ぶ機会を確保するという旨のくだりは、屋上屋というほかない。二六条を踏まえて、教育基本法四条は「経済的地位」による教育上の差別をしっかりと戒めている。
貧しさが招く教育の格差、世代を超えて繰り返される貧困の連鎖は、過去の失政のツケにほかならない。問われねばならないのは教育と向き合う政権の知恵と覚悟であり、憲法ではない。
経済協力開発機構の加盟国の中で、日本の国内総生産に占める教育への公的支出の割合は最低水準と指摘されて久しい。教育の成果は学び手の私的な利益であるとして、公費より私費で費用を賄うべきだとの風潮も根強くある。
政権が注力すべきは教育の社会的な効果を説き、財源を確保して奨学金や授業料減免などの負担軽減策を手厚くすることだ。二六条に忠実に従わねばならない。
自民党改憲論議の俎上(そじょう)に教育を載せた背景には、九条を真の標的とする国会発議に向けて、教育無償化を唱える日本維新の会の協力を得たいとの思惑が漂う。
財政難から無償化の明記は見送ったとはいえ、日本維新の会改憲原案にある「経済的理由」の文言を取り込んでいるのは、その証左ではないか。
条文案で、教育は「国の未来を切り拓(ひら)く上で極めて重要な役割を担う」とうたっているのも危うい。教育の目的は個人の人格の形成であり、国益の追求ではない。国家に尽くす国民の育成という発想は、憲法の理念に背くものだ。

成人年齢18歳に引き下げ 社会全体で共有してこそ - 毎日新聞(2018年3月16日)

https://mainichi.jp/articles/20180316/ddm/005/070/022000c
http://archive.today/2018.03.16-005627/https://mainichi.jp/articles/20180316/ddm/005/070/022000c

18歳をもって「大人」として扱うことが適当なのか。社会への影響が大きいテーマが国会で審議される。
政府は、成人年齢を20歳から18歳に引き下げ、結婚できる年齢を男女18歳で統一する民法改正案を決定した。成立すれば、満20歳を成人とした1876(明治9)年の太政官布告以来の制度変更となる。
2016年に選挙権の年齢が18歳になった。参政権を行使する能力を認めた以上、民法上の判断能力もあるとみなすことには合理性がある。
社会の少子高齢化が進む中で、おのずと若年層の割合は小さくなる。将来を担う若年者により早く重要な役割を果たしてもらうことは、社会に活力を与える。そういった要請も背景にある。世界各国を見渡しても成年18歳は一般的だ。
与野党に改正案への表立った反対論は見られず、成立の可能性が高い。ただし、法律が通れば済む話ではない。18歳が大人という自覚と責任を若者が持ち、親の側もそれを受け入れる。社会が18歳成人の意義を共有できるかが問われる。
この年ごろは成長の途上だ。政府は、飲酒、喫煙、公営ギャンブルは、禁止年齢を20歳未満に据え置く。身体への悪影響やギャンブル依存症増加への懸念を踏まえれば妥当だ。
18歳成人が実現すると、高校3年で成人になる生徒が出てくる。教育界からは、親権に服さなくなる生徒への指導が困難になるのではないかと心配する声が出ている。保護者と学校の連携について議論が必要だ。
他にも不安材料は残る。18歳から親の同意なくローンなどの契約が結べる。親が無条件で解約できる現行の規定は18歳から適用されない。
どう消費者被害を防ぐか。今国会に消費者契約法の改正案が提出されている。デート商法などによる不当な契約を取り消せる規定を盛り込んだが、まだまだ対策は不十分だ。
1月に多くの市町村で実施している成人式についても考えなければならない。受験生の参加は難しい。「成人の日」を1月上旬としていることの妥当性を含め検討すべきだ。
付則には22年の施行が書き込まれた。日程ありきではなく、じっくりと課題に取り組む姿勢が求められる。若者の自立を支える施策を十分に整えることが大前提になる。