文科省 前川前次官の授業内容 名古屋市教委に報告要求 - 毎日新聞(2018年3月15日)

https://mainichi.jp/articles/20180316/k00/00m/040/103000c
http://archive.today/2018.03.15-135237/https://mainichi.jp/articles/20180316/k00/00m/040/103000c

文部科学省前川喜平事務次官名古屋市立中に講師として招かれた際の授業内容や録音について、同省が市教育委員会に報告を要請していたことが15日、分かった。文科省は「問題ない」としているが、国が個別の授業に絡み、講師の言動に関わる内容を細かく調べるのは異例で、批判の声も上がりそうだ。
報道でこの授業を知った文科省は今月、市教委に対しメールで、前川氏が文科省の組織的天下り問題で引責辞任したことや、「出会い系バー」に出入りしていたと報じられたことに触れた上で、授業の内容や目的、講師を依頼した経緯、学校の見解など10項目以上を質問。授業内容の録音データもあれば提出するよう要請した。
市教委は、録音データは出さず、学校がまとめた回答を文書で報告した。これに対し文科省は、前川氏が天下り問題に主体的に関わって処分を受けたことを事前に確認していなかったのでは、との指摘を送ったという。
教育関係の法律では、学校教育に対して指導や助言をするのは主に教委で、国の役割は学習指導要領など、全国共通の教育基準を作ることや、教育条件の整備と想定している。文科省の担当者は今回、個別の授業内容を調査したことに対し「事実関係を確認しただけで、内容に口を出したわけではない。問題はなかった」としている。
前川氏は昨年1月に発覚した天下り問題で、文科事務次官引責辞任した。同5月に加計学園を巡って「総理の意向」などと記された記録文書の存在が明らかになると、記者会見で「公正、公平であるべき行政の在り方がゆがめられた」と発言し、国会にも参考人招致された。

明らかに過剰な干渉 現場の委縮招く
藤田英典共栄大教授(教育社会学)の話 授業内容が保護者から問題視され、さらに教育委員会のレベルでは対処できない場合ならまだしも、今回のケースは明らかに過剰な干渉だ。授業内容が知りたいのなら、前川喜平氏本人に聞けばいい。文部科学省が現場に問い合わせれば萎縮を招く。現場の裁量権を抑圧しようとする意図すら感じる。天下りの問題はあったかもしれないが、元文科省職員として経験豊富な人物を授業に呼んだことに目くじらを立てる必要があるとは思えない。(共同)