官房機密費、一部文書の開示認める 最高裁初判断 - 日本経済新聞(2018年1月19日)

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25893510Z10C18A1000000/
http://archive.is/2018.01.19-065818/https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25893510Z10C18A1000000/

内閣官房報償費(官房機密費)に関する行政文書の開示を市民団体メンバーが求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(山本庸幸裁判長)は19日、支払先が特定されない一部文書の開示を認める初判断を示した。
官房機密費は情報提供者への謝礼などに使われるとされる。原告らは05〜13年の支出に関する文書を開示するよう、計3件の訴えを起こした。
訴訟では、具体的な支払先が分からない文書の開示を認めるかどうかが争点となった。二審の大阪高裁では判断が割れ、先行した2件は一部文書の開示を認めたが、3件目の判決は「情報収集に支障が生じる恐れがある」とほぼ全面的に不開示とした。
日付や金額だけでなく支払った相手が記されている文書や領収書については、3件の高裁判決がいずれも開示を認めず、最高裁も認めなかった。
争われたのは、05〜06年に安倍晋三官房長官(当時)が支出した約11億円、09年の政権交代直前に河村建夫官房長官(同)が支出した2億5千万円、13年に菅義偉官房長官が支出した約13億6千万円の機密費。
原告側は「支払先を特定できない文書を開示しても全く支障はない」と主張。国側は「支払先が明記されていなくても、文書が公になれば臆測を呼んで協力を得にくくなる」と反論していた。

17年衆院選は「合憲」1票の格差訴訟で高裁那覇支部 - 日本経済新聞(2018年1月19日)

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2589193019012018ACYZ00/
http://archive.is/2018.01.19-060231/https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2589193019012018ACYZ00/

1票の格差」が最大1.98倍だった昨年10月の前回衆院選違憲だとして、弁護士グループが選挙無効を求めた訴訟の判決で、福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)は19日、国会による格差是正の取り組みに一定の評価を示して「合憲」と判断し、原告側の請求を棄却した。
2つの弁護士グループが全国の高裁・高裁支部で起こした計16件の同種訴訟で最初の判決。判決は3月までに出そろうとみられ、その後年内にも最高裁が統一判断を示す見通しだ。
最高裁は最大格差が2.30倍だった2009年衆院選を「違憲状態」と判断し、都道府県ごとに1議席を割り振る「1人別枠方式」が格差の要因になっていると指摘。12年、14年の衆院選も「違憲状態」として是正を求めた。
国会は昨年7月施行の改正公職選挙法小選挙区定数を「0増6減」し、区割りも変更。最大格差は1.98倍に縮小し、1994年導入の小選挙区比例代表並立制の下で初めて2倍を下回った。今後、現在よりも人口比に忠実な「アダムズ方式」で定数を見直すことも予定されている。
多見谷裁判長は判決理由で、一段の格差是正措置が予定されていることや、格差が初めて2倍を切ったことなどを評価。今回の区割りは国会の裁量範囲を逸脱しておらず、憲法が求める投票価値の平等に反していたとはいえないとして、合憲との結論を導いた。
訴訟で弁護士グループ側は「人口比例の定数配分は実現していない」などと主張。被告の選挙管理委員会側は「国会はできる限りの検討を尽くして格差を是正した」として、投票価値の平等に反しないと反論していた。

(本音のコラム) 斎藤美奈子さん 同じ日本人 - 東京新聞(2018年1月17日)

自分に好都合な人物や事象は「民族の誇り」に矮小化し、不都合な人物や事象はあからさまに退ける。中華思想っていうんですか。どちらも国際的評価に耳をふさいでいる点では変わらない。そのうえ、慰安婦問題でこじれていることを理由に平昌五輪への出席を見送る?この人とは「同じ日本人」でいたくないよ。

成年後見利用者の差別解消へ 職業、資格制限を撤廃 - 東京新聞(2018年1月19日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201801/CK2018011902000132.html
https://megalodon.jp/2018-0119-0902-23/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201801/CK2018011902000132.html

知的障害や認知症などで成年後見制度を利用した人が、公務員などの資格を失う各種法律の「欠格条項」を見直す一括法案の概要が十八日、判明した。制度利用者の権利を一律に制限してきたこの規定を、国家公務員法など関係する約百八十の法律から一斉に削除。資格取得に必要な能力は個別に判断するよう改善し、利用者への不当な差別を解消する。高齢化の進行に伴う認知症増加に対応する狙いもある。
政府は二十二日召集の通常国会に法案を提出する方針。三月上旬に閣議決定し、会期内の成立を目指す。
成年後見制度は判断能力が不十分な人の権利を守るために、家族や司法書士らが後見人や保佐人となり財産管理などを行う制度。欠格条項は、制度を利用すると公務員や保育士などになれない規定で、国家公務員法など約百八十の法律に設けられている。
欠格条項があるため希望する職業に就けなかったり、仕事を辞めざるを得なくなったりするため、成年後見制度の利用をためらう要因になっていると指摘されていた。規定を削除することで、利用促進を図る。
判断能力や心身の状況には個人差があるため、法案では業務を適切にできるかは、面接などで個別に審査するとしている。成立すれば、二百以上の資格や免許に影響するとみられる。
欠格条項をめぐっては、岐阜県の男性が今月、保佐人が付いたために勤務先の警備会社を退職せざるを得なくなったのは違憲だとして、国に損害賠償、会社に地位確認を求める訴訟を起こしている。
認知症や障害で支援の必要な人は数百万人以上いるとみられるが、成年後見制度の利用者は約二十万人にとどまっている。
政府は高齢社会に不可欠な仕組みとして成年後見制度の普及を目指しているが、欠格条項が普及の妨げになっているとの指摘が出ていた。

成年後見制度> 認知症や知的、精神障害などで判断能力が不十分な人を保護、支援する制度。後見人らが預貯金の管理や、福祉サービスの利用手続きなどを行う。判断能力に応じ後見、保佐、補助の3段階があり、家族のほか、司法書士や弁護士が務めることが多い。
2000年に禁治産、準禁治産制度を廃止して導入されたが、制度を利用すると資格が取れなくなる「欠格条項」の多くは残されたままだった。公職選挙法には後見人が付くと選挙権を失うとの規定があったが、13年の違憲判決で法改正され、現在は投票ができるようになっている。

関連記事)
成年後見利用で失職は違憲」 元警備員男性、国など提訴 - 東京新聞(2018年1月10日)
http://d.hatena.ne.jp/kodomo-hou21/20180111#p2

<金口木舌>お母さんも甘えて - 琉球新報(2018年1月19日)

https://ryukyushimpo.jp/column/entry-648895.html
http://archive.is/2018.01.19-000344/https://ryukyushimpo.jp/column/entry-648895.html

「自分の子どもを育てているのにイクメンって、訳分からない」−。あるお笑い芸人が、「イクメン」ぶりを自慢する芸能人を皮肉った発言が話題になっている

▼女性が育児をするのは当たり前、男性は育児を手伝うだけでもてはやされている。「イクメン」という言葉が存在していること自体、男性の育児参加が浸透していない現状を表している
▼一方、育児中の女性が感じる重圧は相当なものだ。赤ちゃんに母乳をあげるのも寝かしつけるのも、初めからうまくできるものではないと分かっているのに、「完璧な母親像」に押しつぶされそうになりがちだ
▼本年度、本紙主催の短編小説賞に輝いた「火傷の痕と子守唄」は、出産直後の母親の苦悩を描く。幼いころ母親から虐待された主人公が、母のようにはなりたくないと思うあまりに自らを追い詰める
▼きついのに意地を張って母子同室を希望し、寝不足になる。ほかの母親はきちんとしていて、自分だけ「母親失格」と言われている気がする。作者の石川みもりさんは子育て真っ最中。経験者ならではの描写が随所にちりばめられている
▼主人公は、看護師長の「大丈夫よ」という言葉と家族や友達の存在に救われ、一人で子育てしていた母の孤独感に思いを巡らせる。頑張り屋さんのお母さんを「一人じゃない。甘えていいんだよ」と優しく包み込む作品だ。

復活可能性都市へ(4)小学校再開、島に元気 - 西日本新聞(2018年1月12日)

https://www.nishinippon.co.jp/feature/i_live_here/article/385868/
http://archive.is/2018.01.19-000216/https://www.nishinippon.co.jp/feature/i_live_here/article/385868/

人口約90人の離島に、希望の波が寄せている。
奄美群島南部の小さな島の一つ、請島(うけじま)(鹿児島県瀬戸内町)。島唯一の小学校の池地(いけじ)小は昨春、児童2人がそれぞれの家族と移住して3年ぶりに再開し、子どもたちの声が校舎に響く。
「島の伝統は何ですか」「豊年祭や八月踊りです」。3年生の野崎凰(こう)(9)は、担任の脇園康人(25)と2人だけの授業で、1年生の三ノ京楓花(さんのきょうふうか)(6)と一緒に体験した島の風習を、大きな声で答えた。
学校再開は、島民を元気づけた。希少な花「ウケユリ」の保護活動をしている勝哲弘(75)は、学校行事の観察会で2人を案内した。島を挙げた運動会で披露する八月踊りを指導した福原栄子(78)は、今年の練習を指折り数えて待つ。
赤や白の南国の花々が咲き誇る夏、楓花が作った短歌は、県内のコンテストで最優秀賞を受賞した。
「こんにちは でいごうけゆり きれいだな きょうからここが ふるさとになる」
作品を載せた「学校だより」は島の全62戸に配られた。誰もがわが子のように喜んだ。

      ■

畜産や農業が中心の請島には小さな食料品店はあるが、コンビニも駐在所も病院もない。奄美大島から1時間かかる定期便は1日1便。自営業以外に働き口は少なく、子どもたちは池地小併設の池地中(2014年から休校)を卒業すると、ほとんどが島を離れる。
楓花の父、三ノ京浩人(ひろひと)(53)も島で生まれ、15歳で島を出た。時折、実家に戻るたびに空き家が増えていくのが、たまらなく寂しかった。「島を守りたい」との思いが募り、奄美大島から移住した。今は建設業アルバイト、妻順子(42)は池地小用務員として働く。
母が請島出身の野崎真奈美(37)は、凰と長男の竜翔(りゅうしょう)(5)とともに同じ奄美大島から移住。現在は島の郵便局に勤めている。
島唯一の診療所に常駐する看護師の請畑美由紀(40)は、健康チェックで巡回する高齢者から、運動会など学校の話題をよく聞くようになった。「子どもたちの声や懸命に頑張る姿が、住民の力になっている」

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三ノ京は帰郷後、島の区長になった。お年寄りたちが米やガソリンを奄美大島の店に電話注文し、船で港に届くと、一輪車や、荷台を積んだ耕運機で自宅まで運んでいる姿が気になった。東京での会社勤めから請島に昨春帰郷した益岡一富(64)らと高齢者の暮らしを支える「請島うけゆり会」をつくり、荷物を車で運び、島内の送迎なども無償で始めた。お年寄りの孤立を防ごうと、海岸や墓の清掃、花植えを集落総出で行う日も設けた。
益岡は、通学路沿いの実家が代々営んできた商店を再開させた。夕暮れ時には、店を吹き抜ける浜風に住民たちの笑い声が重なる。
学校再開は、集落に少しずつ「化学反応」を起こしている。
三ノ京は、請島のホームページを作成し、澄んだ海や池地小の活動記録といった島の魅力を発信しようと計画を練る。「うもーれ請島(島の方言で、いらっしゃいの意味)」。タイトルは浮かんでいる。 =敬称略