17年衆院選は「合憲」1票の格差訴訟で高裁那覇支部 - 日本経済新聞(2018年1月19日)

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2589193019012018ACYZ00/
http://archive.is/2018.01.19-060231/https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2589193019012018ACYZ00/

1票の格差」が最大1.98倍だった昨年10月の前回衆院選違憲だとして、弁護士グループが選挙無効を求めた訴訟の判決で、福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)は19日、国会による格差是正の取り組みに一定の評価を示して「合憲」と判断し、原告側の請求を棄却した。
2つの弁護士グループが全国の高裁・高裁支部で起こした計16件の同種訴訟で最初の判決。判決は3月までに出そろうとみられ、その後年内にも最高裁が統一判断を示す見通しだ。
最高裁は最大格差が2.30倍だった2009年衆院選を「違憲状態」と判断し、都道府県ごとに1議席を割り振る「1人別枠方式」が格差の要因になっていると指摘。12年、14年の衆院選も「違憲状態」として是正を求めた。
国会は昨年7月施行の改正公職選挙法小選挙区定数を「0増6減」し、区割りも変更。最大格差は1.98倍に縮小し、1994年導入の小選挙区比例代表並立制の下で初めて2倍を下回った。今後、現在よりも人口比に忠実な「アダムズ方式」で定数を見直すことも予定されている。
多見谷裁判長は判決理由で、一段の格差是正措置が予定されていることや、格差が初めて2倍を切ったことなどを評価。今回の区割りは国会の裁量範囲を逸脱しておらず、憲法が求める投票価値の平等に反していたとはいえないとして、合憲との結論を導いた。
訴訟で弁護士グループ側は「人口比例の定数配分は実現していない」などと主張。被告の選挙管理委員会側は「国会はできる限りの検討を尽くして格差を是正した」として、投票価値の平等に反しないと反論していた。