児童扶養手当、年6回の方針 「まとめ支給」見直し - 朝日新聞(2017年12月18日)

http://www.asahi.com/articles/ASKDK4RBXKDKUTFK002.html
http://archive.is/2017.12.18-004119/http://www.asahi.com/articles/ASKDK4RBXKDKUTFK002.html

ひとり親家庭に支給する児童扶養手当について、政府は4カ月ごとにまとめて年3回支給する仕組みを改め、2カ月ごとにまとめて年6回支給する方針を固めた。収入のばらつきを抑えて家計の管理をしやすくし、支給日の間で使い切って困ることがないようにする狙いだ。来年の通常国会児童扶養手当法を改正し、2019年度の実施を目指す。また、来年度から所得制限を緩める方向で最終調整に入った。
児童扶養手当ひとり親家庭の生活支援が目的で、3月時点で100万6332世帯が受給する。子どもが1人なら年収365万円までといった所得制限があり、支給額は年収や子どもの数によって異なる。物価に応じて毎年度変わり、今年度は子ども1人の場合、満額で月4万2290円。年収130万円までに満額が支給される。
いまは4カ月分を4月、8月、12月に支給している。この「まとめ支給」には、途中で使い切って家賃などの毎月の支払いに困る恐れがあるとして支援団体などが改善を求めていた。

中高生や大学生「つなぐ場に」 元シールズ・奥田さんが企画 - 東京新聞(2017年12月18日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201712/CK2017121802000103.html
https://megalodon.jp/2017-1218-0941-48/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201712/CK2017121802000103.html

中高生、大学生の若者が大人と政治や社会問題について語るイベント「Youth Conference(ユース・カンファレンス)」が17日、東京都千代田区上智大学であった。昨年解散した若者グループ「SEALDs(シールズ)」のメンバーだった奥田愛基さんが代表を務める民間シンクタンク「ReDEMOS(リデモス)」が主催した。
参加者は「外交・安保」「ジェンダー」など六つのワークショップに分かれ、ジャーナリストや大学教授ら専門家と討論。弁護士の白神優理子さんらが講師を務めた「憲法・人権」のワークショップでは「自分たちの将来につながることなのに、憲法の勉強会に若者が少ない」「なぜ学校で戦争体験を聞く授業がないのか」など率直な質問があがった。
後半はCMディレクターの下田彦太さんが、問題意識や学んだことをどう社会運動につなげるかについて講演。効果的な発信方法などについて話した。
企画は、奥田さんが今春、高校生から「社会問題を同世代と話し合いたいが機会がない」と相談を受けたのがきっかけ。奥田さんは「同じことを考えている若者をつなぐ場ができ、新しい動きが生まれてくれれば」とイベントを企画。運営には高校生も関わり、当日は司会進行を務めた。
ワークショップ終了後、奥田さんは「学んだことを周りの人と話し合って広めてほしい」と呼びかけた。参加した上智大1年の岩崎結衣さん(18)は「同世代がいたので自分も話しやすかった。もっと広がってほしい」と話した。 (原尚子)

民生委員100年 制度支える知恵絞ろう - 東京新聞(2017年12月18日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017121802000127.html
https://megalodon.jp/2017-1218-0942-53/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017121802000127.html

「なり手」の確保が課題になっている。制度発足から今年で百年を迎えた民生委員。地域の身近な相談相手や見守りの役割を担う。地域を支えるその活動を、地域も支えていく知恵を絞らないと。
民生委員は児童委員も兼ねており、その活動は多岐にわたる。
見守りや訪問でも高齢者や障害者、子育て世帯、生活困窮者ら、さまざまな人たちと接する。状況に応じ、行政や専門機関との橋渡しも求められる。
一九一七年、岡山県で創設された「済世顧問」制度が始まりとされ、戦後の四八年、現行の制度になった。厚生労働相が委嘱する無報酬の地方公務員で任期は三年。全国に約二十三万人いる。
昨年十二月が一斉改選期だったが、全国平均で欠員が3・7%生じた。約二十年前の0・7%に比べ3ポイント悪化。欠員率が徐々に拡大しているのが不安の種だ。
もうひとつ、課題となっているのが委員の高齢化だ。昨年の全国モニター調査によれば、平均年齢は六六・一歳。約二十年前より五歳以上も上がっている。
委員には地域に根づいた仕事をしている自営業や公務員経験者、主婦らが委嘱される場合が多い。だが、勤め人の増加や核家族化、希薄になった人間関係など、社会構造の変化とともに、「なり手」不足が顕在化してきた。
その一方で、若者やお年寄りの孤立、振り込め詐欺被害、子どもの貧困、いじめや虐待の問題など委員の活動は時代に即して増え、多様化しているのだ。
たとえば愛知県は、昨年十二月の欠員率は1・0%に収まった。それでも委員の不足は、長期的に見れば気にかかる。
改選期の昨年、推薦基準を見直し、七十五歳未満である選任年齢を、一回に限って現職の再任ができるよう改めた。いわば特例措置の“定年延長”である。
負担軽減のため民生委員を補佐する「協力員」(協力委員)制度を取り入れる自治体も出てきている。東京都が比較的早く、二〇〇七年度から始めた。
民生委員ほど負担は重くない立場。心理的には引き受けやすい。一緒に地域福祉を担う人が増えることになり、次の民生委員探しにもつながる。
百年も続いた制度だ。その重要さは変わるまい。
行政や専門機関が制度を支えるのはむろんだが、住民が主体性を発揮して行う活動も後押しになるはずだ。

日弁連 障害者差別禁止「国会も」 法制化促す - 毎日新聞(2017年12月18日)

https://mainichi.jp/articles/20171218/k00/00m/040/092000c
http://archive.is/2017.12.18-004450/https://mainichi.jp/articles/20171218/k00/00m/040/092000c

日本弁護士連合会が、国会における障害者差別を禁じる法令を制定するよう求める意見書の取りまとめに着手した。現行の障害者差別解消法では、内閣に置かれた行政機関や地方議会を含む自治体などが適用の対象とされるが、三権分立を踏まえて国会は対象外になっている。昨年の国会審議で難病患者が質疑時間などを理由に参考人として出席できなかった問題を受け、国会に法制化を働きかける。
早ければ年度内にも公表される見通し。識者からも国会が法律の対象外となっていることを疑問視する声が出ており、立法府として対応を求められそうだ。
2013年6月に制定された同法は、国や自治体に対し、障害を理由とした不当な差別的取り扱いを禁じ、過重な負担にならない範囲でバリアフリーのために必要な措置をとる「合理的配慮」を義務づける(民間事業者は努力義務)。16年4月に施行された。
一方で、国会や裁判所については「三権分立の観点からそれぞれ実態に即して自律的に必要な措置を講じることとすることが適当」(内閣府)とし、法律の対象から除外している。
16年5月の衆院厚生労働委員会で、障害者総合支援法改正に関して野党側が、当事者の意見を聞くため筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の男性を参考人質疑に呼ぼうとした。しかし、与野党協議の結果、「質疑に時間がかかる」などとして男性の出席は実現しなかった。
これを受け、日弁連は対応を協議。現状では、議員や参考人、傍聴人らに対する合理的配慮が国会の裁量に委ねられており、法的に担保されていないとして、関係者へのヒアリングも重ねて法制化を促す意見書作成の検討を進めている。
日弁連は裁判所に関しても、13年に「裁判所の合理的配慮義務」の規定を民事訴訟法に設けることなどを求める意見書を公表しているが、立法化には至っていない。【武本光政】

三権分立、理由おかしい
全盲・全ろうの重複障害を持つ東京大先端科学技術研究センターの福島智教授の話 障害者差別解消法は、障害者の基本的人権を担保する最低限の法的枠組みを示したもので、国民の社会的・政治的活動の自由を規定した憲法の理念と連動している。国会も裁判所も法の対象とすべきだ。三権分立は国家権力の乱用を防ぎ、国民の政治的自由を保障するため立法、司法、行政の各機関が相互にチェックし合う原理。それぞれ「自律的に」差別解消に向けた必要な措置をとるための理念ではない。

危機の社会保障 増える生活困窮者 安全網をどう維持するか - 毎日新聞(2017年12月18日)

https://mainichi.jp/articles/20171218/ddm/005/070/048000c
http://archive.is/2017.12.18-004821/https://mainichi.jp/articles/20171218/ddm/005/070/048000c

「とてもみんなの顔は覚えられない。分かるのは4割ぐらいです」
大阪市内の区役所で生活保護世帯の支援を受け持つケースワーカーの男性(44)は済まなそうに語る。
担当する高齢者は約280世帯で、法律が定める標準数の「1人につき80世帯」を大きく上回る。連日、電話相談や家庭訪問する嘱託職員からの報告に忙殺される。
標準数に満たぬワーカー数について市は「嘱託職員などを活用している」と説明する。だが、受給者の女性(73)にとっては「忙しいって分かっているから、相談しにくい」のが実態だ。
日本の社会保障制度は、医療保険雇用保険、年金などの社会保険が土台となっている。
生活保護は、社会保険の網から漏れ、親族による援助、働く能力などあらゆる可能性を考えても最低限の生活ができない人に適用される「最後の砦(とりで)」の制度だ。
20年以内に崩壊の懸念
最近は無年金・低年金の高齢者が「最後の砦」になだれ込み、生活保護の受給世帯数は毎年、過去最多を更新している。昨年度は月平均で約163万7000世帯、受給者数は約214万人に上った。65歳以上の高齢者世帯は初めて半数を超え、うち9割は独り暮らしが占めている。
しかも、今後20年を経ずして「団塊ジュニア」世代が高齢者の仲間入りをする。就職氷河期(1993年〜2005年)に大学を卒業した世代は非正規雇用が多く、平均賃金がほかの世代より低い。預貯金もない困窮高齢者が近い将来に爆発的に増えるとみられている。このままでは日本の社会保障の形が崩れていく。
大阪市はその縮図である。人口に占める受給率は5・3%。全国平均1・7%を大きく上回る。市民19人に1人が受給している計算だ。
高度成長期に大阪には労働者が大量に流入した。だが、高齢にさしかかる頃にバブル経済が崩壊し、仕事を失う人が続出した。身寄りのない老人やシングルマザーに加え、格差拡大に伴うワーキングプアの増加が受給者数を押し上げた。
大阪市橋下徹市長時代から不正受給対策に本腰を入れるようになった。その結果、受給世帯は12年をピークに減少に転じた。
一部の区では受給者の顔写真付きカードを「本人確認のため」交付している。顔写真カードを求めるような対応に「受給者への偏見を強めかねない」との批判も根強い。
神奈川県小田原市では生活保護を担当する職員が「保護なめんな」とプリントしたジャンパーを着用していたことが分かり、受給者の人権を傷つけたとして問題化した。
ネットやSNSでは「ナマポ」などの表現で受給者を攻撃するような書き込みが絶えない。正当な受給であるにもかかわらず、「在日特権」をあおるヘイトスピーチに通じる不寛容な空気の反映だ。
急場しのぎには限界
国の支出はすでに年間4兆円の大台に近づいている。政府は歳出抑制を図り、安倍晋三政権は13年度以降、3段階で保護基準を引き下げた。
政府は来年度に向けて、5年に1度の支給基準見直しを進めている。大都市を中心に生活扶助が引き下げられる見通しだ。
問題は給付の引き下げだけではない。安倍政権になってから福祉事務所による親族などへの調査の強化、申請書類の厳格なチェックなどが徹底され、受給者数の抑制が図られている。いわゆる「水際作戦」だ。受給基準にあてはまる可能性がある低所得世帯のうち、実際に受給しているのは約2割との説もある。
生活保護が認められれば、病気のとき無料で医療機関にかかることができる。しかし、認められない人は国民健康保険に加入せざるを得ない。ここで保険料を払えないと「無保険」となる。今、約21万世帯が医療費の全額負担を求められている。
健康保険証を持っていない人の受診を拒むことができなかった医療現場でやむを得ず広がっているのが「無料低額診療」だ。患者の自己負担分を医療機関の持ち出しなどで補う制度で、15年度にはのべ約780万人が利用した。
国民皆保険といいながら、この国ではすでに「皆」が破れつつある。
急場しのぎの給付抑制策を続けていても、このままでは20年後に「安全網」が崩壊することは避けられない。持続させるための方策を真正面から議論する段階にある。

木村草太の憲法の新手)(70)生活保護基準改定 切り下げは生存権を侵害 - 沖縄タイムズ(2017年12月17日)

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/185054
https://megalodon.jp/2017-1218-0946-36/www.okinawatimes.co.jp/articles/-/185054

2018年は、5年ごとに行われる生活保護基準改定の年だ。この連載でも指摘したように、13年に実施された基準改定では、(1)物価下落率の計算が不当に操作されたこと(2)生活保護を受けていない一般世帯の収入下位10%のグループと比較したこと(3)物価下落を二重に評価したこと−などの問題がある。本来ならば、来年の改定では、そうした問題を是正すべきだ。しかし、ここまでの報道を見る限り、情勢は楽観できない。
12月8日、厚労省は、社会保障審議会生活保護部会に「生活扶助基準の検証結果(案)」など三つの資料を提出した。さらに12日には、これらの資料を踏まえ、報告書案も提出された。これらの資料・報告書からは、日常生活費に関わる「生活扶助」の支給基準を、一般世帯の収入下位10%のグループの消費支出額に合わせようとする意図が読み取れる。
資料によると、例えば、「都市部の子ども二人の母子世帯」では、現行の生活扶助支給基準が月15万5250円であるのに対し、一般世帯の収入下位10%グループの消費支出は14万5710円から14万4240円程度となっている。もしも、この報告書案に従って生活保護基準を改定するならば、「都市部の子ども二人の母子世帯」では1万円近くも生活扶助基準額が切り下げられることになろう。
しかし、よく考えてほしい。日本の生活保護制度の捕捉率は2割から3割程度と言われている。つまり、本来であれば生活保護を受ける資格があるのに、生活保護を利用できていない人は、以前からかなり多い。
その上、13年の基準改定では、「最低限度の生活」が不当に低く設定された。もしも13年に適正な基準が決定されていれば、「最低限度の生活」に必要な収入を確保できていないとして、生活保護の利用資格を認められる人の範囲は、今よりも広かったはずだ。
つまり、13年時と比べても、一般世帯の収入下位10%のグループには、「最低限度の生活」ができていないのに、生活保護を利用できていない人が、より多く含まれていることになる。このグループの消費支出に、生活扶助基準を合わせれば、憲法25条1項が保障する生存権が実現できなくなってしまう。
貧困問題に取り組むNPO法人「もやい」は、この点を懸念して、「【緊急声明】生活扶助基準の引き下げを止めてください」を出し、「引き下げありきの議論であると言わざるを得ません」と指摘している。
こうした生活保護切り下げへの懸念に対しては、「不正受給があるから仕方ない」といった反論の声も聞かれる。しかし、生活保護費を切り下げたからといって、不正受給が減るわけではない。不正受給を減らしたいなら、不正の有無を十分にチェックし、生活保護受給者に適切な受給を指導できるよう、ケースワーカーの人員を増やすべきだろう。
ケースワーカーを増員すれば、現場に余裕が生まれる。支援を必要とする人の個性に合わせて、きめの細やかな支援を届けることができるようになるだろう。生活保護の捕捉率も上がるだろう。これは、一石三鳥だ。(首都大学東京教授、憲法学者

BPO意見書 東京MXは直ちに謝罪を - 琉球新報(2017年12月17日)


https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-632204.html
http://archive.is/2017.12.18-005019/https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-632204.html

米軍北部訓練場のヘリコプター発着場(ヘリパッド)建設に反対する市民をテロリストに例える内容を放送した東京メトロポリタンテレビジョン(東京MX)の番組「ニュース女子」について、放送倫理・番組向上機構BPO)の放送倫理検証委員会が「重大な放送倫理違反があった」との意見書を提出した。
裏付け取材を十分しないまま、ヘリパッド建設に反対する人々を中傷する番組を放送しており、当然の結論だ。東京MXは公共の電波を使用している放送局として、一から出直す必要がある。
ニュース女子」は制作会社の持ち込み番組だ。このため委員会は東京MXが放送前、放送倫理などを基にして適正に考査したかを審議対象にした。さらに番組内容も検証した。
番組では

  1. 反対運動の参加者が救急車の出動を妨害している
  2. 取材者が襲撃の危険を感じるほど参加者が攻撃的であった
  3. 反対運動の参加者が日当をもらって活動している

とする内容を放送した。
委員会は東京MXの考査担当者ら5人、番組内容の事実確認のため東村高江区の救急車の出動を管轄する地元の消防本部消防長、放送に映っていた抗議行動への参加者3人らに聞き取りをしている。
その結果、救急車が通行を妨害された事実はなかった。また取材者が反対行動の市民から「おまえ誰や」と罵声を浴びせられたという制作会社の説明についても「あってしかるべき映像や音声の裏付けがない。(中略)放送内容には、その裏付けとなるような客観的な事実が認められない」と否定した。
反対運動に日当が出ているとの内容についても「疑惑を裏付けるものとは言い難い。たとえスーパー(画面上の文字表示)に疑問符をつけていても、裏付けなしに提起することが不適切であることに変わりはない」と批判した。
つまり放送内容の根幹部分がことごとく事実ではない、もしくは裏付けがないと断定された。あまりにもお粗末な番組だったというほかない。
委員会は考査についても不十分だったと指摘している。考査担当者は制作会社による持ち込み番組であるにもかかわらず、番組の納品された完成品(完パケ)の考査をしていなかった。開いた口がふさがらない。
考査したのはスタジオ収録部分にスーパーが付いていない制作途中のものだった。東京MXは自ら定めた「納品前の完パケの確認」を怠っていたのだ。放送責任を全うしたとは言い難い。
調査結果を踏まえ、委員会は「放送の自主・自律を守る砦(とりで)」について、東京MXが「本放送において、砦は崩れた」と指摘した。崩した砦をどう修復するのかを注視したい。そして東京MXは沖縄の人々と視聴者に直ちに謝罪すべきだ。二度と沖縄ヘイト番組を作ることは許されない。