日弁連 障害者差別禁止「国会も」 法制化促す - 毎日新聞(2017年12月18日)

https://mainichi.jp/articles/20171218/k00/00m/040/092000c
http://archive.is/2017.12.18-004450/https://mainichi.jp/articles/20171218/k00/00m/040/092000c

日本弁護士連合会が、国会における障害者差別を禁じる法令を制定するよう求める意見書の取りまとめに着手した。現行の障害者差別解消法では、内閣に置かれた行政機関や地方議会を含む自治体などが適用の対象とされるが、三権分立を踏まえて国会は対象外になっている。昨年の国会審議で難病患者が質疑時間などを理由に参考人として出席できなかった問題を受け、国会に法制化を働きかける。
早ければ年度内にも公表される見通し。識者からも国会が法律の対象外となっていることを疑問視する声が出ており、立法府として対応を求められそうだ。
2013年6月に制定された同法は、国や自治体に対し、障害を理由とした不当な差別的取り扱いを禁じ、過重な負担にならない範囲でバリアフリーのために必要な措置をとる「合理的配慮」を義務づける(民間事業者は努力義務)。16年4月に施行された。
一方で、国会や裁判所については「三権分立の観点からそれぞれ実態に即して自律的に必要な措置を講じることとすることが適当」(内閣府)とし、法律の対象から除外している。
16年5月の衆院厚生労働委員会で、障害者総合支援法改正に関して野党側が、当事者の意見を聞くため筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の男性を参考人質疑に呼ぼうとした。しかし、与野党協議の結果、「質疑に時間がかかる」などとして男性の出席は実現しなかった。
これを受け、日弁連は対応を協議。現状では、議員や参考人、傍聴人らに対する合理的配慮が国会の裁量に委ねられており、法的に担保されていないとして、関係者へのヒアリングも重ねて法制化を促す意見書作成の検討を進めている。
日弁連は裁判所に関しても、13年に「裁判所の合理的配慮義務」の規定を民事訴訟法に設けることなどを求める意見書を公表しているが、立法化には至っていない。【武本光政】

三権分立、理由おかしい
全盲・全ろうの重複障害を持つ東京大先端科学技術研究センターの福島智教授の話 障害者差別解消法は、障害者の基本的人権を担保する最低限の法的枠組みを示したもので、国民の社会的・政治的活動の自由を規定した憲法の理念と連動している。国会も裁判所も法の対象とすべきだ。三権分立は国家権力の乱用を防ぎ、国民の政治的自由を保障するため立法、司法、行政の各機関が相互にチェックし合う原理。それぞれ「自律的に」差別解消に向けた必要な措置をとるための理念ではない。