教員の処分厳格化を検討 「政治的中立」確保へ自民 - 朝日新聞(2016年12月6日)

http://www.asahi.com/articles/ASJD66F2HJD6UTIL05G.html
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自民党は6日、教員の「政治的中立性」を確保するためとして、都道府県ごとに異なる懲戒の基準を一律にするなど、処分を厳しくする方向で検討を始めた。法改正も視野に、今後、文部科学省と協議しながら具体的な指針づくりなどをめざすという。だが、政治や行政による学校現場への過度な介入につながる可能性もある。
6日に開かれた党文部科学部会で報告された。
自民党はこれまで、実態調査として政治的中立を逸脱する教員らの情報をホームページ(HP)で募集。「密告を促すのか」などの批判も浴びてきた。部会ではその結果報告もあり、出席者によると「与野党を含め、特定政党への投票呼びかけがあった」「安全保障関連法、憲法について偏った説明をした」などの例が紹介されたという。

厚木基地騒音訴訟 自衛隊機飛行差し止め請求棄却 最高裁 - 毎日新聞(2016年12月8日)

http://mainichi.jp/articles/20161208/k00/00e/040/261000c
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厚木基地(神奈川県大和市綾瀬市)の周辺住民約7000人が米軍機と自衛隊機の飛行差し止めと損害賠償を国に求めた「第4次厚木基地騒音訴訟」の上告審判決で、最高裁第1小法廷(小池裕裁判長)は8日、自衛隊機の夜間・早朝の飛行禁止を命じた2審判決を破棄し、住民側の差し止め請求を棄却した。飛行差し止めについては住民側の逆転敗訴が確定した。2審判決のうち、過去の騒音被害に対する国の賠償を約82億円とした部分は既に確定していた。
1、2審は米軍機飛行差し止めの請求は退けたものの、全国で初めて自衛隊機の飛行差し止めを認めたため、最高裁の判断が注目されていた。小法廷は、2審が今月末までの将来分の損害賠償として約12億円の支払いを認めた部分も破棄した。過去分の騒音被害を金銭で救済する従来の司法判断の枠組みに後退する内容となった。
周辺住民らは当初、民事訴訟を起こし、騒音被害に対する損害賠償と米軍機、自衛隊機の飛行差し止めを求めていた。最高裁は1993年2月の1次訴訟判決で、差し止め請求を退ける一方で国の賠償責任を認め、全国の基地訴訟で賠償によって被害救済を図る司法判断が定着した。
一方、93年判決は自衛隊機の運航が「防衛庁長官(当時)の公権力の行使に当たる」との判断を示し、行政訴訟であれば差し止めが認められる可能性を残した。このため住民側は4次訴訟で民事訴訟とともに初めて行政訴訟を起こした。米軍機に対する差し止め請求は却下されたが、1、2審で自衛隊機の夜間、早朝の飛行禁止が認められた。
小法廷は、飛行禁止時間の延長を求める住民側と、差し止めの取り消しを求める国側の双方の上告を受理。審理対象を自衛隊機の差し止め部分に限定し、2審の結論見直しに必要な弁論を開いた。
国は「米軍機の騒音を被害に含めるのは誤りだ」と主張。自衛隊の活動には公共性があり、夜間・早朝の飛行も防衛相の裁量権の範囲内にあるとした。
一方、原告弁護団は「睡眠障害などの健康被害は金銭では回復できない。2審判決は深刻な被害を解消する第一歩」と強調。原告の住民は「爆音にさらされる状況は今も変わらない。飛行差し止めを認め、裁判を終わらせてください」と訴えていた。
今回は、基地の騒音を巡る行政訴訟で初の最高裁判決となった。【島田信幸】

不登校の子を国が支援 教育機会確保法が成立 - 東京新聞(2016年12月7日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201612/CK2016120702000258.html
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不登校の児童生徒を国や自治体が支援することを初めて明記した議員立法の教育機会確保法が七日、参院本会議で可決、成立した。当初はフリースクールなど学校以外での学習も義務教育として認定する制度を検討していたが、反対意見が強く大幅に修正。学校以外での多様な学びの重要性は認めつつ、児童生徒の状況に応じた情報提供や助言を促す内容となった。
同法は「不登校の児童生徒」は、学校を相当の期間欠席しており、集団生活に関する心理的負担などで就学が困難な状況と定義した上で、休養が必要だと指摘。
国や自治体に、児童生徒の状況の継続的な把握のほか、学校や支援施設の環境整備も求めた。
超党派議員連盟は当初、不登校の児童生徒の「個別学習計画」を保護者が作成し、市町村教育委員会が認定することで、フリースクールなど学校以外での学習も義務教育として認める制度を検討していた。
学校に限定している義務教育の在り方が大きく変わる可能性があったが、与党議員の一部が「義務教育は学校が担うべきだ」「不登校の助長につながる」と反対。フリースクール関係者からも「教委と関係する個別学習計画が子どもを追い詰める可能性がある」といった意見があり、議論が長引いていた。
同法は、小中学校に通うことができなかった人に対し、夜間中学校などの教育機会を確保することも盛り込んだ。付則で、施行後三年以内に、見直しを含めた必要な措置を講じるとしている。文部科学省はモデル事業として、二〇一五年度補正予算フリースクールに通う子どもの必要経費を補助しているが、同法成立で支援拡充が期待できるとしている。

◆「通えない子を差別」 支援者、歓迎と懸念
教育機会確保法は、国などが不登校の子どもを支援することを初めて明記した。義務教育の中に学校以外での学びも取り込むという、当初の構想は立ち消えになったが、支援者らは「大きな一歩」と法の成立を歓迎する。一方で「不登校を問題視し、学校に通えない子どもを差別している」との懸念も出ている。
「不十分ながら大きな一歩。休むことの大切さや、学校以外の多様な学びの重要性が盛り込まれた」。東京都内でフリースクールを運営する東京シューレ奥地圭子理事長は評価する。
奥地さんは「法には三年後に見直す規定もある。将来はフリースクールなどでの学びを、学校教育とは切り離しても、社会的に支えてもらえるような制度を目指したい」と話す。
一方、心理カウンセラーの内田良子さんは反対の立場だ。「法は『児童生徒』と『不登校児童生徒』を分けて定義し、差別している。不登校は誰にでも起こり得るのに、子ども個人の問題だと言っているようなものだ」と指摘する。
不登校経験者や保護者の中にも法に危機感を抱く人は多く、内田さんらは一万人分以上の反対の請願署名を集め、国会に提出したという。
不登校の子は、いじめや教員の不適切な指導といった学校現場で起こる問題の被害者。これまでの国の対策が正しかったのか、学校環境の整備はできていたのかなど、検証を先にきちんとするべきだ」と訴えた。

開戦75年に考える 悲劇の記憶が蘇る - 東京新聞(2016年12月8日)

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先島諸島と呼ばれる沖縄県南西部の島々が自衛隊配備で揺れています。蘇(よみがえ)るのは戦争による悲劇の記憶です。太平洋戦争、七十五年前のきょう始まる。
作家、司馬遼太郎さんは四十二年前の一九七四年の四月、先島諸島を訪れています。米軍統治から施政権が日本に返還された「本土復帰」から約二年後のことです。
司馬さんはそれまでに三回、沖縄を訪れていて、四度目となる旅の様子は「街道をゆく」シリーズの「沖縄・先島への道」(朝日文庫)に詳しく記されています。
沖縄は先の大戦で、日本国内で唯一、住民を巻き込んだ凄惨(せいさん)な地上戦の舞台となりました。
今は復元されましたが、司馬さんが那覇を訪れた四十二年前、旧琉球王府の首里城はありませんでした。日本軍が高台の首里を陣地とし<兵も石垣も樹(き)も建造物もこなごなに砕かれた>(「沖縄・先島への道」から引用。以下同じ)からです。
司馬さんにも従軍経験がありました。所属していた戦車連隊は四五年のはじめ、旧満州にいましたが、その後、栃木県の佐野に移駐します。<米軍が関東平野の海岸に上陸し、東京・横浜が戦場になるという想定のなかにわれわれは組み込まれていた>からです。
関東平野で地上戦に突入すれば「本土決戦」に戦局好転の望みをかける日本軍との間で激しい戦闘となることは避けられません。兵士のみならず、民間人にも多大な犠牲が出ていたはずです。

◆「沖縄は身代わりに」
凄惨な事態は<関東平野だけでなく、上陸地として予想されていた中部地方の沿岸や南九州の沿岸においても、かわらない>だろうと想像し、こう続けます。
<沖縄は、身代わりになった>
その沖縄に住む人々は、終戦から七十一年がたつ今も「軍事」の影に苦しめられています。
七二年に苛烈な米軍統治が終わりましたが、沖縄には今も在日米軍専用施設の約74%が集中し、騒音や事故、米兵らの犯罪など過重な基地負担を強いられています。
県民の多くが米軍普天間飛行場の国外・県外移設を求めても、日米両政府は聞き入れようとせず、名護市辺野古への県内「移設」を強行しようとしています。今も続く「身代わり」の構図です。
そして新たに浮上したのが南西地域防衛を目的とした先島諸島への自衛隊配備です。きっかけは冷戦終結と中国の海洋進出でした。
東シナ海尖閣諸島周辺では中国公船が繰り返し、日本の領海に侵入したり、領海に隣接する接続水域を航行したりしています。
日本側は、海上保安庁の巡視船を増強して警備を強化していますが、先島諸島陸上自衛隊の空白地域だったため、中国を強く意識して、この地域への陸自配備を進めているのです。
司馬さんが四十二年前の旅で訪れ、<人に行き交うことがまれである>と記した日本最西端の与那国島には今年、百六十人規模の沿岸監視隊が発足しました。
宮古島には七百人規模、石垣島には六百人規模のミサイル部隊と警備部隊を配備する計画です。地元では、過疎化対策や抑止力強化の観点から配備を歓迎する人たちもいますが、住民の意見は割れているのが実情です。
島の主要産業である観光への影響を懸念する意見のほか、有事には自衛隊が標的にされ、周辺住民が巻き込まれると心配する声が聞こえてきます。底流にあるのは先の戦争の悲惨な記憶です。
大戦末期、米軍の攻撃を避けるため、この地域の住民はマラリア発生地帯への疎開を軍部によって強制され、多くの人が罹患(りかん)して亡くなりました。患者数は当時の人口の約半数とも言われています。
同じく大戦末期には、軍命により石垣島から台湾に疎開する際、船が米軍に攻撃され、多くの犠牲者が出ました。自衛隊配備でこうした戦争の記憶が蘇るのです。

◆反省と不戦の誓いを
安倍晋三首相は今月下旬、日米開戦の地、真珠湾オバマ米大統領とともに訪問します。犠牲者の慰霊が目的ですが、無謀な戦争に突入した痛切な反省と、「不戦の誓い」も語るべきでしょう。
国際紛争を解決する手段としては武力を用いることはない。「平和国家」日本の揺るぎない決意です。自衛隊の存在は認めるとしても、この決意に背くような形で配備を強行することがあってはなりません。沖縄を二度と、身代わりにしてはならないのです。

(筆洗) - 東京新聞(2016年12月8日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016120802000139.html
http://megalodon.jp/2016-1208-0927-07/www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016120802000139.html

「世の中には二種類の人間しかいない」と切り出す冗談がある。こんな類い。「世の中には二種類の人間しかいない。結婚を後悔している人間と結婚をしていない人間」。あくまで古い冗談である。
この種の冗談はごまんとあり、それを笑う作品もある。「世の中には二種類の人間しかいない。世の中の人間を二種類に分けるという人間とそうでない人間」。次のも良作。「世の中には三種類の人間しかいない。数を勘定できる人間とできない人間だ」。えっ笑えないと?失礼ながら読解力の問題か。
国際調査によると日本の十五歳の読解力が下がっている。科学や数学の成績は上がっているが、情報を読み取る力が弱いという。学び自体が本や教科書を読むことに始まる。初手の読解力が弱いとは心配になる。
読解力とはいうけれど、書き手である他人の意図や思いを想像して、くみ取る力でもあろう。だとすれば、それは「思いやり」の一種である。
さて先の冗談。文字を追ってもなかなか笑えぬが、笑ってやろう、何が面白いのかなと書き手の心にちょっと歩み寄って考えれば、これを口にした人こそ三と二を間違える「数を勘定できない人間」なのだというひねった笑いが見えてくるはずである。
大切な力を向上させたい。さもないと勉強、仕事は無論、人らしい生活も怪しくなる。加えて小欄の商売もあがったりである。

高松の小学校 児童のノート「悪い例」 掲示の教諭注意 - 毎日新聞(2016年12月8日)

http://mainichi.jp/articles/20161208/k00/00m/040/153000c
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高松市内の小学校で今年5月、教諭が悪いノートの書き方として児童1人のノートを黒板に掲示し、クラスの他の児童に問題点を指摘させていたことが7日、市教委への取材で分かった。児童はノートを取り戻した際、制止しようとした教諭ともみあって軽傷を負った。市教委は不適切な指導として教諭を口頭で厳重注意した。
市教委によると、教諭は児童の宿題のノートを黒板に磁石で掲示し、複数のクラスメートに問題点を指摘させた。授業後は、ノートを取り戻した児童の体に手をかけ、児童の首付近にその手が当たってすり傷を負わせた。教諭は更に体をつかみ、手を離した際に児童は前のめりに転倒した。
教諭は校長に当日報告し、児童宅を訪れて児童と保護者に謝罪。クラスの全児童にも翌日謝罪した。この児童はその後も登校を続けているという。
市教委の久保朗・学校教育課長は「悪い例を示す指導もあるが、子どもを特定できるようなやり方は不適切。『見せしめ』と取られても仕方なく、配慮が足りなかった」と説明している。【植松晃一】

党首討論 安倍さん、あんまりだ - 朝日新聞(2016年12月8日)

http://www.asahi.com/articles/DA3S12695891.html?ref=editorial_backnumber
http://megalodon.jp/2016-1208-0923-38/www.asahi.com/paper/editorial.html?iref=comtop_gnavi

質問にまともに答えない。聞かれた趣旨とずれた発言を長々と続ける。
45分という党首討論の時間が過ぎるのを待つかのような、安倍首相の姿勢にあきれる。
今国会初めての党首討論は、自民党などがカジノ法案を週内にも成立させようと急ぐさなかに開かれた。
「なぜカジノ解禁なのか」。民進党蓮舫代表がこの問題を取りあげたのは当然だろう。
だが首相の答弁は「(シンガポールで視察した)統合リゾート施設はカジノの床面積は3%のみだった」。一方で「これは議員立法だから、国会でお決めになること」とまるでひとごとのような発言も。
蓮舫氏がさらに「カジノはなぜ問題なのか。負けた人の賭け金が収益だからだ。どこが成長産業なのか」とただすと、首相は「統合リゾート施設には投資があり、雇用につながる」とようやく説明した。
法案は確かに議員立法だ。だが首相は、法案を提出した超党派議員連盟の元最高顧問だ。かつて「日本の成長戦略の目玉に」と意欲を語っていた。
ギャンブル依存症が増える恐れをはじめ、カジノは様々な問題をはらむ。そんな法案を、自民党はわずか約6時間の委員会審議で衆院を通過させた。
根強い反対・慎重論がある国民に、少しでも理解を広げたいと思うなら、首相はもっと誠実に蓮舫氏との議論にこたえるべきだった。
共産党の志位委員長が南スーダンの国連平和維持活動(PKO)での「駆けつけ警護」について質問した時も同じだった。
南スーダンでは政府軍による国連への攻撃が続発している。そんななかで自衛隊が「駆けつけ警護」を行えば、政府軍に武器を使用し、憲法が禁止した海外での武力行使になる危険性がある――。
そう問う志位氏に対し、首相は「南スーダンは誕生したばかりの最も若い国」などとなかなか本題に入らなかった。
国会は与党が圧倒的多数を握る。「数の力」を背景に、野党の異論に誠実にこたえない。党首討論での首相のふるまいは、今国会で政府・与党が何度も見せた姿と重なって見える。
党首同士の真っ向勝負であるべき党首討論だが、首相がこのような姿勢では、議論は深まりようがない。これでは「言論の府」の名が泣く。
回数を増やす、全体で45分の時間を延長する、1回の発言時間を制限する、などの改善策を真剣に検討する必要がある。

党首討論 安倍総理vs蓮舫代表 “カジノ法案”論戦 - ANNnewsCH(2016年12月7日)