埼玉・千葉連続刺傷:少女刺傷、家裁移送 発達障害「少年責められぬ」−−さいたま地裁-毎日新聞(2013年03月13日)

http://mainichi.jp/select/news/20130313ddm041040134000c.html
http://megalodon.jp/2013-0313-1106-52/mainichi.jp/select/news/20130313ddm041040134000c.html

決定は、結果の重大性や計画性を認め「刑事処分を選択するほかないように思える」と指摘。しかし、その上で、障害の影響により少女への加虐性愛というゆがんだ価値観が形成されたとし、「障害や不適切な成育環境が動機に直結した。そうした事情がある少年を責めることはできず、動機の悪質性を少年に不利に考慮するのは相当でない」と判断した。弁護側の柴野和善弁護士は「少年にこの決定をきちんと受け止めてもらうことを期待している」と述べた。さいたま地検の森悦子次席検事は「被告が障害をもつ少年という特異な審理で、熟慮を重ねた末の判断と受け止めている」とコメントした。

発達障害や知的障害のある被告人の刑事弁護が豊富な副島(そえじま)洋明弁護士は「司法が障害を理解しようとし始めている姿勢の表れだ」と高く評価した。

(コメント)
この件で、55条移送(家裁送致)は5件目となるが、今回のさいたま地裁の決定が、少年法55条移送の趣旨をよくとらえている。

さいたま地裁の決定をみると、そもそも刑事処分とした家庭裁判所がおかしい。この事件は殺人未遂等であり原則逆送事件ではなく、しかも2011年の事件当時、少年は16か17才(16才の可能性の方が高い)。家裁段階で、少年の背景がわかっていたはずだが、家庭裁判所が刑事裁判化・厳罰化している現状は深刻。

こうした中で少年法「改正」が再度、提出されている。
http://d.hatena.ne.jp/kodomo-hou21/20130208

(家庭裁判所への移送)
(少年法)第55条
裁判所は、事実審理の結果、少年の被告人を保護処分に付するのか相当であると認めるときは、決定をもつて、事件を家庭裁判所に移送しなければならない。


55条移送(家裁送致)については、以下のサイトを参照してください。
(55条移送は判決ではなく「決定」となります)

裁判員裁判三年後の見直しに関する意見書(2012年8月17日)
http://www.kodomo-hou21.net/pdf/20120817.pdf
【4】55 条移送の問題
少年法では、刑事裁判になった後でも保護処分への道を開いている。これを「55条移送」という。少年審判での逆送決定に対して少年側は異議申立することができないため、55条移送を求める少年刑事裁判は「再審理」「異議審」の役目も果たす。
55条移送の判断は主に社会記録の活用によってなされる。従来は様々なケースで55条移送がなされてきた。

少女連続刺傷 家裁送致決定 「医療少年院が最良」-東京新聞(2013年3月13日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/saitama/20130313/CK2013031302000150.html
http://megalodon.jp/2013-0313-0920-06/www.tokyo-np.co.jp/article/saitama/20130313/CK2013031302000150.html

(さいたま地裁での裁判員裁判)
この日の決定理由で田村裁判長は、悪質な動機は、少年の広汎性発達障害や家庭環境と直結しているとして、刑事処分の根拠とすべきでないと指摘。「治療のためには少年刑務所より医療少年院が有効であることは明らかで、保護処分は再犯を防ぐ社会の要請にもかなう」と述べた。
弁護側の柴野和善弁護士は決定を受け「少年には裁判長の言葉をしっかりと受け止めてほしい。裁判員の方は難しい決断だったと思うが、少年の将来を真剣に考えてくれたと思う」と評価した。
検察側は「障害がある少年という特異な審理に取り組み、熟慮を重ねた末の判断であると受け止めている」とコメントした。

少年事件の実名等の報道に抗議し、少年法61条の遵守を求める声明-東京弁護士会(2013年03月12日)

http://www.toben.or.jp/message/seimei/post-302.html

本年2月28日、東京都武蔵野市で女性が金銭を奪われ刺殺された事件に関し、2名の少年が逮捕され、現在取調べ中である。
株式会社新潮社は、3月7日発売した週刊新潮において、取調べを受けている2名の少年について、実名のみならず顔写真をも掲載し、さらに家族環境や従前の通学先等を詳細に報じる記事を掲載した。

(中略)

少年法61条を遵守し、少年及び関係者の人権保障に留意して報道されるよう要望する。


(記事等の掲載の禁止)
第61条 家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であること推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない

PC遠隔操作事件 東京地検が処分保留で容疑者を釈放していた!(山口一臣さん)-NO BORDER(2013年3月4日)

http://news-log.jp/archives/6981

一見すると容疑者の「余罪」が次々と明らかになり、事件が拡大しているかのように思えるが、事態は真逆だ。警察はかなり、追い込まれている。現状では容疑者を有罪にできるだけの証拠がないため、なんとか時間稼ぎをしようというのが再逮捕の真相で、メディアは本来、そのことを大きく(先に)報じるべきなのだ。しかし、実際は再逮捕されたことばかりがクローズアップされている。それどころか、東京地検の処分保留は書いていても、「釈放」の事実を書いていない記事も少なくなかった。正しくは、検察によって一度は釈放された人物を警察が再び逮捕したという話だ。これをきちんと書けば、世間の受け止め方もだいぶ違っていたはずだ。