【政界地獄耳】沖縄2つの記念日と県議選 候補者も有権者も整理できていない基地問題 - 日刊スポーツ(2024年6月1日)

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★第2次世界大戦後、サンフランシスコ講和条約によって日本は独立したものの、沖縄は27年間米軍の統治下に置かれた。沖縄の本土復帰から5月15日で52年になった。だが本土並み復帰は実現しただろうか。復帰の日を祝う空気はない。一方、1945年6月23日で沖縄戦での日本軍の組織的な戦闘が終わったとされ、今年で戦後79年を数える。今年も同日に「沖縄全戦没者追悼式」が行われる。この日ばかりは首相や衆参議長、与野党幹部が出席する。明仁上皇は皇太子時代の1981年8月の「おことば」で「忘れてはならない4つの日」とし「終戦記念日、広島の原爆の日、長崎の原爆の日、そして6月23日の沖縄の戦いの終結の日」とした。この日、県内は休日になる。
★その2つの記念日に挟まれる格好で沖縄県議会議員選挙(6月7日告示、6月16日投開票)が行われる。13選挙区(定数48)が争われるが、沖縄県は31の米軍専用施設があり、いまだ在日米軍専用施設の70%以上が県内にある。辺野古などの基地新設や離島の自衛隊配備も進む。県内与野党は頭の中では基地のない島や平和の島を希求するものの、昨今の現実は沖縄に一層の実質負担を強いている。その中で争点をどこに位置付けるか、国政政党の党派の政策や理屈と合致しないものもある。そこで切っても切れないはずの基地問題や安全保障問題は国も問題として棚上げ、経済・景気や外国人観光客を前提とした観光立県を前面に押し出す候補者や県民の声も出始めている。
★賃金は低くて物価は本土並みの是正が最優先と訴えれば有権者は納得する。だが、その前に横たわるのが基地問題。そのジレンマを候補者も有権者も整理できないでいる。自民党でも党中央の政策をそのまま沖縄にもって来ても通用しない。野党も平和維持を訴えるだけでは生活が成り立たない。2期目の折り返し時期を迎える知事・玉城デニーの中間評価になる県議選に立憲民主党からも大挙応援に入るが、その根本の議論が足りないのではないか。(K)※敬称略