【政界地獄耳】どうする岸田 緊張高まる中東情勢、石油の供給不足は国民生活にも影響 - 日刊スポーツ(2024年1月4日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202401040000064.html

★令和6年能登半島地震の被害は日増しに広がっている。羽田空港での航空機炎上事故もUターンラッシュを直撃。24年は正月早々波乱の幕開けとなった。年末まで吹き荒れていた政治とカネの記事は影を潜め尻すぼみ状態だが、わが国にとって重大な懸念をはらむ事態が年末の12月31日に起きていた。元々紅海でイエメンの武装組織フーシ派の海賊行為に対して同18日、オースティン米国防長官は海洋安全保障の枠組み「連合海上部隊(CMF)」を使った有志連合を組織。英、バーレーン、加、仏、伊、オランダ、ノルウェー、スペイン、セーシェルなどが参加している。日本は紅海と海峡を通じてつながるイエメン沖のアデン湾で09年から海賊対処にあたっていて、現在は護衛艦1隻と哨戒機1機を派遣。海上幕僚長・酒井良は有志連合に参加する予定はないとしている。

★米中央軍(CENTCOM)によると、紅海でフーシ派のボート4隻が、デンマークの企業が所有運航するシンガポール船籍のコンテナ船「マースク・ハンジョウ」に発砲。コンテナ船からの救難信号に、付近を航行中の海軍の航空母艦アイゼンハワーミサイル駆逐艦グレーヴリーの艦載ヘリコプター数機に発砲したため、「自衛のため」ボート3隻を沈没。イラン政府の動きも早い。イラン国営メディアは駆逐艦アルボルズが1日に紅海とアデン湾をつなぐバベルマンデブ海峡を通過したと報道した。

★中東事情通は言う。「今はイスラエルと米国がイスラム組織ハマスと戦っている構図だが、この両国に反発するイランを背景にした『抵抗の枢軸』と呼ばれ結束しているヒズボラ、フーシ派、イスラム聖戦などが参戦したら、中東の戦線は拡大。中東の石油に依存する日本は相当の打撃を受ける。ハマス支持のフーシ派はイスラエルの港への往来阻止を掲げている。石油の供給不足は国民生活にも影響が出かねない」。事態は次第に緊張を高めている。当然米国は有志連合参加を強く求めてくるだろう。どうする岸田。(K)※敬称略