性被害と非行 - 下野新聞 SOON(2023年11月26日)

https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/823743

「男の子が性被害を訴えやすくなったかもしれない」。長年、京都少年鑑別所で少年や少女と面談する精神科医の定本(さだもと)ゆきこさんはそう話す。
ジャニーズ事務所ジャニー喜多川(きたがわ)元社長による性加害問題が大きく報じられ、被害申告が相次いで以降、ということだ。定本さんが接するのは非行をした子どもたち。少年審判の処分に向け、家庭事情などの背景を調べて材料を集める。事件の背景に過去の性被害が潜むことは珍しくない。
特に注目してきたのは、女の子の性被害と非行との関連。少女たちは高い割合で被害を受けていた。被害後、自尊感情が低くなり、自分を守れずに性犯罪などに巻き込まれ、非行に至る事例が目立つ。ただ「信じてもらえない」「事情を伝えても解決しない」などと考え、打ち明けられない子も多い。
一方、男の子は加害者として現れることが多かった。それが最近、過去の性被害を明かした非行少年との出会いで認識を新たにした。
「男子は、より被害を訴えづらいが、自分だけではないと分かり、告白する子が増えるのでは」と考える。県内でも支援窓口への男性の相談が増えている。
男女ともに大きな課題は、自分を大切にするために必要な性の知識のなさや誤解である。定本さんは「早い段階から学校で性教育をするべきだ」と強く訴えている。