<金口木舌>白梅同窓会の軌跡 - 琉球新報(2023年11月22日)

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県立第二高等女学校で学んだ山田和子さん(95)を訪ねた。見せてくれたのは1948年の写真。沖縄戦から間もない時期の同期会で、戦場に動員された白梅学徒隊の亡き学友を悼んだ

▼忘れられない人がいるという。塩浜道子さん。山田さんが家族と北部に疎開する前に爪と髪を縫い付けた形見の品をもらったのが最後になった。学友や遺族の悲しみは癒えない
▼亡き学友のことを語り継ぐことが生かされた者の務めだと誓い、活動を続けてきた白梅同窓会は高齢化を理由に活動を終える。体験継承に尽くした前同窓会長の故中山きくさんは1月に他界した
▼山田さんは、ウクライナ戦争や「台湾有事」が叫ばれる今を戦前の空気に重ねる。「中山さんも心残りだったはず。若い人たちにもっと訴えたかっただろう」
▼3年前の中山さんの言葉を思い出す。「日本軍は住民を守る気持ちはあったのか。私たちは米軍基地の問題や事件に耐えてきたが日本が沖縄のことを考えたことがあるだろうか」。この問いに答え得る為政者はどれほどいるだろう。