<金口木舌>言葉が支えた絆 - 琉球新報(2023年2月21日)

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1872年3月29日(旧歴2月21日)は、日本初の日刊紙「東京日日新聞」の創刊日。口語体が受け、大衆紙として定着した

▼言葉には力がある。ブラジル移民に母語で情報を届け、日系人社会を支えたのが邦字紙「パウリスタ新聞」。後に「ニッケイ新聞」と社名を変え、愛読された
豊見城出身の赤嶺尚由さんは1961年にブラジルに渡ってパウリスタ新聞に入社し、猛勉強でポルトガル語を習得。移民1世たちのために政治経済のニュースなどを届けた。その後、人材派遣会社を経営し、ブラジル日本商工会議所副部会長を務めるなど経済人として活躍した
▼ブラジルの政治・経済通として知られた赤嶺さんは2016年、74歳で他界した。生前、「ウチナーグチは世界に向かって誇ることのできる立派な琉球文化だ」と発信していた
▼今日は「国際母語デー」。県しまくとぅば普及センターの21年の調査では、しまくとぅば話者は14%と少数派になった。母語継承に向き合う機会だ。言葉とともにウチナーンチュの絆が失われないように。