<金口木舌>国体護持もう二度と - 琉球新報(2022年12月21日)

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首里城地下約10~30メートルの硬い琉球石灰岩層の下に、沖縄戦を指揮した日本軍第32軍司令部壕が埋もれている

▼第32軍の八原博通高級参謀は後年、著書「沖縄決戦」で1トン爆弾と40センチ砲弾を防ぐ壕の狙いを説き、首里が1日数千発の砲爆弾で跡形がなくなっても「洞窟内は危険絶無、絶対安全だ」と記した
▼自身の安全を優先し、住民の犠牲はいとわなかった日本軍。それは政府と大本営天皇制国家体制=国体の護持政策であった。沖縄戦で住民を根こそぎ動員し「出血持久捨石作戦」を展開した
▼作戦の一環で、第32軍は首里を放棄し本島南部に撤退した。住民を攻撃にさらし、大勢の命を奪った。あれから77年、自衛隊増強やミサイル配備に戦争体験者は、かつてと同じ道への懸念を強める
▼住民保護計画の実効性が疑問視される中、石垣市に開設予定の陸上自衛隊駐屯地はミサイル回避のため地下に作戦室を造るという。住民は再び鉄の暴風にさらされるのか。地下に要塞を築き、沖縄を犠牲にした国策の過ちを二度と繰り返してはならない。