【政界地獄耳】納得できるか?国家公安委員長の「説明」- 日刊スポーツ(2022年2月12日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202202120000068.html

★「法令に則して適正に処理している」。この10年あまり、どれほど国民に対して誠意のない答えを政府や与党はしてきたことか。場合によっては野党にも当てはまる。権力を持つ政治家は幾つかの特権も与えられているし、同時に国民のために税金を運用する責任もある。ところが何か疑惑が向けられると常套句のように「法令に則して適正に処理している」を繰り返す。だがその大半は法律に違反していない、法律の解釈次第のギリギリの判断、時期がずれていることで、違法とみなされないなどの抜け道を駆使するだけで、清廉潔白の証明にはならない。

★思えば広島の19年参院選をめぐる大型買収事件は元法相・河井克行が妻を当選させるために地方議員にカネを配り票の取りまとめを頼むという前近代的な、いまだにこんなことをやっている地域があるのかと思わせるような情けない事件だったが、河井は裁判で公選法違反の判決を受け懲役3年の実刑が確定している。それでも当初から冒頭のような発言を繰り返していたし、事件発覚当時は法相だったことを考えれば、あきれ返る話だが、いまだに河井から現金を受け取っていた地方議員約100人は往生際が悪く、現金を受け取っていたにもかかわらず、正直に答えたから起訴が免れると思い込んでいる。

★3年たっても、広島ではこの体たらくだが、自民党京都府連が広島の件同様、14年の衆院選挙前に地方議員へ現金を配布していたとする文芸春秋の告発報道で官房長官松野博一は府連前会長で国家公安委員長二之湯智から報告を受け「法令に則して、適正に処理をしているということでございます。私の方としてはその説明を了といたしております」と会見で答えている。自民党全体にこの仕組みがまん延していることを想像させるが、府連の当事者ともいえる公安委員長の説明に納得する国民がいるのだろうか。(K)※敬称略