(政界地獄耳) 日本は一度決めたことを変えられない国なのか? - 日刊スポーツ(2021年4月13日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202104130000064.html

★元首相・小泉純一郎や元内閣官房長官中川秀直が議員を辞めた後に「かつて専門家から安全でコストが安くクリーンエネルギーだと説明されたが全部うそだと分かった」と原発再稼働を批判していることについて、反論する勢力もいる。だが、自らの判断で国を率いた経験のある首相をはじめ閣僚たちはそれが間違いだと気づいたら立ち止まり正すことが必要だ。それが、なかなかできない。明治からの官僚制度は一度決めたことを変更したり中止したりすることを嫌ってきた。それが官吏のプライドだったのかもしれない。その失敗が先の大戦で明らかになったが、その盲進はいまだに収まってはいない。

★1996年4月。日米両政府が米軍普天間飛行場の返還に合意して25年がたった。移設先の辺野古の工事は工期と工事費のめどすら立っていない。自民党政府は「辺野古しかない」と言い続けたが、米軍も疑問視する中、合理的根拠すらはっきりしない。民主党政権では時の首相・鳩山由紀夫が乗り越えようとしたが外務官僚や防衛官僚につぶされた経緯もあった。

東海道新幹線が開通する直前の1962年、リニアモーターカーの研究が始まり10年後に浮揚に成功。実験線は長年見せられてきたが、JR東海のずさんな計画で工事は暗礁に乗り上げている。そもそも既に中国では実用化され、この時代に必要な路線だろうか。2013年9月にブエノスアイレスで当時の首相・安倍晋三東京五輪誘致に「フクシマについて、お案じの向きには私から保証をいたします。状況は統御されています。東京にはいかなる悪影響にしろ、これまで及ぼしたことはなく、今後とも、及ぼすことはありません」としたが12日、衆院決算行政監視委員会で首相・菅義偉は、放射性物質を含む処理水を海洋放出する方針を固めたことに関して「福島の復興に避けて通れない、先送りできない課題だ」と言い放った。これにつながる五輪開催を含め、まるで立ち止まらない姿勢こそアンダーコントロールだ。(K)※敬称略