(政界地獄耳) 答弁下手の西村に経済回せるのか - 日刊ゲンダイ(2020年11月24日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202011240000063.html

★安倍政権を引き継いだ菅政権は複数の閣僚を留任させたが、安倍政権でも失政の元凶となっていた経済再生相兼コロナ対策相・西村康稔の人事は、コロナ政策で後手後手に回る菅内閣の失政のシンボルでもある。何しろ経済政策の加速と慎重さが必要なコロナ対策の2つを成立させることは不可能で、1人の大臣がアクセルとブレーキを案配すること自体がおかしな話だ。その西村は最近も失言を続けている。19日夜の会見では「感染がどうなるかっていうのは、本当に神のみぞ知る」と言い出した。

★西村に当事者能力がないことは自民党内でも周知の事実だが、おしゃべりが過ぎて安倍内閣時代から各方面からの苦言が相次いでいた。「会見の意味も役割もあまり分かっていないのではないか。パーティーばかりやっていて金集めはうまいが、答弁はからっきしダメ」(自民党閣僚経験者)。西村や与党幹部がよく使う言葉に「経済を回す」「経済を回さないとならない」といった言い回しがある。コロナ禍で休業を余儀なくされたすべての人々にとって経済の正常化、1年前の状態に戻したいという気持ちは痛いほどわかるが、イメージとしては浮かぶものの経済を回すとは何を指しているのか。

★海外旅行や飲食などができず、うずうずしていた富裕層の財布のひもを緩めさせ、消費を促すことなのか、それともまじめに働いていながらコロナ禍で雇用止めや出勤調整などで収入減になり、苦境にあえぐ人たちへの支援を指すのか。経済を回すの意味が分からない。その両方だというのならば、Go Toキャンペーンのターゲットは富裕層向けだろう。出口戦略を持たず、予算措置だけで進めたキャンペーンは景気のカンフル剤の足しにはなるが、経済を回すほどの効果はなく、政策などと呼べる代物ではない。経済を回すとは何か。西村に聞いてみたい。(K)※敬称略