(政界地獄耳) おぼつかない答弁注意してた菅なのに - 日刊スポーツ(2020年9月14日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202009140000091.html

★首相を担う覚悟も政策もあったが、人が集まらない元幹事長・石破茂。名門派閥・禅譲、政策はあったが覚悟が足りなかった政調会長岸田文雄。派閥もカネも、安倍政治の継承もついてきたが自分の言葉を持たない官房長官菅義偉。いずれも、帯に短したすきに長し。自民党の人材不足を本気で憂うべき時代に入ったといえる。

★消費税の扱いについて菅はしくじったといえる。菅は10日のテレビで消費税について「行政改革を徹底して行った上で、消費税は引き上げざるを得ない」と明言した。ところが翌11日の官房長官会見では「政権発足以来『経済再生なくして財政健全化なし』という考え方で、アベノミクスを推進し安倍首相はかつて『今後10年くらい消費税率を上げる必要はない』と発言していて私も同じ考え方だ。きのうの発言はあくまでも、その先のことを念頭においた話だ。今後も当面は新型コロナウイルス対策、さらには経済の再生に全力で取り組んでいきたい」と修正した。

★ところが、記者からその根拠について問われると「まさに、アベノミクスを推進をし、経済を成長させる。まさに、経済成長…経済を再生させると、させなければ財政健全化ないという、その政策のである」。この7年8カ月、幾人もの答弁のおぼつかない閣僚に注意してきた官房長官とは思えない答弁だ。13日のNHKの番組では憲法改正についても「政府として環境をつくりたい、挑戦したい」と発言。その直後に発言を求め「総裁の立場で挑戦したい」と訂正した。どうやら首相同様、三権分立についても立法府と行政府の違いを混同するようだ。菅には国家ビジョンというよりも自分の政治家としての考えがないのではないか。それは国会答弁で明らかになるだろうが、まずは今日、自民党総裁に選出される。(K)※敬称略