(政界地獄耳) 言葉足りなかった、共産・小池 - 日刊スポーツ(2019年10月11日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201910110000140.html
http://archive.today/2019.10.11-014242/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201910110000140.html

★9日、共産党書記局長・小池晃は会見で、今月22日に行われる「即位礼正殿の儀」や11月に行われる皇位継承の「大嘗祭」を欠席するとした。「現行憲法国民主権政教分離の原則とは両立しない」と従来の指摘を踏襲した。この政教分離の部分があいまいなのは小池の指摘通りで、皇室行事を否定してはいけないという心理からか、野党内からの同調した声は出ない。逆にこんなことを言っている限り政権には関与できないなどの単純な論評の方が幅を利かせている。勉強不足と皇室問題をタブー視した結果だ。

★ただ小池の説明も言葉足らずだ。即位礼正殿の儀は、天皇が高御座から首相ら三権の長を見下ろす形で即位を宣言する形式が国民主権に反するとみられ、大嘗祭も宗教色の強い儀式だ。ではその際の予算措置はどうするべきか、どう分離すべきかとの議論を国会や国民に広く呼び掛けただろうか。

秋篠宮文仁親王は18年11月30日の誕生日に際して「国費で賄うことが適当かどうか、これは平成の時の大嘗祭の時にもそうすべきではないという立場だったわけですけれども、そのころはうんと若かったですし、多少意見を言ったぐらいですけれども。今回も結局、その時を踏襲することになったわけですね。もうそれは決まっているわけです。ただ私として、やはりこのすっきりしない感じというのは今でも持っています」と発言している。また宮内庁長官に訴えたが「話を聞く耳を持たなかった」と踏み込んだ。

★これ以上の発言は日本国憲法第4条の「天皇はこの憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない」に準ずると解釈するならばまさに政治が引き取るべき議論ではなかったか。政府は今回の行事を平成の時に準ずるとして議論が起きないようにしたものの秋篠宮さまの声を受け止めることができたのも他党にはできない共産党の役割ではなかったか。欠席だけを決めるのでは言葉が足りない。(K)※敬称略