辺野古訴訟 民主主義に則る判断を - 東京新聞(2019年7月25日)

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日本の民主主義は機能しているか。再び法廷での争いが始まる。辺野古新基地建設を巡り、沖縄県が国を相手取って新たな訴訟を起こした。裁判所は民意の在りかを公正に見極め、判断してほしい。
辺野古問題で県と国の対立が法廷に持ち込まれるのは七件目。
今回は、県による辺野古埋め立て承認撤回を石井啓一国土交通相が無効にしたのは違法だとして十七日、県が福岡高裁那覇支部国交相の決定取り消しを求め提訴した。
埋め立て承認の撤回は、国が進める新基地工事に約束違反があることなどを理由に行われた。だが国は違反を認めず、行政不服審査法に基づき防衛省沖縄防衛局が国交相に撤回の無効化を申し立て国交相もその通り決定した。これにより国は昨年十二月、沿岸への土砂投入を始めた。
県側の主張は主に二点。(1)行政不服審査法は国民の権利救済のためにあり防衛局は審査を申し立てられない(2)同じ政府の一員の国交相は中立性、公平性の上から申し立てを判断する立場にない-。
国の自作自演的な手続きには、行政法研究者の有志一同も「違法行為」と批判する声明を出している。県の主張はもっともだろう。
県は提訴に先立ち、総務省の第三者機関・国地方係争処理委員会に審査申請したが、委員会は「海の埋め立ては民間業者も行う事業であるから私人と同じ立場になり得る」などの国の言い分を追認。申請は審査対象外だと却下した。
軍事施設建設が民間事業と同列であるはずがない。こんな論理がまかり通ると、国の事業に自治体は異議を唱えられなくなり、地方自治は危機に瀕(ひん)する。
県は今回の訴訟と並び月内にも行政事件訴訟法に基づき、同様に国交相の決定取り消しを求める抗告訴訟那覇地裁に起こす方針。
二つの訴訟で最終的に裁かれるべきは、新基地建設が民主主義に則(のっと)り行われているかどうかだ。
沖縄では昨秋以降、知事選から二十一日の参院選まで連続四回の投票で、県民が辺野古反対の意思を示した。にもかかわらず、国は埋め立てをやめない。
前例のない軟弱地盤改良が待ち受け、全体の工費、工期も分からない不透明な工事である。
翁長前県政時代から争われた過去の訴訟では、裁判所は民意に明確な評価を下さず、県側敗訴が続いた。が、今後の展開は異なる可能性がある。国もあらためて確定的となった沖縄の民意を尊重し、提訴を謙虚に受け止めるべきだ。