(大弦小弦)あれからもう5年がたつ。あまりにも物事が目まぐるしく・・・ - 沖縄タイムス(2018年12月28日)

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/365169
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あれからもう5年がたつ。あまりにも物事が目まぐるしく動いてきたので、そんな歳月の積み重ねも紙面を見るまで忘れていた。仲井真弘多元知事の辺野古埋め立て承認のことだ

▼あの時、仲井真元知事が承認に至る背景として絶大な信頼を寄せたのが、安倍晋三首相の「沖縄の負担軽減に取り組む」という言葉だった。空手形ではないかと記者に問われ「最高の担保だ」と色をなしたが、同じ質問をもし今聞かれたらどう答えるか

▼約束の根幹をなす普天間飛行場の5年以内運用停止は政府が「県が辺野古反対だから」という難癖をつけ、手つかずのまま。米国の機嫌を損ねたら進むものも進まないのは当然だ、との主張もあろうが、そうなると、もはや主権国家の体をなさない

▼最近会った仲井真県政時代の県幹部はこう話していた。「そもそも公有水面埋立法は国が埋め立てようとすれば最終的に拒めない」。仮に不承認にしても、国が修正して申請を出し直せば認めざるを得ない、と

▼それは国が法令に沿って手続きを進め、承認権者の県の指摘に従うという前提があればこそ。恣意(しい)的に法解釈する安倍政権に当てはまるのか

辺野古の海は承認の約束が無視されたまま工事が続く。「いい正月を迎えられる」。こう言って仲井真元知事は判を押した。今も同じお考えだろうか。(西江昭吾)