大統領宛請願署名 米政府は工事中止指示を - 琉球新報(2018年12月24日)

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米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設の工事を県民投票まで止めるよう求めるホワイトハウスの請願サイトの署名が目標の10万筆を突破した。署名が始まった8日からわずか11日間で目標に達した。それだけ辺野古新基地建設に反対している人々が世界に数多く存在していることの証だ。
署名はトランプ大統領宛の請願を募るインターネット署名だ。ホワイトハウスの請願サイト「We the People」で募っている。開始から30日以内に10万筆が集まれば、ホワイトハウスから請願に対する返答が60日以内に届く。市民の働き掛けが米政府中枢に直接届く極めて有効な仕組みだ。
請願は「県民投票まで辺野古、大浦湾の埋め立てを止めてほしい」と題し、日本政府と米軍が沖縄の民意を無視していると指摘している。その上でトランプ大統領に「工事を中止させて米国が真の偉大な国であると示してほしい」と訴えている。至極まっとうな主張だ。
発起人はハワイ在住県系4世で32歳のロバート梶原さんだ。辺野古の抗議活動にも何度も参加しており「自分なら沖縄と米国の間に橋を架けることができると思った」と動機を語る。沖縄の血を引く1人の若者の呼び掛けが世界中の人々に瞬く間に伝わった。
署名は23日午後5時までの16日間で、15万9千筆を超えている。1月7日の期限までに20万筆を超えるのは確実な情勢だ。辺野古の美しい海を失いたくないとの思いが急速に広がっている。
多くの著名人も署名している。米ロック界の重鎮ヴァン・ダイク・パークスさん、モデルのローラさん、県出身タレントのりゅうちぇるさんらが名を連ねている。歌手のうじきつよしさんは「かけがえなき沖縄の自然と人々を踏みにじる蛮行を、みんなでストップだ」と記し、署名を呼び掛けた。
琉球新報社が実施した過去5年間の県内世論調査では、辺野古移設に反対と答えた人は7割〜8割に上っている。最も高かった2012年5月の調査は89%だった。
共同通信社が今月中旬に実施した全国電世論調査でも、辺野古移設を進める政府の姿勢を「支持しない」と回答したのは56・5%に上った。辺野古移設強行が沖縄だけでなく、日本の民意にも背いていることは明らかだ。
それにもかかわらず、政府は14日に埋め立て予定区域への土砂投入を開始した。海中に次々と土砂が投入され、区域内の青い海が褐色に濁った。うじきさんが言うように、これを「蛮行」と呼ばずしてなんと呼ぼう。
署名のうねりは日を追って増幅している。トランプ大統領は膨大な数に上る人々の思いを真剣に受け止めるべきだ。辺野古移設の工事中止を一刻も早く日本政府に指示してほしい。