(子どもの貧困率25%)さらなる施策の充実を - 沖縄タイムス(2018年12月16日)

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/360056
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子どもの貧困率改善に確かな手応えを感じる結果となった。
県は、子どもの貧困率について2度目の調査結果(中間報告)を発表した。世帯の生活水準を表す「等価可処分所得」が年122万円未満の困窮世帯の割合は、2015年度の29・9%から4・99ポイント改善し25%となった。好調な県内景気の影響で、子育て世帯の収入が相対的に上がったと推測される。
ただし全国平均13・9%(15年)に比べると10ポイント以上の開きがあり、施策のさらなる推進が必要だ。
調査は県内の小学1年生の保護者、5年生と中学2年生の子どもと保護者に聞いた。
全体で「300万円未満」の世帯は38・4%から31・3%に減少。困窮世帯の割合も、小学1年生がいる世帯で22・6%(前回調査30%)、小学5年生26・7%(同31・1%)、中学2年生25・9%(同28・7%)といずれの学年でも減少した。
就学援助制度を利用している困窮世帯の割合が大幅に増えたことも評価できる。
小学1年生がいる困窮世帯の49・8%が同制度を「利用している」と回答。前回調査の34・4%より15ポイント以上も増加した。小学5年生も52・9%と前回比10ポイント近く上昇。中学2年生は前回比7ポイント増の57・9%だった。
援助制度を知らない世帯の減少が背景にある。各学年とも8割近くが学校からの通知で制度を認知しており、全世帯のうち「制度を知らなかった」と回答したのは前回調査の10・9%から3・8%まで減った。この数値が0に近づくよう、周知徹底に努めてほしい。

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世帯収入の増加や就学援助制度の利用増など経済的な不安の解消は、子どもの自己肯定感の高まりに影響することも調査からうかがえた。「がんばればむくわれる」「自分は価値のある人間だと思う」と回答した小学5年生の割合は、今回、困窮世帯の子とそうでない子の間に差は見られなかった。
一方、中学2年生は依然、「自分に自信がある」などと回答する困窮世帯の子が、非困窮世帯の子に比べ少ない結果が出た。経済的困窮にさらされた期間の長さなどが影響しているのではないか。貧困が子どもに与える影響を緩和するには、幼いころからの支援が重要だということを示唆している。
県は15年度、全国に先駆け子どもの貧困率を調査。結果を受け奨学金制度や通学費補助の創設し、既存制度の周知を推進してきた。今調査はこうした方向性の正しさを裏付けた形だ。

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今回追加された調査項目では課題も見えた。放課後児童クラブ(学童保育)の利用料について、困窮世帯、非困窮世帯とも「負担」と感じる世帯が6割を占めた。利用料の高さから学童の利用をあきらめた困窮世帯は約3割で、公立学童の割合が全国に比べ極端に低い県内の状況を反映している可能性がある。
子どもの貧困対策は始まったばかり。今後も息の長い取り組みが求められる。