原発延命 「原則40年」は、どこへ - 東京新聞(2018年11月10日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018111002000144.html
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原子力規制委員会が、日本原子力発電東海第二原発の運転延長を認可した。今のところ“不合格”になったケースはない。延命は、特別厳しい審査に通ったものだけの「例外」ではなかったか。
またか、という印象だ。
原発の運転期間を原則四十年に限るルールは、3・11のあとに導入された。
福島第一原発が営業運転開始から四十年で事故を起こしたこともあり、“寿命”を明確にするのが狙いではなかったか。
一回限り、最長二十年の延長は、「例外中の例外」(当時の原発担当相)だったはずである。
これまでに延長申請があったのは、関西電力高浜1号、2号、同じ関電の美浜3号、そして今度の東海第二で四基。合格率100%である。「例外中の例外」が、のっけから四連続。四十年の原則を守ったものは、いまだない。
その中で、東海第二はさらに例外、あるいは特別だ。
福島第一原発と同型、沸騰水型としては初の延命認可。東日本大震災で被災した原発というのも初めてだ。津波の被害に遭って、福島同様、外部交流電源と非常用電源の一部を失った。
その時の強い揺れによる原子炉への影響も、本当にないのかどうか、不安が残る。
3・11後、原発三十キロ圏内の自治体に広域避難計画の策定が義務付けられた。首都圏唯一の原発である東海第二の三十キロ圏内では、水戸市もあって、九十六万人が暮らしている。
圏内十四市町村中、策定済みはわずかに三市。人口が多いほど、避難が難しくなるのは明らかだ。
こうした特殊事情を考慮して、原電は今のところ、これも全国唯一の例外として、立地自治体以外の五市とも、再稼働に関する同意協定を結んでいる。
規制委の審査には通っても、再稼働へのハードルは低くない。
那珂市長が再稼働に反対の声を上げたのは無理もない。
それにつけても、規制委の姿勢には疑問が残る。
そもそも、原子炉という設備自体、六十年もの使役に確実に耐えうるものなのか。
炉内を飛び交う中性子は内側からダメージを与え続けているという。原子炉本体を更新することは、事実上不可能だ。
原発事故を二度と起こさないための規則である。だとすれば、四十年の原則を、おろそかにはできないはずなのだ。