<南風>公民館の役割 - 琉球新報(2018年11月7日)

https://ryukyushimpo.jp/hae/entry-830353.html
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今月1、2日に開かれた「第40回全国公民館研究集会」。事務局に参加の意向を伝えると「宮城さんは来ないでください」と断られた。よくよく話を聞くと、シンポジウムで若狭公民館と中継を行いたいので、沖縄にいてほしいということだった。ジャーナリストの池上彰さんをはじめ、公民館・社会教育の第一人者を招いてのシンポジウム。ユニークな活動を行っている地域と本会場を繋ぎたいとの打診がうれしかった。
せっかくの中継なので、ビジュアル的にインパクトが欲しい。そこで那覇市の曙地域の公園でパラソルを広げて活動する「パーラー公民館」から中継することにした。子どもから高齢者までが集い、生き生き活動する様子は会場を和ませていた。
池上さんの講演タイトルは「民主主義と公民館運動」。印象深かったのは、「民主主義は欠陥だらけ(他の制度よりもましだが)」という話だ。ワイマール憲法下でヒトラー政権が誕生したことなどを挙げ、お任せ民主主義ではなく、地域自治の拠点として公民館が機能するようにと強調された。また、パネリストから「他人事を自分のこととして考える想像力が必要」という話もあり、私の中でもやもやが膨らんできた。
米軍基地が集中している状況やそのことによって起こるさまざまな事件事故、コミュニティーの分断など、沖縄が抱えさせられている問題は日本の民主主義の欠陥が現れていると言えるのではないだろうか。また、公民館の原点は、平和の希求や民主主義への憧憬にあるが、日本の平和と民主主義を支えるために大きな負担を強いられている地域があることを全国の公民館関係者はどのように受け止めているのだろうか。
池上さんや会場の皆さんに問い掛けたかったが、時間切れで叶(かな)わず。機会を見つけて問うてみたい。(宮城潤、那覇市若狭公民館館長)