総裁3選直後 首相痛手 目指す改憲 行程に影響も - 東京新聞(2018年10月1日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201810/CK2018100102000131.html
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三十日投開票の沖縄県知事選で、政府・与党が全面支援した前宜野湾(ぎのわん)市長の佐喜真淳(さきまあつし)氏が敗れたことは、自民党総裁選で安倍晋三首相(総裁)が三選を決め勢いをつけたい政権には痛手となる。来年に統一地方選参院選を控え、「選挙の顔」となる首相の求心力が低下し、首相が描く改憲の行程にも影響しかねない。
自民党二階俊博幹事長は佐喜真氏敗北を受け「県民の審判を厳粛に受け止め、敗因を分析したい」とコメントを発表。塩谷立選対委員長は政権運営への影響について「ないと思う」と記者団に強調した。
政府・与党は知事選を、大型国政選挙がない二〇一八年の最重要選挙と位置付け、国政選並みの態勢で臨んだ。安倍政権で経済が上向き、地方にも波及していることなどを実績として訴えたが、今回は政権の「強み」が地方で通用しない証明になった。
先の総裁選で、首相陣営は国会議員票に加え、党員・党友による地方票でも圧勝を目指した。だが石破茂元幹事長が予想を上回る45%の地方票を獲得し地方での首相への不満が顕在化。統一地方選と、地方に多い改選一人区が勝敗を左右する参院選では、首相の地方での不人気は不安材料だ。
首相は今秋の臨時国会で、自衛隊の存在を明記する九条改憲を含めた自民党改憲案の提出を目指す。改憲を争点にした総裁選での勝利をてこに、議論を加速させ、来年の国民投票も視野に入れている。
しかし政権内にも、地方をはじめ国民の十分な理解を得ずに進めれば、首相への批判や反発が増幅しかねない危機感は漂う。来年の「政治決戦」に万全を期したい首相としては、戦略の練り直しも迫られる。 (清水俊介)

◆「残念だが仕方ない」
安倍晋三首相は三十日、自民党塩谷立選対委員長と電話し、沖縄県知事選の結果について「残念だが仕方ない」と話した。