広島高裁 伊方原発3号機、再稼働可能に 四電異議認める - 毎日新聞(2018年9月25日)

https://mainichi.jp/articles/20180925/k00/00e/040/242000c
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運転差し止めを命じた12月の仮処分決定取り消し

四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町、停止中)の運転差し止めを命じた昨年12月の広島高裁仮処分決定(野々上友之裁判長=当時)を巡る異議審で、同高裁(三木昌之裁判長)は25日、四電が申し立てた異議を認め、仮処分決定を取り消した。高裁段階で初めて示された差し止め判断は9カ月で覆り、3号機は法的に再稼働が可能になった。【小山美砂】

昨年12月13日の広島高裁仮処分決定は、原子力規制委員会の内規を厳格に適用し、原発から半径160キロの範囲にある火山に関しては噴火規模が想定できない場合、過去最大の噴火を想定すべきだと指摘。その上で、伊方原発から約130キロ離れた阿蘇カルデラ阿蘇山熊本県)について、9万年前の破局的噴火で火砕流伊方原発の敷地に到達していた可能性に言及し、「立地として不適」と断じた。ただ、広島地裁で別に審理中の差し止め訴訟で異なる判断がされる場合を考慮し、差し止め期限を今年9月末までとした。
四電の申し立てによる異議審は2回の審尋が開かれた。四電側は「阿蘇カルデラには大規模なマグマだまりがなく、3号機の運転期間中に破局的噴火を起こす可能性は極めて低い」と強調。さらに「9万年前の噴火でも火砕流原発の敷地内に到達していない」とした。
一方、住民側は「火山噴火の長期予測の手法は確立しておらず、破局的噴火が起こる可能性は否定できない」と改めて反論。「四電の実施した調査は不十分で、9万年前の噴火で火砕流原発に到達していたとみるのが常識的」と訴えた。
また、仮処分決定が「合理的」とした基準地震動についても争点となり、四電側は「詳細な調査で揺れの特性などを十分把握した」、住民側は「過小評価」と主張した。
3号機は2015年7月、規制委が震災後に作成した新規制基準による安全審査に合格。16年8月に再稼働し、昨年10月、定期検査のため停止した。四電は今年2月の営業運転再開を目指していたが、運転差し止めの仮処分決定で停止状態が続いている。
3号機の運転差し止めを求める仮処分は、住民側が10月1日以降の運転停止を求め新たに広島地裁に申し立てている。高松高裁、山口地裁岩国支部大分地裁でも係争中で、このうち大分地裁は9月28日に決定を出す。