(本音のコラム)斎藤美奈子さん K君とY君 - 東京新聞(2018年7月18日)


K君は人気者だ。評論家よろしく身内の批判もするので、メディアはK君の発言に群がる。
Y君は一部を除いて不人気だ。政権批判を臆せずするので、メディアはY君を煙たがる。
十二日、Y君は参院内閣委員会で西日本豪雨災害の被害が深刻であることを取り上げ、国会審議を一時中止し、行政の災害対応に注ぐべきだと訴えた。「ばくち解禁法案の成立が秋の臨時国会に先延ばしになっても被災者は困りません」
同じ十二日、K君は自身が事務局長を勤める会で、かねて提案していた国会改革の具体策を提示した。夜間の党首討論の定例開催、タブレット端末の活用による国会審議のIT化推進、などだそうである。「平成のうちに、一つでも実現できるように議論したい」
同日、Y君は災害の状況を説明し、土砂を除去する小型重機を配備できないかと要望した。石井国交相は検討を約束。翌日、百台の小型油圧ショベルが緊急派遣された。Y君の金星である。
他方、K君は豪雨災害を見て気象予報を含めた衛星の力を再認識したといい、宇宙ゴミ除去に向けた提言をした。災害ゴミより宇宙ゴミ!?
Y君はいつもド真ん中狙いだが、K君はズレまくりだ。K君とは小泉進次郎氏、Y君とは山本太郎氏。一目瞭然、与党のK君より少数野党のY君のほうがずっと頼りになるやん。 (文芸評論家)