http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201807/CK2018071002000119.html
https://megalodon.jp/2018-0710-0843-56/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201807/CK2018071002000119.html
静岡県熱海市の青少年教育宿泊施設「姫の沢公園自然の家」が一月、聴覚障害を理由に全日本ろうあ連盟青年部約百人の宿泊依頼を断っていたことが分かった。二〇一六年四月施行の障害者差別解消法では、障害者への不当な差別を禁じ、個別の障害に対して合理的配慮をするよう求めている。宿泊手配を代行した静岡県聴覚障害者協会は「聴覚障害者と分かると急に難色を示した。話し合う姿勢がほしかった」としている。
静岡県は一七年四月、県障害者差別解消推進条例を施行し、相談窓口を設けるなど対策を進めている。
協会によると、全日本ろうあ連盟青年部は七月十四、十五日に静岡県内で一泊二日の研修会を企画。連盟から依頼を受けた協会の職員が手話通訳者を介して施設に約百人の宿泊を申し込んだが、施設側から「緊急時や災害時に対応できない。聴覚障害者の専用施設に泊まってはどうか」と断られた。協会が県を通して抗議すると「条例があるのに申し訳なかった」と謝罪があった。県内に聴覚障害者専用施設は無く、連盟は別の宿泊施設を手配した。
自然の家は熱海市の施設。施設によると市の指導を受けて聴覚障害者の受け入れ態勢を整えた。佐藤康弘所長は本紙の取材に「聴覚障害者は火災報知機の音が聞こえない。耐震化も不十分でバリアフリーでもなく、安全確保が厳しい。市の指導後に受け入れを決めたが、連盟の連絡先が分からなかった」と述べた。
協会の小倉健太郎事務局長は「聴覚障害者は受け入れられないと言われ、気分が悪くなった。条例ではなく、権利の問題。障害がない人と同等のサービスを受けたいだけなのに、何が差別なのか分かっていない」と手話で説明した。 (松野穂波)