小泉氏らが国会改革議連 全党で検討始める契機に - 毎日新聞(2018年7月3日)

https://mainichi.jp/articles/20180703/ddm/005/070/063000c
http://archive.today/2018.07.03-001521/https://mainichi.jp/articles/20180703/ddm/005/070/063000c

国会は一段と機能不全に陥っているという危機感の表れだろう。自民党小泉進次郎氏らが国会改革の実現を目指す議員連盟を結成した。
超党派で作った議連の提案には直ちに実現すべき項目がある。これを機に与野党全党が参加する正式の場で検討を早急に始めるべきだ。
議連の名称は「『平成のうちに』衆議院改革実現会議」という。期限を新元号が施行される来春までと区切ったのは、言いっぱなしに終わらせない決意を示したと理解したい。
小泉氏らが検討している改革案のうち、例えば党首討論を現在の午後開催ではなく、多くの人がテレビ中継を視聴できる夜に開くとの案には賛成したい。安倍晋三首相や立憲民主党枝野幸男代表は「党首討論の歴史的使命は終わった」と口にしているが、これまで国民の関心を深める努力をしてこなかったのは与野党の怠慢だったと言うべきである。
一方、予算委員会などの審議は予算案や法案中心とし、スキャンダルの追及は特別調査会を新設し、その場で行うとの案は議論が必要だ。
自民党には今の国会審議が森友、加計学園問題ばかりに集中しているとの不満がある。また他国に比べて首相の国会出席が多過ぎるとも以前から自民党は主張している。
しかし森友問題で財務省の文書改ざんまで発覚したように、これは民主主義の根幹に関わる話で、問われているのは首相自身の政治姿勢だ。
予算委は国の予算を中心にあらゆる政治課題について国民と問題意識を共有していく場だ。国会改革で大切なのはどうしたら国民の利益になるかだ。調査会の新設は検討に値するが、首相答弁を減らすといった政権の都合が優先しては本末転倒だ。
そこで提案したいのは憲法に記された国政調査権のあり方を見直すことだ。現状では与党が賛成しないと関係資料もなかなか国会に提出されない。このため事実を確認するのでさえ長い時間がかかっている。これでは政府をチェックする国会の役割を果たしているとは言えない。
政府の法案を国会提出前に自民党が審査し、了承されれば数の力により無修正で成立させてしまう今の「事前審査」方式が、議論乏しき国会を招いていると指摘されて久しい。これも改めて検討し直す時期だ。